西式健康法

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ウォッシュレット有害説 時事33

約13分

ウォッシュレット有害説 時事33

      ウォッシュレット有害説

どのような物でも思想でも、メジャーになるといろいろと反論が出てくるものです。

西式健康法も、世間の方々が常識と思い込んでいた、あるいは思い込まされていたことを、純粋に科学的な立場から反論、是正させようとしたのが始まりです。

人の健康、命を守るためです

過去において、少なくとも昭和30年代半ばくらいまで、心臓さえ力強く動かし続ければ人の死は回避できる、と医師を含む多くの人々が信じて疑いませんでした。

その結果、国策がらみ(戦前の台湾利権の名残)の幻の強心剤、明らかに毒物である樟脳液(カンフル注射液)を起死回生の妙薬として喧伝、投与し、結果的に多くの人を死なせてしまいました。

全身の複雑極まる循環系の構造、機能をまったく無視し、心臓の収縮力さえ鼓舞してやれば、瀕死の人でも救命できる、といった、あまりに薄っぺらな思い付き的思考、思想に対して、数学的、流体力学的に反論したのが西式の出発点とも言えるでしょう。

ウォッシュレット有害論の根拠

主流の意見に対して、否定的な意見であれば常に正しい、という訳にはもちろんいきませんが、多くの方々が利用しているウォッシュレットの是非について、検証してみたいと思います。

 ウォッシュレットが有害であるという主張を唱えているのは、インターネット上で私が調べた範囲ではお二人、医師で見つかりました。

もちろん、こういった世の中ですから、インターネット上ではいろいろな意見、主張を見ることができます。

多くの方がご承知かとは思いますが、本題に入る前に申し上げておきますと、『ウォッシュレット』というのは、TOTO株式会社の登録商標、固有名詞、商品名であって、一般名詞ではありません。

英語圏では、まったくと言って良いほど普及が進んでおりませんので、共通した英語名称は存在しないようです。

あまり役には立たない情報でしょうが、ご参考までに、パナソニックでは「ビューティ・トワレ」、LIXIL では「シャワー・トイレ」、東芝では「クリーン・ウォッシュ」という名称でそれぞれ販売しています。

ですから、本当は『温水洗浄機能付き便座』等と呼ばなければいけないところなのですが、TOTO社側でも、商売上むしろ有利と考えているのでしょう、こういうところで、「ウォッシュレット」と記述する際に、いちいち、カッコつきで「“ウォッシュレット”は、TOTO株式会社の登録商標です」とか、名称の後に、商標であることを示す「Ⓡ」を付けろ、とかいったような警告をしてくることはないようです。

話を戻しますが、ウォッシュレットの条件付き有害諭を提唱しているうちのお一人は、大手病院の医師で、専門家とは言い難いかと思いますが、小児科医・アレルギー専門医という肩書の方です。

もうお一人は大病院勤務であるとか、大学病院の医師ではありませんが、一応専門家と言える『肛門外科』と言いますか、いわゆる痔疾専門外科医院の副院長という肩書の方です。

その前に、この問題を考えるうえで、まず気を付けておかないといけないのは、排便後の肛門を洗う洗浄と、『ビデ』という表示がほとんどであると思いますが、女性専用の洗浄機能の違いです。

これは全く別物として考える必要があります。

また、肛門周囲洗浄と言っても、単なる排便後の肛門周囲洗浄と水圧によって直腸内にまで水を入れ、いわゆる『洗腸』的な行為を行うこと、これも全く別に論じる必要があります。

どこが問題?各々の主張

 痔疾専門医は「洗いすぎはいけない」という主張です。

この医師によれば、「洗浄し過ぎると、皮脂膜が無くなってしまう。皮脂膜には、皮膚の重要なバリア機能があって、皮脂膜が弱酸性であることと、皮脂膜に繁殖している常在菌によって、他の細菌の繁殖を抑えるから皮膚は守られている。それを、洗い流してしまうから肛門トラブル、皮膚トラブルの原因になる」という主張です。

もうお一人の医師も、ほぼ同じような見解で、かぶれ、かゆみが起こることが『温水洗浄便座症候群(ウォッシュレット症候群)』とも呼ばれ始めた、と述べています。

その他にも、痔疾などをもっぱら専門とする多くの医療機関では、ホームページで洗浄便座の過剰な使用が、肛門周囲の諸症状の原因として挙げています。

また、先ほど別に考える必要があると申し上げた、排便刺激のための使用(直腸入り口付近への注水)、腸内洗浄のための使用(もう少し奥まで、といっても下降結腸の半ばまで注水することは困難かと思われる)、ビデとしての使用はきちんと分けて述べておられます、

「こうした使用をしないためには、そもそも便秘などで悩まないように普段からの生活を整えることが大切です。規則正しい生活、食物繊維を含むバランスの取れた食生活、適切な水分摂取を心がけ、乳酸菌などの腸内環境を整える食事内容を心がけましょう」という至極まともな結論を述べておられます。

この点は、まったく「異議なし」というところです。

「肛門を清潔にしておくことは、衛生面でも気持ち的な快適さの部分でも良いことです。しかし、“無菌にしたい”、“完全に便の成分を洗い流したい”、“「肛門の臭いを完全に消したい”等々、行き過ぎた清潔観念は、腸内細菌のバランスを変えてしまうことになり、さらに肛門周辺の皮膚に炎症を起こして、肛門のかゆみなどにつながってしまいます」と結んでいます。

どこが問題?

両先生とも、完全反対論者ではなく、『使いすぎには注意して』ということなのですが、それでもちょっと、多少いちゃもんを付けさせてもらいます。

どの部分に異論を唱えたいのかと言いますと、『肛門には肛門だけの特殊な皮脂腺が存在する』であろうことは、まったく否定はしませんが、それでも常識的に推察すれば、1日当たりの水流噴射と言うべきでしょうか、水流の吹付けというのか分かりませんが、水流を当てる時間は、どんなに長くても2~3分ではないでしょうか?

とくに貯湯式の場合には、1回あたりの貯湯量に限りがありますから、冬季であれば水が冷たくなってしまい、長時間の噴射は決して快適ではありません。

高級タイプの瞬間加熱式ではいくらでも温水を出すことが可能ですが、その分価格は高価に設定されています。

お湯だけで皮脂はどこまで落とせるか? 

それでも、便器に座った状態で、5分も10分も洗浄をし続けている人がいるとは、とても思えません。

仮に、そういう、行き過ぎた清潔観念の人がいたとしても、推定40度前後の温水を表面から吹き付けただけで、支障が出るレベルまで皮脂を落とせるのなら、水量が多く強めのシャワーさえ使えば、石鹸もシャンプーもまったく不要、ということになってしまいます。

異常に水分子クラスターを小さくした『ナノバブル・シャワー』的な製品で、テレビで宣伝しているように、石鹸なんか使わなくても、皮膚についた「マジックインキ」(これも登録商標だそうです)も簡単に落とせる、といったような作用を有するウォッシュレットでも出現すれば、明らかに行き過ぎ、皮脂の落とし過ぎも心配になりますが、今のところ洗浄機能付便座には、どのメーカーにもそういうタイプはないはずです。

そろそろ売上が頭打ちになったであろう、ミ〇ブ〇・サイエンス社などが、この分野に製品を投入してこない限り、両先生のお考えは科学的には杞憂と言えるのではないでしょうか。

ただ、そういった現象が多発していることは確かなのでしょうから、問題は安直に『洗浄機能付き便座が原因』とはせずに、他の原因はないのかと、もっと追及すべきでしょう。

例え話を上げると、COVID-19 が大流行したのは、マスクをするからだ。これだけ多くの人々がマスクを装着していることなど、歴史上前例のないことだから、マスクのせいに違いない、という例えは、さすがに乱暴すぎるとは思いますが。

今回のテーマとは外れますが、微温湯のシャワーを当てるだけで、毛穴の奥の皮脂、汚れを洗剤等なしに洗い流してくれるということは、皮膚に対してはシャンプー、石鹸を使うことより、よっぽど有害である可能性が高いのではないかと心配しております。

他の原因の可能性

洗浄機能付き便座の普及が、いつごろから始まったのかということを調べてみました。

データはTOTO製品の累計出荷台数なのですが、1987年に100万台突破、1998年に1000万台突破、2011年には3000万台突破とのことだそうで、他社もその驚異的ともいえる売り上げ増加に驚いて、次々と開発、発売に踏み切ったものと思われます。

後発メーカーが初めて洗浄便座を発売した時期については、資料が見当たらないのですが、TOTOの売り上げ増加時期から類推すると、1990年代の初期あたりに開発を始めて、その半ばあるいは2000年代初頭には出そろったということであろうかと思います。

海外輸出というのは、ほとんどなかったと思われますので、ピーク時には日本での年間販売台数は1000万~2000万台程度に達していたのではないでしょうか。

蛇足ですが、TOTOのデータは累計販売台数であって、年間販売台数ではありません。

もちろん、販売先は新規取付世帯だけではありませんで、ホテル、アパート、新築住宅もありますし、これらの数字が必ずしも使用世帯数、使用人数を表している意味ではありません。

ただ、さすがにこの手の製品が、中古市場に出回ることはないようです。

推定使用者、患者数は?

別なデータが見つかりまして、その資料によりますと、全メーカーの洗浄機能付き便座の累計出荷台数は、すでに1億台を突破しているそうで、世帯普及率も80%を超えているとのことです。

もちろん買替、更新によって廃棄されたものも相当数あります。

もっとも、装置は付いているけど家族でだれも使わない、あるいは家族のうち何人かは使わない、ということもあるでしょうから、一概には言えませんが、それでも全人口の7割前後は使っている、と言いたいところですが、結構、拒絶派も存在するようです。

それでも半数以上は愛用者であるとは思われるのですが。

ただ、実際の使用者の数はともかく、およそ20年前からその使用人数は急激に増加し始めた、ということは間違いのないところでしょう。

一方、肛門周囲炎等の肛門トラブルの患者数なのですが、いつころから目立って増えてきたのか?といったようなデータは見つかりません。その辺も教えていただければ、もっと正確な推定が出来るのですが。

多くの専門医(開業医)が、洗浄便座との関連をあげていますが、前述の通り具体的にデータをあげている方は見当たりませんで、「肛門トラブル増加はウォッシュレットが原因」という『都市伝説』でしかない可能性も排除できません。

また、下手なたとえ話で恐縮ですが、お金がないという現象の原因には、強盗にやられたなどという特殊な場合を除けば、一般的には「収入が少なすぎる」か「支出が多すぎる」かのどちらかです。

洗い流し過ぎているのか、補充が足りないのか、この二つの要素を均等に検討しなければいけないのに、ほぼ全員が「洗い流し過ぎだ」と、データもないのに決め込んでいるところが問題です。

マスクの規格、性能を確認してもいないのに、多くの人がマスクをしている装着しているのに感染拡大が収まらないのは、『鼻出しマスクのせい』と決めつけるのと同じようなものです。

ウォッシュレットの洗浄能力は?

まず、皮膚にはいろいろな菌や、ダニやシラミなど、強いて言えばクモの仲間や昆虫に属する生物が寄生しているとされます。

それらが、有害な菌からも持ってくれているというわけで、これも真実と思われます。

その毛穴の中の極小生物ですら、洗顔程度ではまったく落とすことが出来ないのに、さらに何十分の一のサイズに過ぎない細菌類、肛門周囲の皮膚の微細な細胞間の割れ目、隙間や皮脂腺分泌孔などに潜んでいる細菌類を洗い流せる訳がありません。

繰り返しになりますが、そんなに凄まじい洗浄能力があるのなら、石鹸もシャンプーもいらないし、万一そのように毛孔深部の皮脂まで洗い流してしまうのであれば、どう考えても皮膚にとって有害であると言うしかありません。

皮膚機能を低下させるということは、たんに肌荒れの原因になるとか、そういったレベルの問題では済まない話です。

菌の補充源は?

細菌の体内浸入を恐れるあまり、過剰な殺菌によって離乳後の腸内細菌叢の健全な構築が阻害され、アレルギー等の原因になっている可能性が高い、ということを私は再三申し上げてきました。

食中毒で重篤な状態に陥ってしまうリスクと、多くのヒトに健全な免疫能を育成するという過程での必須条件ということを比較した場合、保健所の立場からすれば、食中毒等の防止などが主任務です、ということにはなるのでしょうが、動物としての人類という立場からすれば、どう考えても健全な免疫能構築の方が優先されるべきです。

適当に細菌を経口摂取することは、極めて重要なことであるということです。

わざわざ腐敗寸前の食品を食べる必要などまったくありませんが、いちいち、殺菌にあたるような行為は行わず、自然と空中から落下してきた菌が、そのまま温度環境によって増殖した状態のものを食べる、ということは必要なことであり、自然の営み、循環の一部です。

過剰な口腔内洗浄、殺菌は行わず、口腔内で培養した乳酸菌群(虫歯菌でもありますが)を、食品や唾液と共に飲み込むということによっても、絶え間なく菌類の摂取、補給が行われています。

それらは、腸内細菌との共存プログラムに組み込まれていることです。

ちょっと、捕捉しておきますと、菌の補給は極めて重要なことではありますが、一方で高齢化に伴う歯の減少は、これはこれで、極力避けたいものです。

完全生食をしていない限り、現代の平均的食生活では、必ず虫歯も発生させることになりますから、3か月に1回程度の定期歯科検診と、就寝前の歯磨きは行うべきでしょう。

しかしながら、毎食後の歯磨きという習慣は、総合的に考えてれば、けっして良い習慣とは言えないと思います。

多細胞生物の発生以来、細菌やウイルスとの適切な共存は、生存条件のひとつに組み込まれた仕組みであり大前提です。

ところが、厚生行政が食中毒を異常なまでに警戒しているがため、食品無菌化が異常ともいえるほど進んでしまっているということが問題である、ということです。

肛門周囲の筋肉
  ヒトと他の哺乳類

 肛門周囲に生息しているという菌群も、空中を舞っていた菌が肛門周囲に付着して定着している、などということはあり得ません。

食品と共に経口摂取され、腸内を生きたまま通過した通過菌の、ごく一部、肛門周囲皮膚環境に適合していた菌が定住した、と考える以外にありません。

そう考えてみますと、肛門周囲の菌群、肛門周囲の皮膚を保護する機能を持った菌が減少して、肛門周囲炎等を起こすのであれば、それは菌自体をウォッシュレット等で洗浄し過ぎたことが原因であるのか、その餌となる皮脂を洗い流し過ぎたからなのか、あるいは補給すべき菌量が低下したからであるのか、という原因が考えられることになります。

それらの条件を満たすために、拭ききれなかった、洗い流しきれなかった便を、わずかとはいえ付着させたままにしておかなければならないのか?それが健全、健康な肛門には必要なのか?ということが問題です。

つまり、完全に清潔な状態にしてしまうと、言葉を換えれば、肛門には常に微量の便を付着させたままにしておかないと、肛門周囲の健康を保てないということなのか?ということです。

確かに、哺乳類に中でも、ヒトの肛門の筋肉の付き方は特殊、というより、不完全な構造であるとされています。

イヌ、ネコは基本的に排便後、尻を拭く必要がない訳ですが、それには肛門の筋肉の付き方が関係しています。

イヌ、ネコ等の排便時には、肛門括約筋の内部が一度便と共に外部に露出し、便が出終わると、つまり、便が落下して肛門から離れれば、一度露出した部分は内部に戻ります。

構造的に、肛門外部(常に露出している部分)は、排便時には直接便に触れることがなくても済む構造になっているのです。

ところが、ヒトには肛門自体を外部に押し出す筋肉組織が欠落しているのだそうで、原始の時代から排便後はお尻を拭く必要があった、とされています。

ただ、その構造が肛門外部に便を付着させたままにさせる為、菌を十分に付けておく為、とは考えにくいのです。

一見きれいに見える手掌にも、多数の細菌類が付着していることは周知の事実であり、適当な数の細菌を肛門外部に付着させておくためだけならば、多量の便を肛門外部に付着させたままにしておく必要まではない、と考えられます。

とくに、臭気を発するほど多量の便を外部に付着させておくということは、ヒトより強い捕食動物に察知されやすくなってしまいます。

常に、相当量の便を肛門外部に付着させておくことが必要であるなら、便が付着したままであることに対しても、不快感を感じさせないようになっているはずです。

しかし、大昔から人類は、排便後には何らかの方法で肛門周囲を拭く習慣を持っていたという事実は、肛門外部に常に大便を付着させたままにしておく必要がある、などと言うことはない、ということを証明していると思います。

結論を申し上げますと、いつもと同じですが、自然に口から入ってくるべき細菌を、加熱、殺菌などによって過剰に殺してはいけない、ヒトの健康面にとって、過剰な殺菌が、あらゆる面で障害になってくる、ということです。

(了)

 

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