西式健康法

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椎間板への血液供給は | 四肢02

約5分

年齢を重ねてくると、椎間板が薄くなってきて脊髄、脊髄神経周りのトラブルが増加してきます。

また、椎間板ヘルニアを何度も繰り返し、どうして自分の椎間板はこんなに弱いのかと悩んでおられる方も多いと思われます。

健全な椎間板を作っていく、回復させるためにはどうしたらよいでしょうか?答えは椎間板の構造にあります。

椎間板は内部にはまったく血管が通っていない大変珍しい器官です。骨だって、歯だって骨髄、歯髄には動静脈血管が通じており、髄や骨膜を通じて血液成分が供給されているのですが、椎間板にはその血管も通っていないのです。

血液供給を受けないのであれば、修復するわけがないと早とちりしないでいただきたいのですが、血管は通っていないもののちゃんと血液成分を供給する仕組みは備えています。

それは椎間板を挟んでいる各椎骨には、椎間板との接着面に「終板」という手足等の骨には見られない特殊な組織があります。

その終板を通して、椎骨の骨髄にある血液成分、栄養成分が椎間板に供給される仕組みになっているのです。

そして、その椎骨、椎間板間の液体移動を促す原動力は、きわめて単純ではありますが椎間板に対する圧迫、開放の繰り返しによるポンプ作用、つまり、食器洗いのスポンジを握ったり、緩めたりしたときに生じる、水を吸ったり、排出したりというのと同じ原理で促進される構造になっています。

ですから、最近ではほとんどの整形外科医は椎間板ヘルニア等の患者に対して「痛みが軽くなって動けるようになったら、できるだけ早く、できるだけたくさん歩くようにしなさい。そうすれば予後の回復も早くなるし、再発も防げるから」と指導するようになってきました。

椎間板への血液成分補給原理が臨床医の間にも浸透してきた、ということは大変喜ばしいことではありますが、もう一歩踏み込んで、より効率の良いポンプ作用の起こし方について研究をしていただければ、なお良いのですが。

具体的方法は?

物理学的、運動生理学的な観点からは、西式健康法の左右揺振動作が最適であろうということになるはずです。つまり、背腹運動を実行なさるのが最も有効であるということです。

現に腰痛がある人は、痛みを伴うでしょうから無理をしては絶対にいけません。とくに、脊柱を傾斜させるたびにギクッと痛みがくる状態では、まだ実践は早いということになりますから、鋭い痛みを感じない範囲でゆっくりゆっくりと背腹運動動作を試してみてください。

背骨のトラブルのほとんどが腰椎

腰痛をはじめとする背骨のトラブルの多くが腰椎であるとされています。治療の専門家によりますと95%以上と断定する方もおられます。

なぜ、腰椎周りのトラブルが圧倒的に多いのでしょうか?これは構造上のやむを得ない事情であるといえます。

ヒトは哺乳類の中では、唯一、特殊な姿勢をとるように進化をしました。ほとんどの脊椎動物が背骨を横方向に用いる「梁」としているのに対し、柱として縦方向に荷重がかかるような形態に進化したことです。

横方向に使いながら進化発達してきた構造物を、急に柱として使うようになったわけですからそれなりの対策をしなければ、不都合が生じます。もちろん、それなりの対策は進化の過程の中で施されてきました。

椎骨間の間隔が広いまま柱として使用すると、どうしても強度が低下してしまいます。だからと言って、すべての椎骨間隔(椎間板の厚さ)を狭くしてしまうと背骨の柔軟性が著しく損なわれます。

何か物を拾うために、いちいちひざを大きく曲げてしゃがまなければならないとか、背骨のねじり方向の可動範囲も狭くなって俊敏な後方確認ができなくなり、そのつど足を踏み変えて全身の方向を変えなければならないことになります。

それらはエネルギー消費を多くしますし、危険察知が遅れる結果として生存率を低下させることにつながります。

そこで、ヒトは胸椎という肋骨が接続している脊柱の中央部分にある12個の椎骨の間隔を狭くして、頸の部分の椎骨7個の間隔も狭くして強度を維持する構造を採用しました。

ただし、頭部は瞬時に左右に回転させられるように、頚椎1番、2番間は回転軸受けのような特殊な構造にしました。これはヒトに限ったことではありませんが。

唯一、四足動物と同じレベルの広い間隔をもっているのが腰椎という、腰の部分の椎骨間の間隔です。

まだ多くの方々が記憶しておられると思いますが、アイススケートの金メダリスト荒川静香選手の演技で有名になったイナ・バウワー(この選手が元祖のようです)という技は、訓練によって腰椎を大きく曲げられるようにしてあの体勢を作り出します。

頸椎や胸椎ははどんなに鍛錬しても、あそこまで曲げられるようになる構造にはなっていないのです。

また、犬猫のように(陸棲では熊クラスまで)それほど大きな荷重が脊柱にかからない哺乳類においては、椎骨間隔をほぼ均等に広くしておくことが可能ですから、脊柱全体を大きく湾曲させて、自分の口で自分の排泄器官等の清掃も可能となります。犬、猫ではおなじみのポーズです。

一方、象は骨格標本で観察しても、椎骨の隙間を観察することは困難です。あたかも癒着しているように見えます。

これが海棲生物である鯨になりますと、浮力のおかげで見かけの重力が1/6程度に減少しますから、象より大きく重い鯨であっても椎骨間隔は十分な間隔で形成されています。

狂いやすい構造である腰椎にトラブルを抱えている方は、睡眠時には平牀とまではいかなくても、腰椎部だけに板を敷いて寝ることによってかなり軽減されるはずです。

 

この記事を書いた人

株式会社 西式サービス西会 本部長西 万二郎
昭和27年(1952年)東京生まれ。東京工業大学工学部付属工業高校機械科を経て立教大学社会学部卒業。西式健康法創始者、西勝造の次男・西大助(西式健康法普及団体、西会第三会長、故人)次男として生まれ、在学中より西式健康法西会本部に勤務し西式健康法普及活動を開始。昭和52年業務部長、昭和63年本部長に就任。主な著書に『西式健康法入門』(平河出版社刊、共著)がある

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