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再生可能エネルギー? 不適切な英語訳について 時事35

約8分

       再生可能エネルギー?
        不適切な英語訳について

  自称『国際政治学者』の肩書で、一時テレビ出演頻度が非常に高かった三浦瑠璃さん。
配偶者による詐欺容疑事件報道で、『太陽光発電』がまた大きな話題となりました。

このニュースがあってから、三浦瑠璃さんの姿をテレビで見かけることはなくなりました。

私は、三浦さんによる詭弁を用いてでも、常に政府というか自民党のやっていること、やろうとしていることを擁護、正当化しようとする姿勢がとても嫌で、出演しなくなったことは歓迎といえば歓迎する立場です。

一般のテレビニュースではあまり取り上げられていなかったようですが、この事件は、まだまだネット社会では話題の中心といった感があります。

その際に、出てくる用語として表題の『再生可能エネルギー』という用語が頻繁に登場します。

『再生可能』という日本語の本来の意味は、何度でも繰り返し使える、使ってしまったけれども再使用、再利用ができる、という意味のはずです。

ところが、太陽光も、偏西風、潮流、地熱のどれをとっても、再使用、再利用など出来る訳もありません。ほぼ無尽蔵とは言えますが。

それがどうして、『再生可能エネルギー』という総称、通称でくくられるのでしょうか?

実効再生産数
 以前にもブログで述べたような気がしますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が拡大傾向にあるのか、収束傾向にあるのかを示す指数として、『実効再生産数』という用語が使われていることに対し、批判したことがあります。最近ではだれもこの言葉は使わなくなりましたが。

原語は「Effective Reproduction Number」であって、ごく単純に直訳すれば『有効再生産数』でも間違いとは言えないかも知れませんが、日本語としての意味は不明ですし、実際のところ出来の悪い中学生レベルの翻訳です。

この用語に対する専門家の説明が常に必要であったということは、誤訳に近い用語であることの証明なのですが、定着してしまっています。

英語辞書を見てみると『effective 』は「有効な、効果的な」であるとか、「事実上の、実際の」といった訳が通常ですから、『実効』というのは間違った翻訳ではありません。

しかし、『reproduction』の訳語として最初に出てくるのは『複製[復元・再現]すること』であるとか、『模造品、複製物』といった言葉ではありますが、最後の行には『生殖、繁殖』という訳語がちゃんと出てきます。
辞書には出てこないかと思いましたが、『re-production』 を直訳的に訳せば『再‐生産』ということにはなりますが、正しい訳語とは言えません。
正しい訳語としては『増殖』という意味が優先されるべきですから、意味が明瞭でかつ適切な訳語としては、『感染拡大指数』といった表現が最も適切であり、何の説明も必要がないはずなのですが、どういう訳か、『実効再生産数』という用語が、あの業界(感染症学会)では定着してしまっているようです。

未解明部分が多い分野の学者(医学とか経済学とか地震学)は、わざとわかりにくい用語や表現を多用して、煙に巻くというのか、素人には判りにくいように、質問すら出にくいように本能的に振る舞う傾向があるようです。

 Renewable Energy
 英語では『再生可能エネルギー』のことを、見出しの『Renewable Energyと表現します。
もちろん、日本語の方が後から使われるようになったものでしょうから、『再生可能エネルギー』という日本語は、この『Renewable Energyの日本語訳ということになります。

英語辞書を読めば「Renewable」には、「更新できる、延長できる」という用語がトップに出てきます。
ですから、本来なら『再生可能エネルギー』などという、誤訳に近い意味不明な訳語を使うのではなく『自然無尽蔵エネルギー」であるとか、長すぎるなら『自然エネルギー』でも『無尽蔵エネルギー』とでも呼称すれば良いのに、どういう訳か『再生可能エネルギー』になってしまうのです。
はっきりと言ってしまえば、誤訳と言って良いのではないでしょうか。

多くの方々が、まったく疑問も持たずに『再生可能エネルギー』という言葉を使っていることと思いますが、正確な意味を理解していないのに、理解したふりをするのが普通、当たり前、という風潮は甚だ好ましくありません。危険ですらあります。

世の中が悪くなる最初の兆候でしょう。

ついでの情報
 これもある程度、ネット情報を見ている方でないと、まったく「何のことやら」ということになってしまうのでしょうが、成田悠輔という学者の方がいます。

最近、「高齢者は社会のために集団自決してくれ」といった趣旨の発言をしたとして、批判を受けた日本人経済学者です。
片方のメガネレンズが四角、反対側のレンズはまん丸といった、奇抜なメガネをかけていることが多いようで、目立ちたがり屋である一方、歯に衣着せぬ発言ということで話題になっている方です。

この方も、イエール大学助教授とか准教授とかいった肩書で紹介されることが多いのですが、実際は、日本の大学制度では『助教』と呼ばれているポジションです。昔で言うところの『助手』です。

もちろん、日本の小、中、高等学校を卒業し、東大卒とはいえ、ネイティブの英語スピーカーでないにもかかわらず、アメリカの超一流大学の『助手』に就任したということだけでも、それはそれで大したもので、将来を嘱望されるべき人材、学者であることには間違いのないこととは思われます。

米国における准教授、助教授(Associate Professor)と助手、助教(Assistant Professor)の間に、日本と同様な著しい格差があるものかどうかは不明ですが、米全大学の平均年俸は、教授14万3,823ドル、准教授は9万7,724ドル、助教8万5,063ドルとのことですから、学者としての評価、ランクが著しく異なるということはないようです。

それでも、日本で紹介される際に『准教授』と紹介されることは、ご本人にとても抵抗があってしかるべきなのですが、成田氏自身は訂正要求をしていないものと思われます。

ヘンテコ眼鏡着用と共通する、目立ちたがりの心理状態が働いているのでしょうか?

まあ、現代日本における英語常識が『再生可能エネルギー』、『実効再生産数』でも是とするようなレベルであるとするなら、成田氏の肩書が『准教授』でも『助教授』であっても「何か問題あります?」ということにはなります。

原語の意味を正確に解釈しないと大変なことに

しかしながら、今後、軍事同盟関係を含めて、より一層英語で重要な条約、やり取りが行われるであろうことは必至であって、いい加減な翻訳でも良しとする風潮は国を危うくする可能性があります。

『日本の一番長い日』という、終戦前日の混乱をテーマにした映画がありました。記録を調べてみましたら、公開は1967年(昭和42年)となっていました。
その後リメイクされています。

その中で、ポツダム宣言受諾の検討を御前会議(と思われますが)で行っているシーンがありまして、その中で陸軍参謀と外務省の間で、ポツダム宣言文中の『Emperor and the Japanese Government to rule the state shall be subject to the Supreme Commander~』の解釈について激論が交わされるシーンがあります。

調べてみましたら、その文言はポツダム宣言の本文のものではないようで、また別な秘密交渉のやり取り文書の中に存在する文言のようです。

この意味を、当時の外務省は「日本国天皇及び日本国政府は、占領軍司令官の制限の下に置かれる」という意味と解釈するべきであると主張するし、陸軍は「占領軍司令官に隷属する」という意味も辞書には載っているとして反対するというシーンです。

外務相筋では陛下のご意向もあるし、とにかく早く戦争を終わらせたい、ということを主軸として考えていたようですし、一方で軍部は、降伏後の自分達の処遇が心配なのか、何とか無条件降伏は避けたい、あるいは少しでも先延ばししたいという心情が垣間見えます。

実際にこれらの文章の原案を書いた人物が誰であるのかは調べていないのですが、形式的にはトルーマン米大統領、チャーチル英国首相、蒋介石中華民国主席の3名の責任において書かれた、日本に対する降伏勧告文書ですから、執筆者は英語を母国語とする人であると思われます。

ですから原案を書いた人からすれば、ただ、降伏後は天皇も政府も占領軍司令官に従ってもらうよ、ということを言いたかっただけだったと思われます。

「制限の下に置かれる」というほど緩い、甘い条件であったとはとても考えられませんし、だからと言って「隷属せよ」などとまでは言ってない、ということで、ただ単純に「従え」というだけ、のことであったとは思われるのですが、中枢では解釈をめぐって激論になってしまった、ということです。

他国言語というものは、なかなか難しいもので、ニュアンスといったことまで考慮すると、様々な解釈が可能になります。

であるからこそ、あらゆる分野で、もっとも意味の近い、少しでも正確な日本語の訳語を用いるべきなのですが、最近ではこれが極めていい加減になっている、疎かにされている、という現状が心配だ、ということを申し上げたいのです。

曖昧にした方が都合がよい、と考えている勢力が存在するのでしょうか

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