電力料金大幅値上げ
先日テレビ番組で、電力料金が大幅に値上げされ、多くの方々が途方に暮れている、といった内容が放送されました。
それまで、4人家族で毎月1万円半ばから2万円程度であったのが、な、なんと8万何某かの請求書が来たというのです。
そこで、番組としては困ったもんだ、といった趣旨での放送であったのですが本質はそこではありません。
もちろん当事者の方々にとっては、ものすごく困ったことには違いはないのですが、本質に触れずに、困ってしまった人々が可哀想、気の毒といったことで報道することこそが大問題なのです。
そんな事態になったのは、何が原因なのかということを掘り下げて報道しなければ、まった報道機関、公器としての存在意義がありません。
具体的内容は?
その放送は、テレビ地上波キー局の中でも、今や読売、日本テレビグループを抜いて、最も政府寄りとされる、フジテレビの朝の番組、『めざましエイト』という、谷原章介さんがMCを勤めている番組です。
本来なら、なぜそういう事態に至ってしまったのか?という視点が一番重要な訳ですが、ある特定電力会社が大幅値上げをしてしまったことで、利用者が困っている、といったニュアンスの内容に終始しておりました。
例えば、その会社の規模であるとか、株主等のつまり実質的なスポンサー、オーナーは誰なのか?といったことに触れることはまったくなく、何でそのような会社が、今日では最も重要なライフラインである電力事業に参入できてしまったのか?といったことに触れることもまったくありませんでした。+
もちろん社名そのものは公表されたのですが、会社の規模も実質的なオーナー等についてもまったく報道されませんでしたし、驚いたことにその値上げした会社自体に、取材を申し入れたことも全くないようなのです。
もちろん取材は受けてくれないかも知れません。7百社近くあった新電力会社のうちで、どこが最悪なのか?もっと値上げ幅が大きいにもかかわらず、テレビ局の報道局が掌握していないだけ、という可能性もありますから、たまたま、一社だけを吊るし上げにはしたくない、といったこともあるのでしょう。
なお、その後エネルギー価格の高騰で百数十社がすでに廃業したとのことです。
それにしても、「取材を受けてくれなかった」といったようなことも、事実であれば極めて重要なことなのですが、そういった掘り下げをしようとした形跡すらありません。
監督官庁
いったい、この無秩序とも言える新電力会社の認可、管理監督を、政府のどこの部署が行っていたのか調べてみました。
担当は、経済産業省の資源エネルギー庁だそうです。しかし、元々の資源エネルギー庁のメンバーで、数年間の間に7百社以上が乱立し、その会社が安定供給力を有する企業であるかどうかの十分な調査と、指導監督を行うのは不可能と思われますから、きっと、天下り先にもなる公益財団法人?等があるのではないか?ということを調べてみました。
ところが、何と驚いたことに、そういった電力小売事業認可を行うにあたっての事前審査、指導等を行う特殊法人や公益外郭団体等はまったく存在しないようで、ただ単に、経産省、資源エネルギー庁の担当部署に、何通かの届出書を提出すれば、事業は開始できるようになっている仕組のようなのです。
つまり、今日では最も重要なインフラであると言っても過言ではない、電力供給に対する責任を、政府はまったく放棄してしまっている、ということになります。
私はてっきり、経産省の役人が新規の天下り先用特殊法人、外郭団体を設立、設置するのが目的で、このような民間の中小法人等にも、次々と電力小売り会社による事業認可制度を推進したのかと思っていたのですが、どうも、電力自由化は従来のパターンとは全く異なる制度変更であり、目的であったようなのです。
経産省の言い分
経産省の言い分によれば、電力小売自由化の目的は以下の通りです。
電力システム改革の目的
今回の小売自由化では、これまで特定の事業者が独占していた電力事業を広く開放。 それによって事業者間の競争をうながし、電気料金の抑制につなげることを狙いのひとつとしています。 これにより、一般家庭においても、ライフスタイルなどに合わせて電力会社を自由に選ぶことができるようになりました。
となっているのですが、現実はご承知の通り、新電力会社の一部では、大手9電力などではあり得ない値上げをしたところがある訳です。
経産省に言わせれば、より安くなることもあれば、より高くなってしまうこともある、それも含めての自由化です、と言うつもりなのでしょうが、実際にエライ目にあった方々はどうなってしまうのでしょう?仕方ないことで自己責任ということなのですか?
最重要インフラである電力供給に対しては、国はもっと責任感を持って当たるべきでしたが、多数の経産省中、下級官吏が新電力会社に天下っているのでしょうか?こういったことも含めて小回りの利く週刊誌等で調べ上げてほしいところです。
この問題が想起させるもの
ロシアのお陰?で、この問題は、つまり、誰のための改革、改定であったのかも分からない、はっきりしない…、無意味どころか、有害な制度変更による問題は、たぶんお役人、政治家の予想をはるかに早く超えて現実化してしまいました。
本当なら、政府、与党は何をやっていたのかと、マスコミが全力を挙げて報道し、叩かなければいけない問題なのですが、まったく盛り上がることもありません。
ほとんどの国民にとっては、ごく一部に気の毒な人、えらい目にあってしまった人がいる、といっただけの問題として認識されているのでしょう。
しかし、この問題は『水道事業の民営化』の将来を占ってくれています、というより確実に示しています。
水道事業民営化でも同じ問題は起こる
水道事業を民間に丸投げすれば、ほとんどの自治体の収支は確実に改善することでしょう。
増税か、水道民営化か、といったことを主たる争点にして自治体選挙を行えば、民営化を選択する住民も多いのではないかと思われます。
しかし、これを実施してしまえば、異常渇水時などには水道料金が、新電力会社の料金のように高騰することもあり得る、ということを認識しておく必要があるでしょう。
目先、住民税や水道・下水道料金の上昇を回避したつもりで、結局、民間会社(仮にきれい事を言っても、所詮利益目的ですから)に、ひょっとすると外国の会社に、浮いたつもりの料金プラス彼らの、決して少なくはないと思われる利益を上乗せした金額を支払わせられる羽目になります。
入浴を控えたり、洗濯頻度を減らしたり、といったことまでしないと生活が成り立たなくなるといった家庭も、とくに年金生活世帯では多数出現する可能性が出てきます。
そうなると、政府であるとか自治体はいった何のために存在するのか?といった問題になってきます。プーチン氏ではありませんが『外国のエージェント』?と言いたくなります。
「労務管理が大変で面倒だから丸投げしたい」といった気持で行政にかかわっている輩は、政治家も公務員も辞めてしまえ、ということですし、老朽化した配管の交換費用負担が大き過ぎて、自治体では負担しきれない、といったような言い訳も聞きますが、それを民間会社に丸投げすれば、その金額プラス企業利益(調達資金の金利も)が必要となります。
どう考えても、負担金総額が少なくて済む道理がありません。ちょっと古いデータですが、全国の水道対策に対する国家予算は750億円(平成29年度)なのだそうです。
自治体負担分が自治省のデータでも、どれがずばりの数字なのかどうかは不明なのですが、およそ1兆円掛かっているようです。
なお、全国自治体の事業費総額(都道府県市区町村の総合計)は、およそ130~140兆円といったところのようですから、米国空母打撃群を護衛するためのイージス艦の建造を遅らせるか中止して、国家予算を浮かせるなり、なおかつ、一部業者と人脈のためでしかない、意義の非常に少ない箱造りを止めるなどして、節約すれば自治体でも十分に捻出可能であると思われます。
ですから、例によって水道民営化促進で言われている利点は、まさに『お為ごかし』に過ぎないと言えるでしょう。
できれば交換したいという水道本管は全国で10万km 程度あるそうなのですが、一気に交換する訳ではありません。
生命にもかかわる公営、公益性の高い事業、水道であるとか、電力を十分な公的な管理、監視体制もないまま有象無象の会社に任せるという、暴挙とも言えるシステムを見切り発車させてしまうことになり、将来的に生ずるであろうその悪影響は計り知れません。
今回の、一部電力小売り会社の料金暴騰によって、その問題は明白になった訳で、そういった政策を推進する政党、政府を選択した方々にとっては、まさに自業自得というだけの話ですが、そういった道を選択しようとは思わない、私を含む多くの方々にとっては、とても容認できることではありません。
お前らのせいでエライことになった、どうしてくれるんだと未来永劫恨み続けることになるでしょう。
私は確認をとってはいませんが、この問題にも悪名高い竹中平蔵氏が関与しているという話しもあるとのことです。水道民営化を促進する政党は、日本国民のことを考えているのではなく、何某か外国勢力の代理人と言っても良いのではないでしょうか。
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