西式健康法

西会本部公式ホームページ | 株式会社 西式サービス

脳卒中 | 考察08

約7分

脳卒中という医学用語の正確な意味をご存知でしょうか? 現在ではあまり使われなくなった表現ですが、死語というわけでもありません。

現在、厚生労働省が公表している「人口動態統計」上では「脳血管疾患」と表現されています。

脳血管疾患を大きく分類すれば、脳出血と脳梗塞に分けられますし、また各々をさらに細分化すると、脳出血は「脳出血(脳内出血)」と「くも膜下出血」に分類できます。

この二つの違いは、脳内部の動脈血管が損傷したか、脳表面の太い動脈血管が破裂したかの違いによります。

脳梗塞についても分類すれば「ラクナ梗塞」、「アテローム血栓性脳梗塞」、「心原性脳塞栓症」に細分化することができます。

「ラクナ梗塞」は脳内の細い動脈血管の流れが悪くなった状態であり、「アテローム血栓性脳梗塞」は、より太い脳内の主要動脈が詰まってしまった状態、ということになっています。

「心原性脳塞栓症」とは左心房内で形成された血栓が心房内から流れ出してしまい、脳血管に入った結果、その先で脳血管を詰まらせてしまった状態であるとされています。

なぜ?私が「なっています」、「されています」といった曖昧な表現をさせていただいているのかというと、物理学的には必ずしも疑う余地のない、明確な説明にはなっていないからです。

十数年前の日本血管外科学会で研究発表されたある研究の内容ですが、冒頭部分に『下行大動脈血栓症は非常に稀な疾患であるが』という表現が出てきます。

ところが、一方で、「心原生脳塞栓症」は全脳血管疾患の20%を占めるとされているのです。

次に、知っていただきたいのは、心臓内の血液は左心室から出ている1本の太い血管(上大動脈)から排出され、その直後の湾曲した部分である大動脈弓から、腕頭動脈、左総頚動脈、左鎖骨下動脈と分枝し、主流の血管は下大動脈として下半身に血液を供給します。

著作権が切れている古典的な図版(19世紀半ばに亡くなったヘンリー・グレイ著;グレイの解剖学)がありますのでその模式図を転載します。

pastedGraphic.png

この図をご覧いただければお分かりいただけるかと思いますが、なぜ、心房内で形成されたとする大きな血栓が、選択的に左右の総頚動脈に進入してしまう確率が異常なほど高いのか?という疑問が物理学的にはまったく説明ができません。

 

つまり、この脳血管疾患に対する今日の医学理論が本当に正しのか?という疑問が生じますし、もし間違っている部分があるのだとすると、使用薬剤の有効性についても根本的な疑義が生じる、ということになります。

 

とくに、右総頚動脈は腕頭動脈として大動脈弓から分枝したのち、さらに右鎖骨下動脈と右総頚動脈に分枝しているわけで、まるで血栓自体に意思でもあるがごとく、左右総頚動脈に進入していくのかということについては説明が困難です。

これ以上の細かい解説は他の機会に譲るとして、本題に話を戻しましょう。

脳卒中という用語は極めて古典的

脳卒中という表現は極めて古典的な表現ということになります。

血管が何らかの理由、原因によって破れてしまう、破壊されてしまったという現象と、それぞれ別な理由、原因があるにしろ、脳の動脈血管内部に血の塊がつかえて血管を塞いでしまうという、この2種類の現象は、少なくとも物理学的にはまったく異なる現象です。

現代医学が統計を重視するならば、「脳卒中」であるとか「脳血管疾患」という分類は、即時改めるべきです。

何を申し上げているかというと、家庭の配管系統に故障が起きたことを想定してください。

冬の寒さによって、水道管が凍結し、氷結による体積膨張で水道管が破裂してしまうことがあります。

途中の地中などの余計なところに水は漏れ出てしまい、肝心なところの水圧が著しく低下してしまったり、破れ具合によってはまったく供給されなくってしまうこともあります。

この場合には、水道管の穴を完全に塞ぐか、あるいは管を交換するしかありません。

次に使用頻度が著しく低かった水道管(鉄管)内部が腐食してしまい、腐食部が盛り上がって内径が狭くなってしまったところに、ごくわずかずつの混入有機物が堆積してしまい、やはり水の出が悪くなってしまうことがあります。

この場合には、バルブ(栓)を全開にして流量を増やしてやることができれば、多くの場合解決します。

 

下水道管で考えればもっと分かりやすいかもしれません。

地中の浅い部分に埋設した下水管を、うっかりツルハシで壊してしまった場合と、細かい生ごみをそのまま流し続けてきてしまったので、下水管内部に細菌の塊が生じてしまい、それが障害物となって、さらに流してしまった固形物が溜まって著しく排水が悪くなってしまった状態です。

この解決法は、医師免許などなくてもだれでも判ります。

壊れてしまった管は交換するしかないし、詰まってしまったものは内部の堆積物(スケール)を清掃等によって除去するしかありません。

再発防止策としては、壊れてしまった場合には埋設下水管の位置を調べておくということにつきます。

二度と詰まらないようにするためには、生ごみを極力流さない、定期的に塩素剤などを流して、細菌繫殖を防ぐ、といったことになります。

誰が考えても当たり前のことです。しかし、この当たり前は、原因をきちんと究明、把握したことによって得られた「当たり前」であって、原因の追求も十分に行わず、水が出ない、下水が詰まった、流れない、という不満だけを言っていても解決はしません。

脳の出血性疾患も、脳梗塞という血管が詰まってしまう現象も「脳血管疾患」(脳卒中)という、ひとつのくくりで集計していたのでは、まったく統計を取る意味がない?ということにならないでしょうか?

破れるのも詰まるのも、血圧さえ下げれば万事解決するといったような、物理学的には何の説明にもなっていない主張を繰り返していますが、本当にそれは正しいのでしょうか?

血圧値のトリック

多くの方は、血圧が 200mmHg なんていったら大変だ、えらいこっちゃ、とお考えになるようですが、この200mmHgという圧力がどの程度の力であるか、考えてみたことがありますか?

多くの方は相対的に大きな数値であるから恐れているだけです。

だって、正常値は安静時最大血圧で130mmHg 以下なのでしょう?それが200 だったら大変に決まっている、という理解であると思います。

今日では、「mmHg」 という単位そのものが、血圧値以外では使われることはありません。これも、私に言わせれば知識のないものを煙に巻くためであるとかしか考えられません。

思い出していただきたいのですが、大気圧をこの「mmHg」という単位で表すと、数値はいくつになるか、覚えいませんか?

だいたい40歳以上の方であれば、この単位では大気圧の数値がいくつになるかを習っているのではないかと思います。

正解は760 mmHg です。水銀柱であれば76cm持ち上げることができるということですし、水柱であれば10m に相当します。

そういうわけで、吸い上げ式ポンプの吸い上げ限界は10m であるし、それは吸い上げポンプの仕組みが大気圧を利用しているからです。思い出していただけたでしょうか?

常にわれわれの皮膚は760mmHg の大気圧に曝されています。10メートルも潜水すれば、大気圧も加わって1,520mmHg もの圧力がかかることになります。

それによって、皮膚細胞が過大な圧力を受けることによって、細胞自体が劣化、傷害を受けるようなことがあるはずがありません。

誤解しないでいただきたいのは、血圧が高くてもまったく気にするな、と主張している訳ではありません。

血圧値が正常値よりかなり高いということは、ほとんどの場合、やはり循環系に何らかの問題を抱えていることがほとんどです。

 

ただ、血圧が高い、動脈血管内壁を常に大き目の力で押し広げているから、動脈の細胞が劣化したり、傷害されるというようなことは絶対にない、ということです。

血圧さえ下げればほとんどの問題が解決するといったような、あまりにも非科学的な発想でいると、人を健康に導くことなどできるわけがない、と申し上げています。

この記事を書いた人

株式会社 西式サービス西会 本部長西 万二郎
昭和27年(1952年)東京生まれ。東京工業大学工学部付属工業高校機械科を経て立教大学社会学部卒業。西式健康法創始者、西勝造の次男・西大助(西式健康法普及団体、西会第三会長、故人)次男として生まれ、在学中より西式健康法西会本部に勤務し西式健康法普及活動を開始。昭和52年業務部長、昭和63年本部長に就任。主な著書に『西式健康法入門』(平河出版社刊、共著)がある

コメント

*
*
* (公開されません)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

Comment On Facebook

G-RRXBNEVVBB