ペットボトルミネラルウォーターは「生水」?
先日掲載した『生水と湯ざまし』に関して、関連するご質問をいただきましたので、それに対するご回答をさせていただきますが、その前に時事ネタについてちょっとお話させていただきます。
軽井沢スキーバス事故
社長と運行管理責任者に実刑判決
2016年、すでに発生から7年の歳月が経った事故です。軽井沢経由でスキー場に向かうスキーバスが、碓氷峠の下り坂を暴走し、道路を外れて転覆激突して、15人が死亡、乗車していた生存者も全員が傷害を負ってしまったという大事故のことです。
この事故に対する刑事裁判が2023年の6月8日に結審し、被告人2名に対し実刑判決が下りました。バス運行会社社長に禁錮3年、元運行管理者に対して禁錮4年の判決が言い渡されました。
当然のことと言って良いかと思いますが、被告人2名はその判決を不服として即日控訴したとのことです。
いろいろと調べてみますと、両被告は事故発生後、翌年6月に書類送検はされたものの、それまで、一度も身柄を拘束されたことはなかったようです。
もちろん、被告たちも高額な罰金刑は当然覚悟していたものと思われますし、並行して執行猶予の付いた実刑判決も有りうるという程度のことは弁護士から聞いていたであろうと思われますが、まさか、この時点になって、何年もの実刑判決を受けるとは、夢にも思っていなかったものと思われます。
ましてや、被告人のご家族とっては「青天のへきれき」といったことであったと思われます。
被害者感情に対する忖度?
事件、事故発生後に逮捕されることもなく、任意の捜査で書類送検された状況で実刑判決、しかも何年も経過してから中期間の実刑判決を受けるというようなことは極めてまれなことです。
もちろん、起訴前の警察による留置、検察による勾留は刑罰ではありませんで、あくまで逃亡、証拠隠滅の可能性がある場合にのみ行われるべきです。
日本はそのあたりが多少曖昧なところがあり、行為の軽重によって逮捕、任意捜査の区別が行われているような印象があるのは問題です。
さて、今回の事件では、最も責任の重い容疑者であった運転者が死亡してしまっておりますから、刑事訴訟法上起訴されることはありません。
被害者感情として、やり場のない怒り、その怒りの矛先が社長と運行管理責任者に向いた結果、ということはないのでしょうか?
確かに零細事業者は、大手のバス会社と比較して労務管理もおざなりになりがちであるし、多少の問題はあっても、代わりを勤めさせられる予備運転手も存在しない、といったことで、過重労働をさせざるを得ないという状況は容易に想像がつきます。
ただ、そういったような、本来は大勢の人の命を預かるバス輸送事業者に対して、十分な安全管理態勢がとれる訳がないような零細事業者にも営業を認めるようになったのは、『森内閣』以降のことであり、さらに、途中数名の総理大臣が変わりましたが、小泉、安部政権によってさらに助長されてしまった、ということは紛れもない事実です。
それらの成果?によって、失業率や一部経済指標の改善(中には官製粉飾データもありました)といった錯覚があった訳ですが、今回のG7以降、その7カ国の中で、この20~30年の間に、実質賃金は最低になってしまっていたという事実が明らかになりました。
つまり、自民党政権は、日本の国力が著しく衰退し続けているにもかかわらず、『粉飾国政報告』によって順調に行っているように装ってきた、と言われても仕方ないでしょう。
許認可責任はどこへ行った?
この事故に対する民事賠償請求がどのような進行状況になっているのかは調べきれません。
何件かの民事訴訟は既に和解が成立しているようなのですが、和解時期からして、刑事判決での量刑を軽くするために、弁護士の勧めもあって和解した、という可能性が高いのですが、実際に支払い能力があったのかどうか、支払いが完了しているのか?ということになると不明です。
和解したということと、実際の支払いは別ですから、分割で支払うといった条件であったのかもしれませんが、これも服役で困難になりました。
世論的にも、会社が悪い奴で、運行管理責任者も最低人間、といった雰囲気になっているようですが、そんな連中にバス事業を認可した行政の責任はどうなのか?といったことが問題にされることはほとんどありません。
裁判では、『事故で死亡した運転手が過去の適性診断で問題があると指摘されていたのに、高橋社長らは診断内容を把握していなかった上、十分な訓練もせず、技量が未熟なまま業務に就かせるなどの過失があった』とし、『運行管理者であった元社員は、事故で死亡した男性運転手(当時65)の技量を適切に把握しなかった、など安全管理の義務を怠り、社長もそれを知っていたのに適切な指導や監督を怠った』などとしていますが、そんないい加減な会社に事業免許を与えていた行政側には責任はないのか?という疑問が残ります。
新規観光バス事業申請に必要な印紙代は \90,000 とのことで、行政に言わせれば、許可証用紙代と実地調査費用にしかならない、仮にその事業者の過失が原因で誰かが経済的損失を受けたとしても、自治体ではその損害を補償するようなことは想定していない、ということなのでしょう。
また、適性検査をきちんと実施せず、不適切な人物に運転させた、ということも問題とされていますが、運転者の無免許運転を黙認していたという訳でもありませんし、各都道府県の公安委員会から、正式に、有効な大型2種免許を取得していたわけですから、そんな運転者に免許証を交付した都道府県公安委員会の責任はどうなるのか?という視点も必要なのではないでしょうか?
ただ、その後の報道で、遺族会はそのことについても言及しているということでした。
このような、民間丸投げが行政の常識であり、実際資力があろうがなかろうが、損害賠償は業者に負担させる、ということであるなら『水道民営化』など、もっての外、とても容認できないと考えるのが常識というものでしょう。
運転手が生存していれば
たぶん、運転手が生存していたら、何らかの理由をつけられて「危険運転致死傷罪」で起訴され、量刑も懲役または禁錮12~13年くらいの判決にはなっていたことでしょう。
ご遺族にとっては、それでも、「それなら十分」とは思わないでしょうが、運転手が重い刑を受けた場合でも、社長や運行管理者に数年という実刑判決が言い渡されたであろうか?ということに疑問に感じるのです。
これだけの重大な事故だから、誰かに責任を取らせないことには世間や遺族が納得しない、といった一種の忖度があったのではないかということが懸念されるのです。
これは以前にも述べたことがあったかと思いますが、明確に統合失調症を発症していた、京都アニメ放火事件の青山被告は、公判維持は無理であろう(まとな、論理的な証言は不能と思われます)に、被告人となり裁判中です。
最近起こった長野の4人殺害事件も、被疑者本人は典型的かつ明白な統合失調症の症状を呈しているのにも関わらず、起訴されそうな雲行きです。
もちろん、拘留中に鑑定留置に回されるのでしょうが、刑法39条『 心神喪失者の行為は罰しない』という規定も、結果の大小によっては変わってしまう、ということになります。
結果の重大さ、世論、マスコミの動向によって、起訴・不起訴が決定されたり、判決が変わってしまうという、本来法治国家としては許されないことが、平気で行われている傾向がありますし、世論、マスコミもそれを支持しているように見受けられます。
仮に、青山被告が結果的には単にアニメ会社のガラスを割って侵入し、社員を殴ったであるとか、長野の事件でも、二人の婦人に石を投げて傷害を負わせ、警察官にも石を投げつけたのであれば、一応逮捕はされるでしょうが、両名とも確実に不起訴になります。
刑法39条の条文を改定して、結果の重大さによっては罰することもある、とでもしないと、『世界に誇る平和憲法』同様、言ってることと実際の行為が全く違う、二枚舌国家であるとか、まったく信用できない民族、と言われ兼ねません。
ペットボトル入りミネラル・ウォーターは生水?
さて、やっと本題の、ペットボトル入りのミネラル・ウォーターは生水と考えて良いかどうかというテーマに入ります。
基本的なこととして、『生水』の定義は、溶存酸素を含んだ水ということ、つまり魚が生存可能な水であれば、多少の一般生菌が入っていてもまったく構わないし、生菌はいなくても良い、ということで話を進めてまいります。
どのようなミネラル・ウォーターであろうと、原水はもともと自然に存在していた地下水、井戸水でしょうから、生水であり溶存酸素も十分に含んだ水と考えて良いことになります。
これは以前にも何度か述べさせていただいたことですが、市販されている飲料や食品は、生鮮食品を除けば、原則として無菌状態にして販売するというのが一般的です。
以前にも述べさせていただいたことですが、市販の紙パック入り牛乳は、冷蔵保存しなくても、腐敗することも、ヨーグルトになってしまうこともありません。実質上無菌状態だからです。
これは、多くの大手製パンメーカー製品にも言われていることで、未開封であれば何か月たってもカビが発生することもありません。
これは防腐剤、防カビ剤を使っているからではなく、製造時から全くカビ胞子が付着することのない環境で一貫生産して、密閉包装になっていますから、カビが生えようもない、ということなのです。
ただの水たまりには絶対に魚は居ない、発生しないというのと同じです。
基本的にはミネラルウォーターも同様で、殺菌処理を経ていない市販ミネラル・ウォーターは存在しないようです。
殺菌方法は加熱殺菌、ろ過除菌、紫外線殺菌、オゾン殺菌の4種類があるそうで、殺菌方法についての表示義務はないようですが、一部には「加熱殺菌で製造しています」といったように、法定表示ではないものの殺菌方法を表示している製品もあります。
実際には、表示していないものの方が多いので、各々メーカーに照会しないと判りません。
ただ、ある資料によると、日本の食品衛生法で「85度で30分以上加熱するか、それと同等の熱量を加えたもの」という定めに従って殺菌しているはず、とした文献もありまして、実際はほとんどの製品が加熱殺菌を施しているようです。
そうなりますと、それら加熱殺菌を施した水の溶存酸素は、限りなくゼロに近い、ということにはなってしまいます。
製造者の立場になれば、せっかく無菌にしたものを、わざわざ菌が入ってしまうような状態で放置しておく、ということは考えられませんから、新たに酸素が溶け込む時間というものは、ほとんどないものと思われます。
水の中に、多少の一般生菌など(しかも清流に存在していたような)がいたとしても、全く気にする必要などないわけで、そんなことより『溶存酸素量』の方がはるかに重要です。
ところが、こんな文章を見つけました。
『市販されているミネラル・ウォーターの種類をよく知らずに購入すると、元々多少の菌が入り込んでいるタイプもあるということを知りましょう。飲料の基準は満たされているのですが、長期間の保存を考えると品質的に問題が生じる可能性があります』
などと、あんた保健所の人?と言いたくなるような無菌礼賛者も実際に存在します。
ヒトや生物の健康は無菌にするのが良い、あるいは無菌にすることが一番重要といった、150年近く昔、パスツールやコッホといった学者が活躍した『万病細菌原因説』時代の発想から、まったく進歩していない人もいるというのは驚きと言うしかありません。
仮に多少の生菌が入っていたとしても、製造条件である濾過工程を施していれば、細菌類の栄養になる成分もゼロのはずで、長期間保存しようが雑菌が増殖する可能性など全くありません。大手パンメーカーの食パンと同じです。
どのミネラル・ウォーターなら『生水』?
私が以前調べたところでは、フランス製のナチュラル・ミネラル・ウォーターは、日仏の貿易協定によって、原水をそのまま輸入しボトリングしての販売が認められていますので、エヴィアン、ヴォルビック、ヴィッテルのフランス3姉妹(私の勝手な命名です)は溶存酸素も豊富なミネラル・ウォーターだったのですが、残念ながらエヴィアン以外は大手飲料販売会社が手を引いてしまったので、自販機やコンビニで見かけることはなくなりました。
現在では唯一、自販機やコンビニで手に入れることができるのは『エヴィアン』だけとなってしまいました。
エヴィアンは、加熱殺菌は一切しておりませんし、フランスで採水した天然水をそのままタンクに入れて船で日本に運び、日本でもそのままの原水をボトルに充填しているそうですから、たぶん、日本で入手可能な、唯一の『ペットボトル入り生水』かも知れません。
ヴィッテルは販売ルートの関係で、入手は難しくなったようですが、これも入手できれば、もちろん、『ペットボトル入り生水』と言っても差し支えないものと思われます。
あと、特に気にしないという人であれば、自然落下菌を同時に摂取するという目的も兼ねて、国産の2リットル入りペットボトル・ミネラル・ウォーターを、開口部の大きいサラダボール的なガラス容器などにあけ、空気に曝して酸素を十分に溶かせば、これも立派な『生水』にはなります。
むかし、『ハイポ』(次亜硫酸ナトリウム)が、まだ入手困難であった時代には、水道水をこのようにして、塩素を飛ばし、酸素を溶存させてから金魚用の水に使用したものでした。
まあ、徹底して実行してみようという方は、エヴィアンでも(まとめ買いならヴィッテルでも可能)ケースでまとめ買いして、水筒等に小分けして持ち歩けば、一日中生水が摂取できることになります。
そこまでお金をかけたくないという方は、日本の水道水の場合、多くの水道で塩素消毒がなされており、その残留塩素や超微量ではありますが含まれている有害物を除去できる、性能の優れた家庭用浄水器などを利用すれば、いつでも、水道水から『生水』を摂ることができます。
私どもでも、ゼンケンの水道蛇口直結型の浄水器『ゼンケン・アクアセンチュリー』を斡旋、ご紹介させていただいておりますので、いつでも大量に安価な『生水』を、という方は一度ご検討ください。
器具一式を、買取りで取り付けるとなりますと、10万円近い出費になってしまいますが、後々の交換カートリッジ(2年毎に交換)料金も含んだ、月額 ¥1,980(税込)のレンタル方式でもご利用いただくことができます。
調理から飲用まで、2リットル入りのペットボトルを使った場合、単価の安いミネラル・ウォーターでも、月間の出費は¥5,000.を下回ることはないかと思われますので、かなりお得です。
また、安価な蛇口の先端に取り付けるタイプの浄水器も存在はするようですが、濾材、吸着剤である活性炭等の容量が小さすぎれば、有効にろ過してくれる期間、流量も著しく短くなってしまいますので、ほとんど実用性はない、気休めにしかならない、と考えてよろしいかと思います。
(了)
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