西式健康法

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新解・西式健康法とは

約26分

朝食廃止について

西式健康法の中で主要な主張として「朝食廃止」を提唱していますが、習慣的に朝食を召しあがったからといって、寿命をうんと縮めてしまうであろうとか、そういった極論を主張している訳ではありません。

ましてや、概ね健康な方であればたまに召しあがったくらいではそれこそまったく関係ない、と申し上げても良いでしょう。

 しかし、最近では、朝食こそが一番重要な食事であるということになってしまい、「何はなくても朝食」という風潮になってしまいました。

はたして本当に、純粋に科学的な立場から考えてもそれが妥当であるのかということについて再検証しましょう、ということです。 

 

朝食を摂らねばならぬとする根拠

 多くの一般の方々は、朝食を抜くのが一番悪い、朝食を食べないと午前中にエネルギー切れを起こして、学習でも仕事でも、意欲、能力が低下するからこの激しい競争社会の中では朝食だけは絶対に欠かしてはならない、という認識を持たされていると思います。

 それも無理のないことで、一部の栄養学者や教育関係者、なかには一部の体育系運動生理学者や医師までがそういう発言をします。

そして、そういった内容はしばしばテレビ番組でも取り上げられ紹介されますから、それを信じない人は

よほどの変り者ということになります。

 それに反論するのは、太平洋戦争中に「日本は負けるだろう」とか、「人間天皇」、「お国のためだろうがなんだろうが死ぬのは嫌だ」と公言するのと同じくらいの勇気が必要です。

 さて、それら多くの主張の中で最も皆さんの印象に残っている内容は、「エネルギー切れ」の話であろうと思われます。

ますます学歴が重視されるであろう可能性が高い将来に対して、子供の成績は母親にとっての最大関心事の一つです。

そこに「体内ブドウ糖枯渇」、「グリコーゲン最大備蓄量」、そして「脳はブドウ糖しかエネルギーにできない」といった断片的な知識が一気に脳内で湧きあがって、なるほど仮にまったく子供さんに食欲なんかなくたって無理にでも食べさせなければいけないし、だいたい先生に自分が厳しく叱責される。

あらゆる情報、外部環境が朝食を食べさせろ、自分も食べなければいけない、という愛国少年ならぬ、朝食至上主義家庭を作り上げています。

グリコーゲン

 過剰な糖分、食事をして小腸から血中に吸収されたブドウ糖のうち、血中飽和量(完全健康者であれば140mg/dl)に達した後すぐに使いきれないブドウ糖余剰分は、肝臓内でグリコーゲンという糖質(多糖類)に化学合成、変換されて肝臓に備蓄されます。

 そのグリコーゲンの肝臓による最大備蓄量は、平均的な大人で100g~120g (一部文献では90~150g)とされているのですが、ごく一部の文献では60gと記述した文献もあります。

欧米の生理学書も2冊見てみましたが、その貯蔵量は具体的な数値としては明示されておりません。貯蔵量の測定法が確立されておらず、ブドウ糖消費量と後述の糖新生開始のタイミングから推定した貯蔵量であるため記述を控えているのではないかと思います。

なお、筋肉に貯蔵できるグリコーゲンが300g 前後ありますから、体内の総グリコーゲン貯蔵量としては400g前後ということになるのですが、骨格筋中のグリコーゲンはブドウ糖に分解して血中に放出、再利用することができません。

骨格筋中のグリコーゲンは筋肉活動のための備蓄エネルギーとして限定して貯蔵されたものだからです。

ですから、脳が使用可能なグリコーゲン備蓄量は全部で100g程度しかないということです。

 次に、グリコーゲン100g がブドウ糖では何gに相当するかというと、分子量から推定するとおよそ10%増しということになり、110g程度 ということになります。

 もともと各々の備蓄量、消費量を正確に積算した上での計算結果というわけではありませんから、あまり細かく配慮する必要もないかとは思いますが。

 一方で単位当たりのブドウ糖消費量はどうかというと、全体量としては筋肉の使用程度によって大きく異なります。脳に関して言えばあまり大きな変化はなく、多くの文献で5g/毎時(120g/日)程度とされています。

 ですから、激しい筋肉運動をして筋肉中のグリコーゲンが著しく減少し、肝臓中のグリコーゲンに手を付ける必要が出てしまった場合でもない限り、肝臓のグリコーゲン備蓄分だけでもおよそ24時間近くカバーされることになっています。

ですから、次の夕食も絶食しない限り、何が何でも朝ごはんを食べないとブドウ糖不足に陥る可能性が大きいなどという計算は成立しないはずなのですが、ここで効いてくるのがグリコーゲン備蓄量60gというまったく主流とは言えないない説です。

 この主流ではない説がどういった文献に引用されているかと言うと、朝食は絶対に食べないといけないという主張をしている文献の中だけです。朝食を食べさせるためだけの適当な数値と言ったら言い過ぎでしょうか?

 60gのグリコ-ゲンを毎時5g ずつ消費するとなると12時間で使い切ってしまう計算になります。

前日の夕飯を午後7時頃に食べた人であれば、翌朝7時にはグリコーゲンが枯渇してしまう可能性が出てくることになり、頭が悪くなるどころか理論的には死に直面した、重篤な低血糖寸前状態ということになります。

しかし、朝ごはんを食べそこなったからという理由だけで低血糖症状を起こした人が世の中に居るでしょうか?正確には居るのですが、これについてはのちほど説明します。

普段は朝食を食べる習慣のある方でも、災害時や遅刻寸前の寝坊で、朝食を食べそこなったということは日常茶飯でしょう。

それでも、本当に生命にかかわることでもあるなら、「遅刻なんかしたって良い、とにもかくにも朝ごはん優先」という社会的な合意ができそうなものですが、まったくそうはなっていません。

誰も、朝ご飯を抜いただけ、どころかそのまま昼食を抜いたところで低血糖症状など起こすことがないことを知っているからです。 

ここで忘れないうちに、朝ごはんを食べないと本当に低血糖症状を起こす人について説明しておきましょう。ペットボトル症候群の人?いえ、違います。

ペットボトル症候群は急性の型糖尿病による異常高血糖症状であって、一部で言われているような低血糖症状ではありません。

朝ごはんを食べないと低血糖になってしまう人の説明に戻りますと、それはインスリンもしくはインスリン分泌を促進する糖尿病薬を服用している人が、それら薬剤は服用したにもかかわらず食事を摂り損なった場合にのみ起こる現象です。

ですから、糖尿病の人は医師から「絶対に朝ごはんは食べないといけない」と注意されますが、それはインスリン分泌促進薬(スルフォニル尿素剤系=オイグルコン等)を食事毎に服用するように処方されているからです。

朝食を食べずに薬だけ服用したら、本当に低血糖を起こして生命の危険まであるから絶対に食べなければいけない、と言っているのであって、最初から昼夕の2食生活に合わせた処方をしてもらっていれば、実は何の問題もないのです。

また、今日では軽度の糖尿病患者に対して、でんぷんの吸収阻害を主作用とした糖尿病治療薬(αグルコシターゼ阻害薬=グルコバイ等)も広範に処方されていますが、その場合には食事せずに服用したところでまったく問題は起こりません。

一般的に、ご自分が長期連用している薬の種類、薬理作用など、まったく知らないまま長期間服用している方が大変多いようですが、ご自分の薬くらい正確な名称、薬理作用等についても正確に理解しておく必要があると思います。

24時間絶食したら低血糖を起こすか?

  朝ごはんを食べないと低血糖を起こすということについては、普通に計算しただけでもかなり無理がある、ということがまずはご理解いただけたかと思います。

 それでは次に、甘い計算をした場合に絶食時間が24時間以上経過してしまったら、さすがに低血糖を起こす可能性があるかどうかついて考えてみましょう。

 人類の歴史の中で、何日か絶食しなければならない状況に、不本意ながら陥った経験というものは何億例もあったことでしょう。

 実際はそんなわずかな頻度ではなく、時代、地域によってはほぼ毎週のように食料を得られずにひもじい思いをした、というのが平均的な生活であったでしょう。

 しかし、人類が絶滅することはありませんでした。何食か抜いたからといって、低血糖で頭の働きが著しく鈍くなって、筋力も十分に出せないままやがて意識を失って死んでいった、などということはまったくありませんでした。であるからこそ今日まで人類の歴史は続いています。

 進化の知恵には到底及ばない我々の思考力でも、金銭的に余裕ができれば、一部は現金、一部は預金、保険、株式、さらには、不動産、金地金、人によってはクラシックカーとか美術品であるとか、分散して貯蓄することを考えます。いろいろな可能性を予測するからです。

 肝臓の備蓄を使い切ったら低血糖を起こして死んでしまう、などと考えること自体、生命や神に対する冒涜であるとしか言いようのない浅はかな思想です。

 我々よりはるかに賢明な存在は、何重にも及ぶ延命対策、安全装置を用意しています。脳がエネルギー源として優先的にブドウ糖を使用する仕組みであることは間違いのないことですが、我々はそういった構造であるがゆえに、次のような仕組みを獲得しました。

糖新生

 これは、大人向きの生理学に類する本であれば、索引にも必ず掲載されている用語です。糖新生とは何かというと、体内備蓄物質からブドウ糖を再生産、合成する能力のことです。

 糖新生には二つのルートがあり、一つは脂肪から、もう一つのルートはたんぱく質からブドウ糖を再合成します。

 考えても見てください、食事量を減らす、俗に言うダイエットですが、ダイエットをすると何が起きますか?低血糖になって死んでしまうのではなくて、皮下脂肪等が減って痩せていきますよね?

摂取カロリー量が消費エネルギー量を下回ると、日常活動に必要なエネルギーやブドウ糖が不足しますから、脂肪を分解してエネルギーもブドウ糖も作る仕組みを備えているということなのです。

食事量を減じたり一食、二食抜いたくらいでは(空腹感はつらいですが)、低血糖などまったく起こすことなしに、ただ痩せていけるということでもあります。

 糖新生で誤解されているのは、たんぱくも脂肪も同時に分解していくので食事量を著しく減じるようなダイエット、断食や極端な少食ということなのでしょうが、そういった無理なダイエットをすると、優先的にたんぱくの分解が進んでしまうので、健康によろしくないという主張をする方もいますが、これも、まったくのデタラメであるとしか言いようがありません。

 ちょっと考えてみていただければ判ることですが、あなたが今災害に遭遇し、手持ちの食料をやりくりして何日か、数週間か生きていかなければならないとします。

 買ったばかりの刺身と、缶詰、干し肉等の日持ちする食材とがあった場合に、まず缶詰から食べ始めるバカはいないでしょう?ということです。

 日保ちの悪いものから先に食べるという選択は、へーっと感心されるような類の選択ではなくて、常識としか言いようのない選択です。理由の説明も不要です。

 食料を得るため、生存を維持するための筋肉中のたんぱく質と、もともとそういう事態に備えて備蓄している脂肪と、どちらを優先的に使用するかというような選択を、神様が間違えるわきゃないだろう?ということです。

 がん末期の方の病状推移でも明らかですが、まず脂肪を消費しつつ、活動性も低下していますから主要骨格筋量も減少してきます。ただ、これは、糖新生のために積極的にたんぱくを分解しいったというよりは、単なる運動量低下による自然の反応、つまり無用な筋量は維持しないということのために、筋量低下が起きていると考える方が妥当であると思われます。

体脂肪がほとんど無くなってくるときには、多くの場合たんぱく質消費も進んで骨格筋等の筋量も著しく減少してくるわけですが、それでも呼吸とか心拍、嚥下に必要な筋肉などは、最後の最後まで極力維持しようとします。1分、1秒でも生命を永らえようと、残酷とも思える仕組みが機能し続けるのです。

 にもかかわらず、朝ごはんを抜くと低血糖になるとか、断食や少食がたんぱく分解が優先されるから、非常に健康に悪い、基礎代謝が落ちるとか、訳のわからない主張をされる方は、ウソつきであるか、余りにも勉強をしていないかのどちらかであって、どちらにしろ学者であるなら完全に失格であると言わざるを得ません。

空腹時血糖値

 江部康二先生(糖質制限食提唱者)の実践、ご研究でも明らかなように、ヒトは脂肪、たんぱくの備蓄があるうちは、その方が遺伝的に持っていると思われる要素である、空腹時血糖値は死守されます。

完全に糖質摂取を止めてしまっても、糖新生を行って最低限の血糖値を維持しているのです。糖質を制限したからといって、血糖値がどんどん低下してしまうといったような事実はありません。

ただし、糖尿病の傾向があって、空腹時血糖値が遺伝的な資質よりも高めであった人は、本来の遺伝的設定空腹時血糖値に落ち着いてきます。

 そういった事実からも、1食抜いた程度で血糖値が下がり過ぎるなどということはまったくあり得ないことです。

 さて、ここまでは「朝食を抜いたらえらいことになる」ということがまったく事実ではない、ということの説明であって、朝食は摂らない方が良いということの説明ではありません。次に摂らない方が良いのだという根拠をお示しします。  

自律神経の面から朝食を考える

 自律神経の面から朝食について検討すると、朝食を摂ることがかなりの人にとって大きなマイナスになるということが理解できます。

ヒトは交感神経興奮時と副交感神経興奮時では血液の流れるルートを切り替えて、言いかえれば血液の使い分けをすることによって効率の良い生き方ができるように設計されています。

戦い(捕食、防衛)と消化吸収を同時に行わなければいけない状態というのは、確率的に高くないので、それを同時に遂行するための用意、態勢は備えておらず、多くの場合には交互に使い分けるということによって対処する設計になっています。

突飛な例えかもしれませんが、例えば、容積が極めて限られている潜水艦は三段ベッドで、しかも乗員数のおよそ1/3のベッド数しか用意されていないのだそうです。もちろん上級士官用は別のようですが。

軍用艦船における任務は原則三交代制による24時間勤務で、非常時には全員が起きていることになりますから、その数で十分足りるのだそうです。

個人用の専用ベッドスペースを各々確保するくらいなら、少しでも多くの兵装、弾薬を搭載したいわけで、軍用艦船であれば当然ということになるでしょう。

ヒトも同じで、この程度の身体で適当な戦闘力、耐久性、持久性をバランスよく備えて、総合的な生残率を上げるためには、かなり高度なレベルの妥協が必要になってきます。

ですから、交感神経、副交感神経の優位な状況を同時にではなく、交互に興奮させて上手に使い分けているということです。

 生理学上もこれは明らかなことで、一部の生理学書には『交感神経興奮時には消化管への血流は著しく減少する』と明記されています。

捕食活動、闘争、逃走などの行為を行う際に、同時に栄養を確保、貯蔵する、あるいは身体の修復を同時進行で行おうとすることによって戦闘能力が低下し、結果的に死亡率を上げるようなことがあっては何の意味もありません。

闘争、逃走時には交感神経系の能力を最大限発揮できるように、副交感神経系を休止状態にしてしまうということです。

一方、夜間熟睡時は副交感神経優位の頂点とも言える状態です。消化・吸収能力は最大限に発揮され、身体の修理や成長もこの状態で促進されるようになっています。

寝る子は育つ、病人は基本的には寝ていなければいけない、ということはこの点からも明らかなことです。 

 そして、朝、目が覚めます。本能は何をさせようとするでしょうか?睡眠の続きである消化吸収ではなく、交感神経を十分に働かせて命がけの捕食活動を始めようとします。

 つまり、自律神経が副交感神経優位状態から交感神経優位状態に切り替わるということです。

前日に食べた食物の栄養を余すところなく消化、吸収し、使いきれなかった分は備蓄するため、就寝中には消化管に十分な血液供給をしていた副交感神経優位状態から、骨格筋への血流量を劇的に増大させることができる状態、交感神経優位状態に切り替えるようになっているということです。

 今日では、起床直後から命がけの活動というようなことは少なくとも日本の一般人にはあり得ないことですが、そういった神経の作用は原始時代から受け継がれた仕組みですから、命のやり取りではない堅気の仕事?であっても、学習であっても、競争心理が働くような状況では、自動的に交感神経興奮状態という戦闘モードに切り替わろうとします。

自律神経を混乱させる愚

 自動的に交感神経興奮モードにスウィッチされようとする時に、食事をしたらどういうことが起こるでしょうか?脳や骨格筋に血液を優先的に回す準備をし始めたところに、消化管へ食物を入れてしまうわけですから、不本意ながら血液を両系統に再配分し直さなければければなりません。

 しかし、再三申し上げているように両系統に十分に供給するだけの余裕はありませんから、どちらかが不十分になるか、両系統ともに不十分になるしかありません。

(コラム;やや太り気味のほうが健康?)

 頭が十分に働かず、骨格筋に血液を十分に供給できないか、あるいは十分な消化吸収活動ができないか、さらには両方とも満足な働きができなくなってしまうかです。

 ここで日常生活のうえでの常識を思い出していただきたいのですが、食後に目が冴えて仕方ないという方がいらっしゃいますか?

 食後は自然と眠くなってしまうというのが普通ですね?私も月に3~4回は講習会、講演会で皆様にお話をさせていただく機会がありますが、午前~午後に及ぶ終日講習会ですと、昼食休憩後に睡魔と必死に闘って聞いてくださっている様子を演壇から観察させていただいております。

 これは私の個人的な感想ということになってしまいますので、客観的なデータからそれをお示ししたいと思います。

データで示すと

平成16年6月に報道された内容ですが、大阪府赤十字血液センターが献血者約33万人について、献血時点での食後経過時間と献血後の意識喪失、めまいなどの発生率についてまとめた調査結果です。

 この症状は「血管迷走神経反射=VVR」というのだそうですが、献血後にこの症状を起こした人が調査期間中に1,055人出て、そのうち、食後二時間未満の人の発生率が際立って高かったという報告です。

それ以前の常識では、欠食状態で献血をすると貧血を起こしやすいから、午前中に献血するなら絶対に朝食を欠かしてはならないと考えられていましたが、献血直前に食事を摂るとかえって貧血症状が起こしやすい、ということが権威はあるが作為のない準公的機関によって、統計的に証明されたということです。

 さらに注目すべきは、食後8時間以上経過している場合でも、食後4時間未満と比較した場合にその発生率が明らかに低いということです。

 朝食を抜くのがベストという結論は絶対に困るということであるのか、そのようなことは考えるだけで恐ろしいと考えていたのかは判りませんが、1415時間以上の長時間欠食(単に朝食を摂らないということですが)については、残念ながらデータを取っていないことが惜しまれます。

 一般的な献血量としては、1400ccが標準ですから、肉体的には400㏄の出血が生じたのと同じ状態です。少なくともこのような特殊条件下では、直近の食事後の経過時間による血糖値低下(といっても空腹時血糖値に戻っただけです)と比較しても、ヒトにとってより深刻な問題であるはずの脳貧血症状が、食後の経過時間が短いほど起こりやすいということです。

 この事実について、統計結果をまとめた大阪府赤十字血液センターの担当者は、消化器官が消化吸収のために血液を集めてしまい、そのために頭部の血流量を十分に確保できなくなることが原因ではないかと推察していますが、まさにその通りでしょう。

 血糖値を一時的に高くしてやったとしても、脳貧血を起こしてしまえば脳の機能はそれ以上に低下してしまう訳で、やる気が出ない、学習能力が低下するといったような次元の問題ではありません。

 自律神経の混乱は重大な問題を起こす原因になり得るが、欠食時間が長くなったとしてもそれを十分に補うシステムが完備しているから何も心配することはない、ということです。

 もっと突っ込んだ言い方をさせてもらうならば、そういった機能の使い分け訓練は日常的にやっておいた方が良いのではないか、ということでもあります。

それでも朝食が重要とする根拠になった実験

 ヒトは精神的要素が強すぎて、環境の違いによる知能、頭脳の能力の高低の判定が困難で、朝食を抜いた場合と、摂取した場合の同一人物による能力差についての信頼に足るような実験は存在しません。

 学会で発表されたものも数例はあるようですが、簡易朝食を開発、販売している会社の実験データ(その会社の製品を食べたグループが最も能力が高かったとするような)などで、とても客観性があるとは言えないものです。

 しかも、それらの実験の多くは、もともと朝食を食べる習慣を持った人々に、複数種の朝食を摂らせるか、まったく摂らせないかという条件の違いを比較したもので、もともと朝食を摂る習慣のない人に食べさせた場合、いつも通り食べなかった場合という条件での比較実験は実施されておりませんから、不十分であると言うしかありません。

 それでもなお、朝食は絶対に食べるべきだとするグループのなかで、比較的科学的な思考ができる方々の根拠となっているのは、マウスの実験のようです。

 空腹時血糖状態のマウスと十分に血糖値をあげさせた状態のマウスに、迷路を覚えるまでの時間を競わせる実験で、血糖値が高いマウスの方が早く迷路の脱出ルートを覚えるという結果が出たとされます。

 この実験に関する文献を新ためて探しているのですが、発見できず以前調べた時の私自身の記述と、記憶に基づいて論述しておりますことをご了承ください。

 まず、これらの実験の客観性を確保するためには、健康で正常なマウスのデータ、健康なマウスの空腹時血糖値の正常範囲であるとか、同じく食後血糖値の正常範囲を確定させる必要があると思われますが、マウスにはそれが存在しません。

 ヒトの寿命は平均して80年くらいはあることになっていて、糖尿病による高血糖が原因となる重篤な合併症が現れるまでの期間は10~20年、場合によっては30年近くかかる場合もありますから、ヒトは血糖値コントロ-ルを精密に行う仕組みを備えています。

一方で、マウスの寿命はどのくらいかというと平均して2年程度とされていますから、マウスは血糖値を精密にコントロールする仕組みをもともと持ち合わせていません。無駄な、意味のない能力を持つような余裕は、進化の競争の中では絶対に許されないからでしょう。

判明しているのは、正常と思われるマウスであっても食後血糖値の上昇度はヒトよりかなり高い(正常な人の上限値140mg/dl に対して、正常マウスであっても170mg/dl という数値をあげている研究者がいます)ということ、また、に属するマウスは絶食と呼べるような時間が存在しない食性であり、絶食に備える仕組みも十分ではないようで、絶食時間が長いと空腹時血糖値が徐々に低下してくる傾向があると述べている研究者もいます。

つまり、絶食によって血糖値が低下しているマウスはヒトにおける空腹時血糖値ではなく、人であれば軽度の低血糖症状に陥っているマウスである可能性が高いということです。

低血糖症状を起こしかけているヒトとそうでないヒトを比較したら、知能程度に大きな差異が現れるのが当然であって、これは朝食を抜いたヒトの昼近くにおける知能の程度を類推する実験としては、まったく不適当なものであると申し上げたいと思います。

仮に百歩譲って、血糖値が高い方がいくらか知能レベルは上がるという事実があるのだとしても、長期的には他の細胞にダメージを与えながら、わずかばかり脳の能力をあげることにどれだけの価値、意味があるかということです。

この薬を使うと睡眠時間がうんと短くて済んで、期間あたりの学習能力がうんと向上するからといって、受験生である自身の子供に覚せい剤を使わせようとする親は絶対にいないでしょう?

覚せい剤の場合には、短期的に学習能力が向上する(疲労感を感じなくなるということ)ということは確実でしょうが、中長期的な影響を考えれば、トータルとしては十台長いがあることが明白であるからです。

糖尿病を治療するとバカになる?

もう一つ矛盾する事実があります。高血糖によって知能が向上するという事実があるのだとすれば、という程度では前提条件が不十分ですから、もう少し細かく設定してみます。

空腹時血糖値が70~110mg/dlくらいのレベルより、130~140mg/dlくらいのレベルであった方が、同一人物の知能レベルが向上するという事実があるのだとすれば、あるいは、食後血糖値が140mg/dlという正常な血糖値コントロールができる人と、食後血糖値が240~250mg/dlにまで上がる人のほうが知能が向上するのだとしたら、あることに気付かなければなりません。

マウスの実験から類推すれば、血糖値レベルが高すぎることによって知能の低下が生じるとはされていませんから、ヒトもマウスの食後血糖値170mg/dl 程度あれば、知能レベルを向上させられるという可能性が出てきます。

次に、食後血糖値の高い状態はどの程度の時間継続されるものであるのかを知る必要があります。

各種報告によって、食事内容等によって相当なバラツキがあるのですが、(要;血糖値グラフ等)正常者が安静状態もしくは軽度の労作程度の状態を維持しているときであれば、血糖値は食後すぐに上昇を始め、ほぼ1時間後にはピークに達して、およそ3時間で空腹時血糖値レベルに戻るとされていま。

無条件で糖尿病と診断されるヒトの場合はどうかというと、かなり個人差はあるのですが、あるデータによれば食後すぐに上昇を始め、およそ2時間半後にピークに達します。その状態からその人の空腹時血糖値レベルに戻るためには、さらに3時間~5時間程度要することになっています。

つまり正常者であれば、食後血糖値を高く維持できる時間はおよそ2時間程度であり、そのピークも低いし、一方、糖尿病の人はそれが5時間程度続くと思われ、しかもピークは正常者の値をはるかに上回ります。

次に、糖尿病が発覚するまでの状況を振り返ってみましょう。多くの方が承知しているように、糖尿病には一部の例外的な発症状況(型糖尿病、劇症型糖尿病)や長期間糖尿病であった結果として顕著な尿糖が出るといったことを除けば、まったく自覚症状はありません。だからこそ怖いと言われるわけです。

それではどうして糖尿病であることが判明するのかというと、少なくとも毎年欠かさず健康診断(血液検査)を受けていたか、あるいは他の病気、怪我で入院等をした時に偶然発覚するという以外にはありません。

つまり、実際は何時から糖尿病を発症していたのかということは、欠かさず定期健診を受けていた人以外ははっきりしないわけです。

そうするとどういうことが言えるかというと、多くの糖尿病患者の高血糖は相当期間見逃されていたということであり、その方の能力は病的な高血糖のおかげであったということになってしまうわけです。

ですから、空腹時血糖値状態で知能程度が明らかに低下するなどということが、万々一にも起こるのだとすれば、言葉を変えれば糖尿病の人は高血糖状態を病気のおかげで維持できていたから、高めの知能程度でいられたということになります。

もしそうであれば、糖尿病治療として血糖値コントロールを始めたとたんに、その方の能力は低下してしまうはずで、人によっては使いものにならない状態になってしまう可能性があることになりますが、私はそのような事例を耳にしたことはただの一度もありません。

「あの人、糖尿病治療始めてからダメ人間になっちゃたよね。彼のキャリアもこれまでだな」とか、「受験が終わるまでは、お子さんのインスリン治療は延期しましょう。受験に失敗したら大変だから」という事例も聞いたことがありません。

 本当の意味での専門家は、そのようなことはまったく心配していないからです。薬剤によって血糖値をコントロールしたからといって、知能レベルが低下することなどまったくあり得ないことだし、これらが非科学的な都市伝説に過ぎないということがお解りいただけたのではないかと思います。

糖尿病発症のリスク上昇と低血糖の恐ろしさ

 糖尿病は、予備群、隠れ糖尿病(食後血糖値のみ正常値を超える群)を含めて確実に増加し続けています。

 50~60年前には決して一般的な病気ではなかったのですが、今日では日本人の5人に1人近くがこのいずれかの状態になっているとされています。

糖尿病には大きく分けて、ウイルス感染が原因とされる型と、栄養過剰等が原因となるとされる型糖尿病があります。これから解説するのは型糖尿病についての解説であるということをまずお断りしておきたいと思います。

この型糖尿病の原因にはいくつかの仮説があり、必ずしも定説にはなっていないことになりますが、摂取エネルギー量の増加、とくに摂取エネルギー総量が充足されているという状況下における糖質過剰とエネルギー消費量の減少、これによってもともと遺伝的にもっているインスリン分泌能力が追い付かなくなってしまった結果であろうと考えられています。

発症がインスリン要求量の大小と遺伝的分泌能力の引き算で起こる、というほど単純な問題ではなさそうですが、血糖値ピークが大きいほど、上昇している時間が長いほど、インスリン要求量は増加するはずである、ということは確実に言えます。

そして、細胞がダメージを受ける可能性のある血糖値レベルである、例えば170mg/dl(この数値に裏付けのある根拠はありません。私が設定した適当な値です)の状態が毎日6時間生じるのと、340mg/dl まで上昇する状態が毎日3時間ある場合とで、HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー=直近2カ月間の血糖値平均値を表す指標検査数値)の値はほぼ同じになるはずです。

つまり、グラフで説明すれば血糖値が一定以上になっている部分の面積の大小によって、型糖尿病の発症率も影響を受けるはずであるということになります。

そして、この面積を減らすには三つのアプローチ法があり、糖質制限食のように血糖値が上がらない、あるいは上がりにくい食材を選ぶか、食事総量を減らすか、食事回数を減らすかという方法です。

それでも、遺伝的にインスリン分泌能力にいささかの異常のない人であれば、どのような食材、食事量、食事回数であっても糖尿病を発症することはないということになっていまして、例えば、あんこ型のお相撲さんの多くが糖尿病である、または引退後ほとんどが糖尿病になるというような事実はありません。

力士の糖尿病発症率は、引退後ということになると明らかに高いのですが、それは、食事習慣(量と質)があまり変わらないのに、運動量が激減するからであろうとされています。

つまり、現役時代よりエネルギー消費量が激減するのに、摂取エネルギーは見合った量としては減らないために、ブドウ糖を処理するためのインスリン要求量が相当増大してしまう、いうことであると思われます。

それでも、単に食べすぎたら、肥満したらそのほとんどが糖尿病になる、といった性質ではないことがお分かりいただけると思います。

 何を申し上げたいかというと、遺伝的に糖尿病を発症する可能性が少しでもある人であれば、過食、つまり血糖値が高い状態、前述の「血糖値が一定以上になっている部分の面積」を大きくすると、糖尿病発症率は確実に上昇する、ということです。

 生徒、学生全員に糖負荷試験を実施して、糖尿病の発症確率を確認してから朝食を勧めるならともかく、一切そういったことは調査せずに、科学的な根拠すらなく、それ食わせろ、やれ食わせろと朝食を推奨するということは、犯罪的ですらあると申し上げたいのです。

 さらに申し上げたいことは、過去に糖尿病で恐れられていたのは糖尿病性昏睡であって、糖尿病性腎症でも糖尿病性網膜症でも、糖尿病性壊疽でもなかったということです。

 高血糖を放置しておくと、いずれ異常高血糖状態に陥って意識を失い、そのまま絶命してしまうという糖尿病性昏睡に陥ることを恐れていたのであって、そのために血糖値コントロールが必要であるということになっていました。

 ところが、今日では薬剤の過剰投与による低血糖状態の積み重ねが原因となって、腎症、網膜症、壊疽が起きている、つまり糖尿病合併症の多くはむしろ医原病ではないか、という見解が増加しつつあるというのが現実です。

 これは私が実際に聞かせていただいた体験談ですが、来週にも糖尿病性壊疽で足指の切断手術を受けることが決まっていた方から聞かせていただいた内容です。

その方はかなり以前からインスリン自己注射をしている重度の型糖尿病の方で、注射後たびたび、冷や汗が出たりやや意識が遠のくような感覚を感じていて、主治医にそれを受診のたびに訴えてきたのだが、まったく聞き入れてもらえなかった、とのことでした。

データ的には適切に血糖値はコントロールされているということで、同じ単位のインスリンを処方され続け、注射し続けて、結局切断することになってしまいました、という内容です。

高血圧治療でもまったく同じことが起きているのですが、十分な科学的、医学的根拠もなく、ただただ呪文のように、「高血糖は悪」、「高血圧は悪」ということが医師の頭に擦り込まれており、多くの医師は上の値が期待値レベルにさえなっていれば良しと考えています。

その治療、薬物過剰投与の結果生じる低血糖、低血圧の恐ろしさに対しては、まったくと言って良いほど配慮されていないという現実があるのです。

過剰投与によって生じた低血糖、低血圧による一過性脳虚血によってどれだけの犠牲者を出してきたことでしょうか?

生食療法について

 古い話で恐縮ですが、西式のおかげで命を救われたと言ってくださった方々のうちの相当数の方が、まだ日本に抗生物質系の抗結核薬が入ってくる前の重症結核の方々でした。

 とても命は助からないであろうと半ばあきらめつつ、「座して死を待つくらいなら、あの西式とやらをやってみようか」という方が大勢いらしたようです。

 最初に始めたグループの方々のなかから、回復傾向を現す方が出始めれば多くの方々が試してみたはずです。

 不幸にして回復なさらなかった方々は結果について語ることはありませんから、有効率であるとかのデータはまったくないのですが、まだ私が若い頃に何人もの方々から、「私はあなたのおじいさんに命を助けていただきました」という形で代わりにお礼を言われたことがあって、その中の多くが戦後の重症結核の方々だったのです。

 そして、不治の病であった結核に対して有効とされる西式健康法の各種療法の中で、欠かせないとされていたのがこの「生食療法」です。

 西勝造自身、経験的にはその有効性に絶対の自信をもっていた「生食療法」ですが、なぜ有効なのかということについてはほとんど解明できませんでした。

 欧米でビタミンCの研究が飛躍的に進み、各種論文を入手したときには「生食療法」の効果はビタミンCによるものであると考えたこともありました。

 それ以前はどうにも説明ができず、そのレシピ内容から地のエネルギーと太陽のエネルギーのいずれも摂ることができるから、といたような説明もしています。

 科学的には意味不明と言われてしまいますが、その不思議な効果を説明するために蓚酸には有機蓚酸と無機蓚酸があり、加熱していない野菜類には有機蓚酸の形で含まれているが、加熱をしてしまうと無機蓚酸に変化してしまい効力を失う、といった説も展開しました。

 もちろん詳しい方からすれば蓚酸は有機物に決まっていますから、「無機蓚酸?」ということになってしまうのですが、そういった質疑に関する文献も残されています。

 これが苦しい説明である、ということは西勝造自身承知しており、その質問に対して「私は、加熱して生命力を失った状態の蓚酸を無機蓚酸と呼んでおり、生の状態で生命力があるもののことを有機蓚酸と呼んでいる」と回答しています。

 卓越した科学的センスの持ち主である西勝造が、明らかに非科学的な説明をしてでも多くの人に実践してもらいたい、なぜ有効であるのかは説明しきれないけれども、重病、難病の人はぜったいに試してみるべきだ、という熱意から生じた勇み足的なものなのではなかったかと私は解釈しています。

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