西式健康法

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新解・西式健康法とは

約20分

今日ではかなり説明が可能になった生食療法

 科学者であるから、きちんと説明できないことは主張したくない、しかし、これほど有効な療法を、説明が充分にできないからというだけの理由で書物などでは紹介しない、人には薦めないということでは、いくらか学者といえでもあまりに不誠実ということで苦しい説明をすることになったのでしょう。

 ところが、今日、腸内細菌の研究が著しく、しかも急速に進歩してきたおかげで、生食療法の絶大なる効果の説明がほぼつくようになってきました。

 ご存知の方も多いことと思いますが、カテーテルを用いて他人の大便水溶液を腸内に注入移植したり、最近の実験では便を冷凍してカプセルに入れて経口摂取させることによって、一部の抗菌薬関連腸炎を劇的に治癒させられるということが分かりました。「大便移植術」と言います。

 実験的にも間違いなく効果が確認されていると、学会でも完全に認めていると思われるのはCDIと称される腸炎です。同種腸炎の20~30%はこれであるとされています。

CDIとはClostoridium difficile infection(クロストリジウム・ディフィシル・感染症)の略語で、習慣的に感染症とは呼ばれていますが、赤痢やコレラのように菌が食物等に潜んで口から入って腸管で増殖するのではなく、抗菌薬(抗生物質等)によって他の特定腸内細菌を殺しすぎたために、腸内で このクロストリジウム・ディフィシル菌が異常繁殖してしまった結果引き起こされる腸炎であるとされています。

 日本国内でも、最近、海外における研究を受けて、従来の治療法では完治が困難とされる「潰瘍性大腸炎」や、その他の腸炎等に対する臨床試験も始められており、よい結果が出つつあるといった状況であるとされています。

 がんの原因も腸内細菌叢の悪化によるという見解もありますし、ほぼすべての疾病の一因として「ストレス」が挙げられているように、まもなくすべての疾患の原因の一つとして「腸内細菌叢の悪化」が加えられることになるのは、ほぼ確実であると思われます。

 これでピンと来た方も相当おられるのではないかと思いますが、「生食療法」は、太陽と大地のエネルギーを摂るためでなく、空気中(地上と言うべきかもしれません)、大気中に生息する細菌群と、地中、土壌中の細菌群を満遍なく充分に摂取、補充する方法であると解釈すると、すべての筋が通ってきます。

 細菌類は無性生殖ですから、有性生殖生物のようにDNAの数限りない組み合わせによって、新たな可能性を求めるということができません。

 細胞分裂による増殖は突然変異以外には変化が生じませんから、よい結果が出る確率は決して高くはないのですが、世代交代時間が極端に短いということ、DNA構造があまり複雑でないということを利用して、それなりに変異していきます。

 一人の人間の大腸内というきわめて限られた環境下においては、その突然変異の可能性もかなり限定的になってくるのではないかと思われますが、野菜の根に付着している土壌菌類と、空気中を漂っている細菌類の種類、変異の可能性は無限大であるといえます。

 そういった細菌類をとにかく多種多量に、一般的にヒトにとって好ましい腸内細菌類を育てると考えられている野菜等の植物、しかもそれを擂り潰すことによってより細菌類が繁殖しやすい状況を作ってやって摂取する、ということであろうと考えられるのです。

コラム「なぜ自己培養ヨーグルトはダメになる?」を入れる

生食療法の基本的な実行法

 詳しくは「ベジタブルジュース・西式健康法生野菜汁」(㈱平河出版社発行)をご参照いただきたいのですが、ごく簡単に解説しますと、野菜類の根の部分と葉の部分をおおよそ等量用意します。重量でも、見かけのカサにおける等量であっても、その辺りはあまり神経質になる必要はないものと考えられます。

 それらを、できるだけ細かく磨りつぶしてどろどろの泥状汁にして、その全量を摂取するというのが基本的な方法です。

繊維分まで全部摂るとどうしても胃がもたれて負担になる、という方は、布などで繊維分を濾して液体成分だけ摂取しても構いませんが、腸内細菌類の中にはヒトには消化吸収ができない、植物の主要構成成分であるセルロースを分解して自らの栄養分とする細菌もいますので、胃に過度の負担にならない範囲であれば繊維分も摂取したほうがなお良いことは間違いありません。

使用する野菜は健康な人、つまりこれといった病気があるわけではないけれども、健康維持、保健というようなことが目的である方は3種類、一応診断名がつくような病気をお持ちの方は5種類以上の野菜を使用します。

根菜類と葉物野菜の割合、例えば全部で7種類の野菜を使いたいとしたら根菜類は無理してでも3種類は用意するべきかと言えば、とくにそういった気の使い方をする必要はありません。根菜類はニンジンだけでも別にかまいません。全体量として根と葉がおおよそ等量であれば。

また、一方で断食療法に次ぐ、超低カロリー療法、超少食効果も期待していますので、もともと動物に食べさせることを目的としたナスやキュウリなどの実野菜(俗にいう生りもの果物も同じ扱いです)や芋類も原則として用いません。

別な視点から検討しますと、人が容易にエネルギーとして吸収できる食材を多く摂ってしまったら、従来の腸内細菌にとってもエネルギーとして十分に利用できることになってしまいます。

人がエネルギー源として利用が難しい成分ばかりを摂れば、これまで充分に育っていなかった腸内細菌の勢力を伸ばしてやれる可能性が高くなる、ということであると考えられます。

完全生食療法を実践する場合の一日総摂取量は、古典的な本では300匁~350匁となっていまして、これをグラム表示に換算すると1,125g1,312gということになりますが、当時の平均的体格を考えるならば、最大量は1,5001,600g程度と考えてよろしいでしょう。

なぜ病人は野菜の種類を増やすのか

 一般の人が考えるのは、食養生的な発想ということになるのかもしれませんが、病人であればこそまんべんなく、できるだけ多くの栄養素を摂るべきだから、とお考えになるかもしれませんが、残念ながらそれは誤りです。

 体力の弱った病人ほど野菜の種類を増やさなければならない理由は「植物のほとんどは毒を持っているから」です。

 病人は体に入る毒素の種類をできるだけ分散して、その影響を少しでも減らすために5種類以上ということになり、可能なら10種類でも15種類でも多ければ多いほど良いということになるのですが、入手が困難でしょうからあまり無理しなくても良いように「5種類以上」であれば実質上問題はないであろう、という意味です。

ほとんどの植物には毒がある、という言葉は多くの方にとって衝撃的であるかもしれませんが、実際にはほとんどの方がよく承知している事実です。

桜の葉には「アメリカシロヒトリ」ですし、桑の葉には「カイコ」だけです。キャベツ、ハクサイ、ダイコンなど、野菜類の多くを占めるアブラナ科の野菜類には、モンシロ蝶等(俗に言うアオムシ)やヨトウガ類など多数の昆虫が食用とします。

人が抵抗なく、美味しいと感じて食べる野菜類は毒素成分がもともと少ないからと言えますし、有名な話としては、桑の葉にはカイコ以外は食用にはできない強い毒素が含まれています。

もっとも、毒素といっても、桑の葉に含まれる成分は昆虫が栄養にできないようにする成分であって、葉を食べたらたちどころにもだえ苦しんで死んでしまうというような種類の毒素ではありません。

桑の葉には糖類の吸収阻害成分が多量に含まれているため、食べてもまったく栄養とすることができずに毛虫、アオムシは死んでしまうのだそうです。

桑の葉毒素に対する適応をしていないけれども、賢い昆虫はそのようなところには産卵しないし、その幼虫もそういった栄養にならないものを食べまくっている暇はありませんから、結局は「桑の葉は食べない」ということになります。

 蚕(成長すると「カイコガ」という蛾になる)は他の昆虫類が適応することのできなかった、桑の葉に含まれる糖の加水分解妨害酵素(つまり、桑の葉をいくら食べて糖類を吸収できないことになる)の働きを受けない分子構造の糖加水分解消化酵素を持っているのだそうです。

 この桑の葉に含まれる、糖加水分解酵素阻害作用を有する成分(αグルコシターゼ阻害作用)の研究もずいぶん進んでおり、天然のブドウ糖吸収阻害作用を期待して健康食品として利用されており、その有効性は学問的にもかなり高く評価されています。

 また、アブラナ科の植物にも「イソチオシアネート類」の辛み成分が含まれていることが知られており、これらには抗菌・殺菌作用があることが知られています。

 植物が、昆虫による食害を防ぐ目的で備えた自己防衛のための毒ですから、もちろん人を殺すような強力な毒性があるわけではありませんが、それでも体力の弱った病人が、例えば「完全生食療法」を実践して野菜類ばかり尋常でない量を摂るとなると、その害は無視できない可能性もある、ということです。

 であるから、病人は野菜の種類をできるだけ増やすべきであるし、俗に言う「アクの強い野菜」は少量にするか、避けるようにという注意が添えられるわけです。

 「アクが強い」ということは、食べられるけども多少の問題はあるという本能の感覚であると思われます。

 人が食べてもそれなりのクセがあるような野菜類(例えばごぼう、春菊等)は、健康者でも少量とし、病人の場合は極力避けるべきです。

乳酸菌等の効果

 多くの方が、同じ乳酸菌といっても、腸内の乳酸菌とヨーグルトを作る常在菌としての乳酸菌はタイプが違うからいくらヨーグルトをいくら食べても無駄、という話を聞いたことがあるでしょう。

 もちろんまったく無駄であるなどということはなく、ヨーグルトの乳酸菌等がせっせと産生した乳酸、酢酸等の酸類によって、多くの有害菌の生育を相当抑制してくれますし、もともとのビフィズス菌を含む腸内乳酸菌群にとって乳酸、酢酸類は毒物ではありませんから、その生育が妨げられることはありません。

 ですから、それなりに有効ではあるのですが、絶対量が少ないとほとんど効果が現れないであろう、ということも一方の事実です。乳酸菌そのものであろうが、乳酸菌生成物であろうがです。

 「なんと乳酸菌が100億個」等といったフレーズを売りにしたサプリメントが宣伝されています。「100」億という数値だけを聞くと「とにかくすごい数」という印象を受けますが、問題は比率です。もともとの腸内細菌数に対してどの程度の割合で入れてやるかということです。

 一般的に腸内細菌数の総数は100兆個とされていますから、100兆個に対して100億個がどの程度の比率になるのかを確認しないと意味がありません。

 100兆というと「1」のあとに「0」が14個続きます。一方100億ということになると「1」の後に続く「0」は10個です。

 両方の数値の末尾から同じ数だけゼロを消していきますと、1万個対1個という比率になります。いくら、あなたが望む武器はすべて与えられて完全武装をしていたとしても、1人で10,000人のゾンビの中に入って戦う勇気、気力が出るでしょうか?精一杯がんばるとしても、相手は数十人まででしょう。

 100人いたら、弾薬を再装填している間にやられてしまいそうで、どんなに訓練を受けていたとしても、たぶんアウトです。

 100人の最新装備で完全武装した歩兵中隊であっても、単独で100万の軍に攻撃を仕掛けるというのは自殺行為です。何百人、ひょっとしたら1,000人くらいは倒せるかもしれませんが、全滅必至です。

 それでも毎日、こつこつと確実に1個中隊を送り続けていれば、やがて100万人の軍に対して勝利できるか?

結論から言えば完全に間違っており、軍事用語でいうところの『兵力の逐次投入』という最悪の戦術です。

 既存の細菌類も毎日増殖して補充され続けますから、まったく効果が期待できないということになります。

 戦略というものがわかる人であれば、まず、敵の勢力地域に核爆弾か、徹底的な空襲を加えてから乗り込むのであれば、希望的観測として必ずしも勝機がないわけではない、と考えるかと思いますが、それでも全滅の可能性の方がはるかに高いと考えるはずです。

 もちろん、乳酸菌をこの方法で摂ったとからといって、それによって国家間の戦争のように事態がより悪化するということもないとは思います。

 ですが、ちょっと前に述べましたように、ヨーグルトであれば多量の乳酸菌生成物が含まれていますから、相当量を摂取すれば他の菌に対する抑制効果は十分に期待できるわけですが、その程度のドライ状態のビフィズス菌群、乳酸菌群をサプリメントとして摂ったとしても、ほとんど役に立たない可能性のほうが高いのではないか、ということを申し上げています。

腸内細菌の由来

 ヒトの腸内細菌の由来は、正確な意味では完全には解明されていません。母体の中にいるとき、つまり胎児の時にはヒトの大腸内は事実上無菌状態であるとされています。

 ところが生まれてから数日~数週間経過すると新生児の大腸内はビフィズス菌、乳酸菌でいっぱいになります。

 新生児は出生後1週間程度経過すると、それらの菌が99%以上、つまりほぼすべてがビフィズス菌、乳酸菌で占められるようになるとのことなのですが、出生直後はビフィズス菌、乳酸菌は逆に少数派であり、最初の主力菌群はむしろ大腸菌や腸球菌であるとされています。

 新生児は原則として母乳しか摂取しませんから、母乳を栄養源とすることが前提のビフィズス菌、乳酸菌群が勢力を拡大してきた結果として、それらの分泌物である乳酸、酢酸等を好まないその他の菌は徐々に駆逐されていくということのようです。

 ただ、これらの見解は将来的には変化する可能性がまだあります。というのは、乳児の腸内環境を完全に再現した培養法が確立されているという保証はありませんし、ついこの間まで、100100兆個といわれていた腸内細菌が、今日では1000100兆個といわれるようになったのも、培養技術の進歩がかなり貢献しているからです。

 なお、多くのヒトの大腸内に1000種類の腸内細菌が存在するわけではなく、一人あたりでは3400種類であるとのことです。

 また、乳児の胃内のpH5.0 程度であるとされていまして、胃液による殺菌力が非常に弱いから、口鼻等から入ってきた繁殖力の強い菌がまず大腸内で生育を始めるが、すぐに選手交代が起こって問題は生じないという設計コンセプトのようです。

 ただし、母乳と人口栄養、俗に言う粉ミルク栄養との比較でも、乳児の腸内細菌叢はかなり異なってくるとされています。

 人工栄養児は、母乳で育てている乳児と比較してビフィズス菌、乳酸菌の比率がやや低く、大腸菌、腸球菌の比率がやや高くなり、また、母乳だけを栄養としている乳児には見られることのない、大人にしか居ないはずの菌種が観察されるとのことです。

 母乳を完璧に分析して、その構成成分、比率を徹底的に解明して作られているはずの粉ミルクでこういった差異が出るということは、まだ、哺乳類の母乳に対しての研究には見落としている要素があるということになります。

 さて、話を本題に戻しますと、そのヒトの腸内細菌の由来ですが、帝王切開児と自然分娩時では新生児の数日間の菌叢はかなり異なるし、その影響はその後も相当期間影響するといわれています。

 これは女性の膣内を酸性に保って、他の菌の繁殖を防いでいてくれているデーデルライン桿菌群(乳酸菌)が、出産時産道を通るときに強制的に胎児の口鼻に入り込むことによって、それが種菌となって育つから、という説が主流となっています。

 そのことが知られるようになってから、欧米といっても実施例が圧倒的に多いのはオーストラリアなのだそうですが、帝王正解で出産した直後の新生児の口や顔や皮膚に、産道をぬぐったガーゼ等で産道内の液を塗って、帝王切開児であっても通常分娩と同じ腸内細菌叢、免疫能等を獲得させようとする試みがなされるようになりました。「膣液塗布」等と呼ばれています。

 本当の意味での有効性、つまり、生育、成長後の優位性を証明するようなデータはまだ存在しないようですが、それでも乳児の腸内細菌叢構成が、自然分娩による新生児に極めて近くなるということは確認されているのだそうです。

 こういった事実から、普通分娩児の種菌の主流は母親の産道から、帝王切開児は医療関係者や母親、親族等が持ち込んだ常在菌(大腸菌も含まれているということは、どれほど綿密に消毒を行ったとしても、ヒトの糞便由来の細菌である大腸菌群でさえ防ぎきれるものではないということが解ります)が新生児の口鼻から入って、種菌の最初のグループになるということです。

腸内乳酸菌と常在乳酸菌は別物

 先ほども簡単に触れましたが、腸内の乳酸菌とヨーグルトを自然に作ってくれた常在の乳酸菌は別物というのが常識になっています。

 いくら生きた乳酸菌入りヨーグルトを食べ続けたとしても、その効果はかなり限定的で、腸内細菌叢で暮らす100万の微生物類をすべて従わせるか、すべてをお気に入りに入れ替えるというようなことができるのなら、とっくに健康問題の8割は解決しているでしょう。

 膣内に生息するデーデルライン桿菌群と呼ばれる乳酸菌群は、文献によるとグリコーゲンを食料にして生息し、代謝物として乳酸を分泌するそうなのですが、腸内のビフィズス菌、乳酸菌群でグリコーゲンを主たるエネルギー源にするという菌種は見当たりません。

 一方大腸内のビフィズス均等の場合、腸壁からグリコーゲンが漏出するということは考えにくいですし、ヒトが常食する食品類でグリコーゲンの形で糖類が存在する食品はあまり多くはありませんから、一般的に言われているようにオリゴ糖などのその他多糖類が主たるエネルギー源であると思われます。

 もっとも、牛の場合でもトータルとしては失敗でしたが、動物性の原料を混ぜた合成飼料の方が生育だけは良かったという事実もありますから、グリコーゲンしかなければグリコーゲン、本当はオリゴ糖の方が好きだけどね、ということがあるのかもしれません。

 先ほども述べましたように、乳児の胃酸pHの酸性度は高くありませんから、鼻、口から侵入してきた、誕生時に周囲にいた方々の手先や体表、それらから遊離して室内空気中を漂っていた細菌類は容易に胃、小腸を通過して大腸に達し、そこに存在する大腸内のたんぱく質(おそらく、成長過程で小大腸絨毛から剥がれ落ちた絨毛細胞=胎便)を栄養として早速繁殖を始めるということなのでしょう。

 通常分娩であれば、乳酸菌群(デーデルライン桿菌群)も相当数が先に侵入済みですから、その他の菌の影響はあまり受けない可能性が高いですし、帝王切開出産であれば、とりあえずは悪党ばかりが先に侵入することになってしまうから、いささか問題が生じる場合もある、ということになるかと思われます。

 ただ、説明がつかないことはまだあって、新生児も数週間、数ヶ月経過して立派な?乳児に成長すると、ビフィズス菌や乳酸菌の種類も増えて、安定した乳児腸内細菌叢を形成すると考えられているのですが、それら、あとから増える腸内細菌の種菌はどこから入ってくるのか、どこかで新たに発生でもするのかということが問題となってきます。

 現代最新医療機関の産婦人科分娩室内において、どこからサンプリングしても必ず大腸菌が検出されるというほど、衛生管理がお粗末ということはあり得ないと思われますが、 一般的な培養法では存在を確認できないほどの、ごくごく微量の大腸菌であればそれこそ完全滅菌室でもない限り、多少は存在するということなのでしょうか。

一方、産道にビフィズス菌が常在しているかどうかについては、今のところ定説はないようです。新生児においては、通常分娩直後からビフィズス菌が繁殖を始めるから、産道内にはもともとビフィズス菌も常在しているようだ、という消去法による推定ではないかと思われます。

 腸内細菌についてはここ数十年の間にかなり研究が進み、本当に盛んに研究が行われるようになったのは、とくに医学を専門分野とする方々が本格的に研究するようになってからは、まだ十数年~数年のことですから、まだまだ判っていないことの方がはるかに多いのだよ、と言われてしまえばそれまでなのですが、何か、どこかに正解があるはずです。

 ちょっと専門的な話ですが、産婦人科分野では各種膣炎の病態研究として、膣内細菌数を指標にすることがあるのですが、その際には、やはり、デーデルライン乳酸菌群として乳酸桿菌数の減少を指標にすることが多いようで、ビフィズス菌群を指標とすることはないようです。

 乳酸菌と比較して、大腸内では圧倒的に優勢(とくに乳児では)であるビフィズス菌が指標として選ばれないということは、やはり膣内においては存在するかもしれないけれども少数派であろう、ということがいえるかと思います。

 次にヤクルト中央研究所の研究ですが、出産前の母親の便中のビフィズス菌を培養し菌株を遺伝子解析により分類したところ、多くの菌株が新生児に引き継がれていることが分かった、という研究があります。

 もっとも、逆に興味深いのは、被験者である8組の母子から見つかった総株種数は207種であり、そのうち6組の母子から43種の同一菌株伝播が確認された、となっているのですが、そうなると、2組の母子間では同一菌株伝播は起こっていなかったということですし、中には母親の便中には見られなかった、菌株を持っている乳児も存在したことをうかがわせます。

 さらにいえば、母親の大腸内には棲息していなかったビフィズス菌も、その子供には多数繁殖していた可能性があるということを示唆するものと思われます。

 そうなると、話は完全に振り出しに戻って、それならその他の菌はいったいどこから来たの?ということになるわけです。

 乳酸菌であるなら、いろいろなタイプの菌株がいろいろな経路から人の消化管内に入ってきて、変異、繁殖したものと推定されますが、人の大腸内でしか棲息しないとされるビフィズス菌はどこから来たのか?帝王切開で生まれて、もちろん膣液塗布もしていない幼児、成人のビフィズス菌は?

ビフィズス菌、乳酸菌の侵入経路 

 ビフィズス菌の消化管内への侵入経路に関する文献はまったく見つかりません。たぶん、多くの研究者らが同じ疑問を抱いているのでしょうが、何の証拠もなしに学会で主張するわけにもいきませんから、誰も発表できないのでしょう。

 大胆な仮説を述べさせていただくなら、基本的には他人の糞便経由でということになりそうです。そんなバカな、と多くの方は反論するでしょうが、大腸菌群の検査をするとかなりの場所から検出されます。食品を調理、管理する場所でも検出されることが多いですから、その他の衛生には気を使っていない場所で、ヒトや動物が生活しているところであれば、検出されるのが当たり前というくらいのものです。

 一般的に大腸菌の検査というものは、全般的な衛生管理状態を示す指標として行われます。大腸菌群の多くは食中毒の原因菌ではないのですが、大腸菌群が検出されるということは極微量の糞便が実際にそこに付着したという証拠であり、人の糞便が極微量とはいえ付着した痕跡があるということは、手洗い等も不十分であったし、他の食中毒菌等もついている可能性が否定できない、という根拠になります。

 その場合の細菌類は液体に浸されているわけではない乾燥状態ですが、今日ビフィズス菌を主原料とした医薬品(ビオフェルミン錠等)や健康食品で顆粒状のものが多種販売されているように、ビフィズス菌は乾燥状態でも生存可能です。増殖はできませんが、冬眠したような状態で生き延び、死滅はしないのでしょう。ただし、納豆菌のように芽胞を形成する能力はもっていないとされていますから、どのようにして生き延びて結果的に他人の大腸に寄生するのかは分かっていません。

 俗に、排便された便の、見かけのカサの半分以上は腸内細菌の死菌といわれますが、一定割合で生菌も含まれているからこそ培養検査が可能であるということになります。

 つまり、大腸菌が検出されるところには、必ず待機状態のビフィズス菌も存在するはずです。

 中途半端な衛生管理、偏った殺菌を行い始める前は、いろいろなタイプ(株種)のビフィズス菌種菌を、それこそ毎日欠かさず補充することができたのでしょうが、その補充経路を自ら断ってしまったがために、腸内細菌叢の悪化が起こるようになってしまったとも考えられます。

であるからこそ生食療法が効く!!

 ヒトの大便中の細菌を最新の技術で培養すると、一人当たり300400種が検出されるということはすでに述べました。

 そのすべての細菌に名前がついているかというと、もちろんすでに既知の細菌の方が多いことは多いのですが、それでもまだ名前がついていない菌、つまり細分類上(菌株まで分類しようと思えばという意味ですが)分類不能な菌株、大げさに言えば未知の菌株、新種の菌株ということになりますが、そういった細菌株が各人に何種類も発見されるのだそうです。

 乳業メーカーが、特定の菌株をスターにして自社培養菌株の特性、優秀さを宣伝しているように、それぞれの菌株の生命活動、分泌代謝特性には各々特性があるはずで(通常は欠点もあるということになります)、われわれ哺乳類は常に最も有利な相手との提携、共生をもくろんでいます。

 新生児の時には母親からもらった種菌を原料として、母乳しか飲まないという哺乳類独特の特殊な食餌内容で、ビフィズス菌、乳酸菌ほぼ100%の状態を維持し、他の細菌の繁殖による害をほぼ完全に防ぎます。

 乳児期から離乳食の時期になると、母親が噛んで柔らかくしてくれた食材を口移しで食べさせてもらい、母親が口腔内で培養した乳酸菌群を日々補給してもらいます。

 こういったことが期待できない離乳後以降は、新たな菌種、菌株をそれこそ死ぬまで補充し続けない限り、腸内細菌叢を健全な状態に維持することは困難であると考えられます。

 同一菌株だけを純粋培養することは菌株そのものの好ましくない変異を惹起しますし、たとえ同じ菌株であっても大自然(明確に説明できなくて申し訳ないのですが)にもまれて耐えてきた菌、あるいは新種の菌を補充し続けない限り、腸内細菌叢は衰退してしまい、宿主であるヒトも同じ運命をたどる可能性が極めて高いということが言えるかと思います。

 よく講習会でお話させていただく例え話なのですが、社員10人の会社で補充社員を1名募集した場合、応募者が1名しか来なかった場合に、その応募者が大変優秀である可能性は残念ながらあまり高くはありません。

なんと言っても零細企業の欠員募集で、学歴経験不問という条件ですから現実はそんなものでしょう。

 しかし、何を間違ったのかそのたった1名の募集に対して1000人の応募者があったとしたらどうでしょう。

 ここだけはお金をかけて、充分な経験、実績を有する経営コンサルタント会社に人選を委託して、そこから選ばれた1名であるとするなら、社長を即刻交代してその新人に会社経営を任せるのがベストな選択です。

 細菌に対して入腸試験をおこなうことはできませんし、何を基準に選ぶかもまったく不明ですから、とにかくできるだけ数多くの候補生を現場に送り込んで、現場で生き残ったやつに任せる以外に方法はないでしょう。

 そんな乱暴な方法で良いのか?とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、そういったことを続けてきた結果として今日の人類の繁栄があることを忘れてはならないと思います。

 ヨーグルトのコラムでお話させていただいたように、母親からもらった菌だけの純粋培養ではどうにもやっていけないということは、とっくの昔に結論が出ています。 

 明らかな病原菌を除いて、ありとあらゆるタイプの菌類を彼らの理想とする食材とともに多量に摂る、そのための理想的な方法論が「生食療法」です。

 さすがにそこまでは辛いという方は、暴飲暴食はしない、あまり動物性のものが多くなりすぎないようにする、という条件の元に、おかずの一品としてどろどろの泥状汁を加える、という方法でも相当な効果が期待できます。

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