西式健康法

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西式質疑応答集 第一集

約14分

この再掲載記事は、西式質疑応答集 第一集(昭和9年2月発行)に掲載された内容の再掲載記事です。
回答文の多くは西勝造先生ご自身によるものと思われますが、一部は当時の指導担当者によるものも含まれています。また、当時の生理学、医学、生化学等の情報に添った内容ですので、必ずしも、今日においても正確、的確な回答であるとは言えないものもあるかと思われます。ご了承ください。
化学式、欧文も多数記載されているため、原文は縦組みですが横組みに改め、また、原則的に旧字体は新字体に、句読点等の位置等も読みやすいよう変更している場合があります。併せてご了承ください。
また、原文におけるカッコは( )で、今回の再掲載に当たって追加したカッコは《 》としました。

 

         西式質疑応答集 第一集 (第1回)

           理 論 

◎問    酸及びアルカリとは如何なるものですか、伺います。

▲答    酸とは酸性反応を呈し、酸味を有し、かつ金属と置換しうる水素を含む化合物の総称のことであり、硫酸H2SO4塩酸 HCl等はその例である。

アルカリとは金属元素の水酸化物の総称であって、例えば苛性ソーダ《水酸化ナトリウム》NaOH消石灰《水酸化カルシウム》Ca(OH)等である。

◎問    アルカリとはいったいどんなものですか?

▲答    一般に酸を中和する化合物を指し、またカリウムKalium:K)、ナトリウムNatrium:Na)及びセシウムCaesium:Cs)、ルビジウムRubidium:Rb)、リチウムLithium:Li)の高度の水溶性水酸化物を及びアンモニア液をいう。
さらに狭義にはアルカリ土類金属の水溶性酸化物をいう。つまり、水に可溶性の塩基をアルカリというのである。

◎問    アルカリ性とはどういうことですか?

▲答    アルカリ金属、アルカリ土金属の酸化物(水酸化物)あるいはアルカリ金属の炭酸塩等の水溶液はリトマス試験紙を青変せしめる。この場合はその溶液はアルカリ性なりという。
また、アルカリ性とは水よりも水素イオンHが少なく、あるいは水酸基イオンOH が水よりも多いことにより、水(中性)を境に酸と相対している。強いアルカリは浸蝕性が強く苛性アルカリと呼ぶ。アルカリ性の勝った食品ばかり食べていると、平常胃腸の弱い人がよく胃や腸に孔をあけるのはアルカリ性が勝つためである。

◎問    中和するということをご説明願います。

▲答    中和とは酸とアルカリが適量化合して、中性の物質を生ずる現象のことである。例えば、塩酸と苛性ソーダ《水酸化ナトリウム》が同一モル数だけ化合して食塩を造るごときがそれである。

HClNaOHNaClH2O(塩酸+苛性ソーダ=食塩+水)

 ◎問    『モル』とは何ですか?

▲答    モル(Mol)とは、グラム分子量と同じである。また、溶液の濃度の単位のことである。1ℓ中に1グラム分子量の溶質を溶解している溶液を「1モル溶液」という。

◎問    『西式触手療法と保健治病法』の凡例中に、触手療法における水素イオンと酵素理論等を省略せざるを得なかったとありますが、触手療法に酵素のことはやや分かりますが、その説明に水素イオンが必要ですか?また、『水素イオン』ということを簡単にご説明願います。

▲答    初めに電離ということを説明する。電解質が水中で陰陽《-、+》のイオンに解離していることを電離という。例えば、食塩は水溶液中でナトリウム及び塩素イオンに電離しているということを式で示せば

NaCl⇔Na+Cl   食塩⇔ナトリウムイオン+塩素イオン

    次にイオンということを説明する。電解質は水中において陰及び陽の電気を帯びた原子または原子団に解離している。その帯電原子または原子団をイオンと言い、帯びる電気の種類によって、それぞれ陰イオン(ネガティブイオン或いはアニオン=Negative ion or Anion)、陽イオン(ポジティブ・イオン或いはカチオン=Positive ion or Cathion)と呼ぶのである。例えばナトリウムイオン Naは陽イオンに属し、塩素イオンは陰イオン(Cl)に属している。

酸と塩基(アルカリ)の強弱の意義をイオン説で説明すれば、酸に共通な性質はそのH により、また塩基に共通する性質は、そのOH によって生ずる。

酸・塩基の強弱は、同一濃度における等容積中に含まれるHまたは

OHの数の多寡により、或いは電離度の大小によるのである。

 次に、酸とアルカリの中和をイオン説で説明すれば、酸に共通な水素イオン H とアルカリに共通する水酸イオン OH とが、当量の割合に結合し、互いにその帯電を失って非電離性の水の分子を生成する反応を中和という。式で示せば

H+OH=H2O 水素イオン+水酸イオン=水

  触手療法は、体内の酸とアルカリを中和せしむる手段方法であり、それが結局、十六操作法となったもので、それを容易にならしむるには身体をなるべく平らな寝床の上に横たえることであり、硬い枕で頸椎の副脱臼を治し、かつ防止し、金魚運動で脊柱の側弯性配列を整え、もしなお酸性を発揮せしむると共に、また、毛管運動によって四肢の動静脈血の移動を促し、触手はすべてアルカリ性を発揮せしむるという訳であるから、酸とアルカリの中和をなさしめようとする生物体の理化学上の説明をするには、水素イオンのことを述べなくては真の理解はできないのである。

◎問    近来、テトラパシーご講義中に健康保持に関し、座高とネムの価《値》が高唱せられますが、いかがなことですか、判りやすくご説明願います。

▲答    ルブネル氏は、身体の表面より発散する不安定なる熱量を基本として、栄養価をカロリー式をもって従来表しておったが、腸の内面積が大約座高の自乗《二乗》なるを知り、また腸の内面積とその機能とが体力に重大関係あるを知るに至り、1914年にピルケー氏(Pirquet)がカロリー式を廃し、栄養価を表すにネム NEM を発表されてから、近来は漸次この式が採用されるようになった。すなわち、腸の内面から吸収せられる栄養の全量を表すに、腸の粘膜1cm平方《cm2》から吸収せらるるべき平均量、乳汁1gの栄養価をもって1ネム(Nem=Nährungs Einheit Milch)と称する。而して、乳汁1gは667小カロリーを発生す。1小カロリー《編集部注1》は1.5ネムに相当する。
座高とは両脚を前方に投げ出して座し、または椅子に腰かけて座したる場合の、眼と耳孔の水平位置において、臀部の端から頭の頂点までの距離、すなわち高さであって、乳児のごときは箱のごときに仰臥せしめ両脚を立てて座高を測定する。而して人は、老若男女ともほとんど皆一様に、腸の全長は座高の十倍であり、腸の円筒形を開きたる平均幅は座高の十分の一なることが、幾多の実験統計の結果確かめられ、従って腸の総内面積は座高の二乗すなわち

腸内面積=(座高×10)×座高/10=座高×座高

また健康人の体重は、座高を1稜(りょう)とする立体の水の容積の、十分の一に相当することが知られるに至った、すなわち

座高3 = 体重×10

である。また、参考のためにドイツ人、ボルンハルト式(Bornhardt‛s formula)を示すことにする。すなわち

身長㎝×胸囲㎝/240= 体重kg

また、西主幹が21歳より60歳までの1,866人について実験の結果、身長の尺単位に胸囲の尺単位を乗じて得たる数が、その人の健康理想の体重貫目を表すことを明らかにせられた。例えば、

身長5尺42《164.24cm》×胸囲2尺75=体重14貫905 《55.89kg》

この理想体重を保持するには、大人1日の適当なる食量として乃至1ネムを必要とする。すなわち、詳記すれば、体重1kg当り、各々

労働者                      6/10~10/10ネム

例外的に木挽職など   1.1ネム

起立職                      5/10ネム

座 職                      4/10ネム

普通の人                    4/10~ 7/10 ネム

1ケ年未満の乳児             4/10ネム

1ケ年以上、2ケ年未満児     6/10ネム

11、12歳前後            7/10ネム

要するに以上の適量ネムを摂って、時々下記の計算をなし、

(身長尺×胸囲尺)×100 /現在体重貫=100  (但し21歳~60歳までの人)

その値が百の係数に接近すれば(90~110くらい)、その人は健康にして消化機能も完全のものと認められるが、もし百より多い者は栄養不良なるを表示する。かかる人は他に疾患を有しているから、治病に努力するとともに、脂肪の部を切り除きたる赤肉を二、三種調味し、十分咀嚼して摂取すれば栄養良好となるであろう。

また、百より少ないのは栄養過多、むしろ過食と認むべきであるから、減食または断食をして整調する必要がある。テトラパシーの科学的断食を5回完了すれば、自然に必要なるだけのネムを適量採れるようになるであろう。

注1:1kgの水を1℃だけ温度を上げるのに要する熱量が1calで、物理学でいうカロリー(小カロリー)の1000倍、1kcalに相当。

(続く)

                                西式質疑応答集 第一集 (第2回)

 ◎問    21歳の男、身長5尺3寸8分ありますが、この身長に最も均衡した体重はいかほどですか?

▲答    前問に対する解答によってご承知を願いたい。

なお、ギリシャのポリグレット、システム(注;2.)として、アンベルギュール(帆の幅の意)というのは、身長と両手を水平に広げたる幅とが一致同長なるを理想とする、ということであるが、胸郭の薄い人は身長より手幅の方が広い、かかる人は胸腔疾患に罹り易く、肋骨の傾斜の度が強い。しかし、西式六大法則を実行すれば胸囲においては変化なきも、胸の前後の厚さを増すをもって胸の左右幅は狭くなり、したがって手を広げたる幅と身長と一致し、壮健となるのである。

注;2. 原著では『ポリグリット、システムとして、アベンギュール、(帆の幅の意)というのは』、となっている。「ポリグロット」であれば多言語という意味になるが、前後の関係からすると「言い伝え」であるとか「伝承」ということになろうかと思われるが不明。「ギリシャで言われているように」といった意味で良いものと思われる。

◎問    遺伝性素質ということをテトラパシーではいかに認むるや。

▲答    普通の状態においては、当然遺伝性素質は継承するが、テトラパシーにおいては血液も革新せられるから、何ら遺伝には関係なく改善せられる。なお、周囲の環境、模倣、暗示等の悪いものを絶対に避け得られるならば、悪遺伝性も矯正せられるから、したがって、これ等の夫婦間に出来た子孫も純血となることに疑いが無い。

◎問    テトラパシー第1巻第10号の臨床医学箴言《しんげん;格言、名言と同義》中、肺癆《はいろう;肺結核のこと》について195~196ページ中に同化作用とあるはいかなることか。同化作用と結核の熱との関係及び西式の熱に対する治療法を。

また、喀血と月経血とは代償等の関係あるや?。22歳の女。月経は肺結核発病の3、4か月前から今日に至る丸5年間停止す、本年3、4、5月の月、いずれも量に大差あるも、この3か月のうち、日を同じく二十日過ぎに喀血を見る。去年の秋から冬にかけても、このようなことを記憶している。

▲答    同化とは代謝作用(Metabolism)における同化(Anabolism)と異化(Catabolism)との二作用のうちの同化で、すなわち消化管内で酵素の作用によって食品成分が小分子に分解せられ、血液に入り組織に配給せられ、後に再び大分子に合成せられて組織固有の成分となる。これを称して同化作用という。

異化は、前記の組織が必要に応じてその成分を分解してエネルギーを支給することである。同化作用と結核熱との関係というても、西式では平牀、硬枕を常用するものにおいては、コルビザルフランスの内科医で、打診法の推進者として知られる、コルビザールのことを指していると思われる》とは大いに趣を異にする。

次に、月経と鼻血とは代償関係が多いが、鼻の粘膜の菲薄部《皮膚が薄い部分》よりも肺の気胞の方がより菲薄であるから、血液循環系に弱点を有する人は月経と喀血と関係を有する。しかし、西式の六大法則を忠実に行い、かつ足の操作と足湯によって足の筋肉を柔らげることによって、生理的に復帰し治癒することが確かである。喀血の特に過多なる場合は頚椎七番を圧迫またはその左右に指頭圧を加える。

六大法則

◎問    三十歳の男、半年ほど前から平牀、硬枕を使用しておりますが、就寝より起床まで数時間の長きに渡って仰向けに寝ることができず、途中で寝返るのですが、夜通し仰向けで寝るが良いのですか?

なお、脚の姿勢も、図では《西式図書などの挿絵では、の意味》きちんと揃えてありますが、小生は少し足先を開いて寝ると自然な心持がして良いのですが、差し支えないでしょうか?

▲答    脊柱の狂いが大きいほど横向きになりがちである。しかし、金魚・毛管までの四大法則を必ず実行すれば、自然と脊柱の狂いも治り、正しく仰向けに寝られるようになる。子供のごときは平牀において最初の5日間くらいは、時には寝ずの番をおいて、横臥したらば直ちに仰向けにし、金魚法を充分に行って寝させることを繰り返すことにより、完全に寝相を治すことができ、同時に寄生虫やその他の疾患を治せば、いっそう早く仰向寝ができるようになる。

しかし、仰向寝を理想とするが、木板のごとき硬い平牀においては時に少時の間横臥しても差し支えがない。木枕の高さがすでに仰臥に適する高さであるが、横臥には低すぎる。これは努めて仰臥させ心持よく寝ませるように考案されているからである。

なお、就寝には出来得るなら真の裸身が良く、すべて束縛する衣類、紐等を避け、身体を裕《ゆる》やかにすることが肝要である。なぜなれば、起きている時よりも就寝中は身体が膨張するからである。なお、脚先は寝ると共に自然と開くのは当然である。

◎問    コンクリート平牀(石牀)の製造法並びにその作用についてご教示を乞う。

▲答    平牀寝台としての最良はコンクリート平牀である。すでに数年前よりこれを常用して、その効果を体験した会員も少なくない。その配合の割合(容量)を下に示す。

       セメント   5

       火山灰     5

         火山灰は      細砂(石英)20、安山岩(富士岩)40

※容量単位は「升」であると思われ、セメントと火山灰(細砂+安山岩)の量は等量、という意味であると思われる。なお、富士岩とは当時の安山岩に対する別名であったとのことで、細砂とは「石英砂」とも呼ばれている細粒の石英を指すと思われる。鉄板焼きステーキの代わりに、溶岩由来の陶板を用いる調理法があるが、平牀にも、今日でいうところの遠赤外線効果的なことを期待していた可能性もある。

安山岩は大きさ母指頭大以下たること。石牀の大きさは畳大《当時の標準畳サイズは176×88センチメートとされている》にて可なるも理想としては長さ六尺、幅三尺、厚さ1寸5分乃至2寸くらい(181.8cm×90.9cm×4.54~6.06 cm)を適当とする。

石牀を造るに際し、上面及び下面より3分(9.09cm)くらいの層に金鋼《「ラス」とフリガナあり》を入れて補強する。上面は仕上げにトロ《セメントペースト》を塗らずに平滑に仕上げ、凝固を待って上面を荒砥またはカーボンランダム・ブリック(化学合成砥)をもって平滑に研磨する。出来上がりの目方は厚さ2寸の場合は大体七十貫《約262kg》以内(およそ四分の一トン)となる。砂利は安山岩が最も良いが、材量を蒐集し難い《手に入れにくい》場合には花崗岩をもって代用してもよい。硬枕も同様に型に入れて凝固せしめる。

この石牀を居間のいずれかに設置し、漸進的に木牀より馴らして石牀に就寝するを可とする。冬期において安山岩使用の石牀に仰臥して身体の温まりうる時間は普通十二分間を要し、花崗岩製においては約十八分を要する。大理石においてはおよそ二十五分以上を要するから、慢性の稽留高熱症《けいりゅうこうねつしょう=一日の体温の変動が一度以内でしかも長期にわたり高熱状態を維持する熱型。腸チフス・ワイル病・髄膜炎・粟粒結核などにみられる》に応用して妙効がある。

石牀に就寝するに最初の間は冷感を覚え、耐熱を奪取せられるが、前述の時間を経過すれば身体と石牀との中間に一種の緩衝保温の空気層を形成し、いたずらに体温を奪取せずに漸次温まることができる。その間の冷触感は静脈管と組織のとの収縮作用を促し、またその心地良き皮膚の接触感とによりて血液とリンパ液との還流を完全ならしめ、皮膚の全機能を発揮せしむる。

したがって同じ外胚葉系の神経系統を生理的に調整し、かつ、完全に該器官を能動せしむるのである。就寝に際しては必ず金魚、毛管、足首の運動及び第六の強健術を充分実行すべく、また、厳寒中の就寝の初め、一時毛布を敷くは差し支えない。

石牀の利用は虚弱なる体質、悪姿勢を改善するの捷径《しょうけい=近道》であり、とくに皮膚諸病、神経衰弱等の難症も速やかに一掃せられる。一般家庭においても必ずこの石牀を常置し、少なくとも一週間に一夜宛各自交代にこれに就寝すれば病魔を未然に防止することができる。

◎問    木枕の使用により後頭部麻痺するも継続して可なりや?

▲答    差し支えがない。ただし、麻痺甚だしければ枕の最上部に布を載せこれを枕に保縛して用いる。

◎問    木枕を使用して、睡眠中時々横向きとなる場合、枕の高さが足らぬが頭痛その他に害なきや?

▲答    寝巻の厚着をなさず、平牀に寝る人には少しも害がない。仰臥に好都合であって、横臥に対し木枕の高さが足らず幾分寝にくいのは、努めて仰臥せしめる為である。

(続く)

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