西式健康法

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熱中症に注意!! 暑さに体が慣れないと熱中症に?  時事18

約11分

熱中症に注意!! 暑さに体が慣れないと熱中症に?  時事18

熱中症に注意!!
 暑さに体が慣れないと熱中症に?

  私が解説する「西式」としてのお話ですから、皆様に、ごく当たり前にこれからの季節、熱中症に気を付けましょう、という趣旨で申し上げるわけではありません。

もちろん、絶対に熱中症にならないように十分に注意、配慮すべきである、ということは当然のことであり、熱中症を軽く見ている訳ではありませんので念のため。

ただ、ここのところずっとお話させていただいている、マスクの問題と同じところがあります。

原因や身体の構造、能力を十分に検証、検討せず、テキトーと言ってしまったら語弊があるかもしれませんが、ごく少数の学者の見解を、たまたま、それらしいデータを出してきたからと言って、直ぐに鵜呑みにすることには問題がある、ということを申し上げたいのです。

ここ数日、毎日のようにニュース等で見聞きしていると思いますが、『暑さに体が慣れていないこの時期は、熱中症を起こし易い』ということを聞けば、だれもが、そうなんだ、仕方ない、どうしようもない、とお考えになることでしょう。

しかし、単純に、『暑さ慣れ』していないという理由だけで、命を失いかねない『熱中症』に陥るものであるのかどうか、何百万年もの間たゆまぬ進化を続けてきた人類が、そんなつまらないことで命を落とす可能性があるのか?といったことについて考察してみたいと思います。

急に暑くなるから熱中症が増える?

ある日を境に、突然気温が上がる、暑くなるということは、昨日今日になって始まったことではありません。

日常的に、『異常気象』という言葉を聞くことも多くなりましたが、過去には氷河期もあったし、熱帯雨林が急拡大するほど、高温多湿な時代もありました。

何も、ここ数十年のデータを元に『地球温暖化』であるとか、異常気象とよんでいる状態は、地球史上かつて経験したことのないレベルの異常さ、という訳ではまったくありません。

この程度の気候変動で(凶作とかでなく)死亡率が相当上昇する、というようなことが起こるのだとすれば、人類はとっくの昔に絶滅していたことでしょう。

もし、この『暑さ慣れ』の問題が主原因であるとするならば、リオのカーニバルを観に行くことや(2月開催で日本とは季節が真反対)、冬に避寒を目的としてタイ、インドネシア等に旅行することも極めて危険ということになりそうなものですが、外務省の渡航勧告とかには全く出てきません。

インドの熱波による熱中症に関しては、注意喚起がなされていますが、暑さには完全に慣れているはずのインド人ですら、熱波では大勢亡くなっています。

暑熱順化

 この聞きなれない言葉が、『5月など、暑さに体が慣れていない季節は熱中症を起こし易い』という説の根拠になっています。

まず、この暑熱順化(暑熱馴化=発音同じ、暑熱順応とも呼ばれる)という用語から解説しなければなりません。

『暑熱順化』とは、日本版ウィキペディアによれば、以下のように解説されています。

暑熱順化』とは、徐々に体を暑さ順応させることである。昨今、熱中症患者が急増している要因の一つとして、専門家は「暑熱順化」が不十分な点を挙げている。
と説明されています。

この説明では、急激に暑さにさらされることで、実際に身体にどういう変化が生じるのか、どのようなことが起こるのか?ということは明らかにされておりませんから、もう少し詳しく説明します。

基本的には、体温調整機能が気温の急激な上昇に対して直ちには適応せず、その順応にはおおむね数日から1週間を要するので、その間は外気温度上昇に対して、十分な体温調整が出来ず、体温上昇が生じた結果として熱中症になる、またはその前段階に至る、ということなのだそうです。

いずれも運動生理学の分野の学者の研究報告と思われますが、いくつか複数の実験で確認されていることにはなっています。

ところがこれらの実験は、早く結果を導き出したいからであるのか、研究者が運動生理学分野であるからなのか、外気温上昇という条件の他に、いずれも運動負荷を与えた結果なのです。

つまり、運動能力向上、あるいはアスリートの健康を害さないためであるのか、または効率的トレーニングを行うための基礎研究なのかは不明ですが、とにかく運動能力の向上=体温調整機能の向上、という捉え方をしていると思われるのです。

しかし、実際に問題となっているのは、高齢者が室内で熱中症にかかり重篤な状態に陥ってしまった、とか、死亡したと、いった事例が問題になっている訳でして、必ずしもこの研究報告を考え方の中心には据えるべきでないと思われます。

発汗の機序

この先の解説には、私のオリジナル理論も含まれてしまいますが、その点はご了承ください。

また、この問題をここで一から解説してしまいますと、相当な文字数が必要になってしまいますので、詳しくお知りになりたい方は、すでに公開済みの代表ブログ『エクリン汗腺 皮膚02』及と『皮膚機能と裸療法 皮膚03』をご参照ください。

さて、人は『体温調整』のために汗をかく、ということになっていますが、私は『体温調整』は発汗の目的の一部に過ぎない、と考えています。

エクリン汗腺は、人類特有(一部高等猿類にも、それなりに発達している種があるとされている)のものです。

熱帯地方で生息している、体毛を十分に有する獣類でも、現実としては十分に体温調整が出来ているという事実を考えると、どう考えてもこの『体温調整』のためだけに気化熱を利用するという、ヒトのシステムは過剰装備というしかありません。

他の獣ではそのようなシステムなしに生存しているのに、生存のために絶対に必要であり欠かせない貴重な水分を、無制限に使用して体温調整に使用する構造というものは異常であり、あり得ないはず、ということです。

発汗の適応に関しては、従来の十分に信頼に足る研究報告では、『急激に気温の高い地域に移動すると、当初は多量に発汗するが、2~3日で順応して、適切な体温調整のための必要最低限の発汗量に落ち着く』といったような説が主流となっていますし、本当の発汗に関する専門家(運動生理学ではない)の間では、いまだに定説になっているはずです。

至極妥当な内容であって、本能は中心部体温の上昇を防止するため、短期的には過剰反応を起こすが、やがて、過剰な水分消耗が起こらないように調整、収束していくということを繰り返しますが、極めて妥当な推論です。

なぜこの時期に熱中症が増える?

消防隊員や医療関係者の感触であるのか、実際に統計的事実なのかということは必ずしもはっきりしません。

単純な救急による熱中症、もしくはその疑いによる患者搬送者数は7月が最多であり、次いで8月という順当なデータが、平成27年~令和3年の7年間の統計としては公表されています。

末梢循環に植物同様、水分蒸散作用を利用している、というのが私の仮説でと申し上げましたが、暑熱順化の実験の際に運動負荷を与えたのでは、体温調節機能(主として発汗能力)の問題で中心部体温が上昇したものであるのか、循環能力の向上を含む心肺機能の負荷増大によって、発汗量が増大したのかの区別は不能です。

私の仮説は除外したとしても、高温環境と同時に強度の運動負荷を課してしまえば、心肺能力の適応であるのか、体温調整機能(発汗能力)が適応した結果なのか、という区別はこれまたできません。

急激な気温上昇が、熱中症発症の主たる要因であるとするなら、『暑熱順化』に時間がかかるのではなく、その他の要素の方が多い可能性を検討すべきですし、安直に『暑熱順化』と決め込むべきではありません。

他の要素

例えば、この時期には、朝夕の気温は低いことが多いので、真夏の服装ではなく、男性であれば長袖シャツを着ている人の方が多いようですし、女性でも半袖を着ている人の方が少数派でしょう。

また、直射日光の強さが影響している可能性も否定できないかと思います。ゴールデンウィーク中など、今年はあまり快晴の日はなかったような記憶ですが、工場が休みのところが多いという事情なのか、空気も澄んでいるし、太陽の傾斜角も8月などよりずっと高い角度で照らされていますから、直射日光の下では、皮膚表面温度も上昇しやすくなります。

そして、最大の問題は、水分摂取量の問題です。現在では、水分摂取が健康維持にきわめて重要、という認識がない人など、まったくと言って良いほど存在しないものと思われます。

それでも、猛暑の時期と、まだまだ朝夕は涼しいといった季節では、水分摂取に対する事前の心構えも違ってきます。

そして、その中でも一番大きいのが、水質に対する認識、知識と言いますか、水そのものに対する過大な期待、逆の言い方をすれば、過剰な警戒心、飲用水に対する過度なこだわりが原因である可能性も高いのではないかと思います。

学校における集団発生

学校での熱中症集団発生という問題は比較的最近の話(といっても私自身の少年時代や私の子供が小中学校生であった頃には、ほとんど聞いたことがないという意味で、30~50年前よりは“最近”ということですが)ではないかと思うのですが、最近では、小・中学校での体育授業中などに、熱中症の集団発生が起こっています。

こういった事件も、識者は『暑熱順化』の問題で説明しようとするのでしょうが、これは事実に反すると思います。

今もちょうど、テレビ番組で一応専門分野の識者という紹介をされている学者が、そのことを解説しているのですが、その専門家は、水分の主な貯蔵場所は筋肉(実際は排泄前の大便中)であるから、それが少ない高齢者、小さな子供、女性は熱射病に陥りやすい、と解説していました。

多くの小中学校ではペットボトル飲料どころか、水筒の持ち込みも禁止している学校が多いのだそうです。

一方で、飲料水には一切水道水を使わないという家庭も多い(私自身は非常備蓄用のペットボトル飲料水は置いてありますが、日常的に使用する飲み水は、浄水器を通した水道水を利用)のだそうです。

米国ばりに、ウォーター・サーバーを貸与して、ガロンボトル(3.8ℓ)を宅配する事業が日本でも急成長しているようです。

もちろん、水道水内の残留塩素はできれば体内に入れたくありませんし、ごくわずかではありますが害があることも事実と言えば事実です。

そういう面で、多くの方が神経質になってしまい、水道水は一切口にしない、という方も増えているようなのです。
ペットボトル飲料の売り上げ増加や前述のウォーター・サーバービジネスの成長が、それを物語っています。

ただ、ご参考までに申し上げますと、日本の平均的な水道水の衛生水準等は世界トップレベルであって、飲用したことによって有害事象が生じるといった恐れはまったくと言って良いほどありません。

欧米の多くの諸国とは水質レベルがまったく異なります。

ただ、古い中高層集合住宅や商業ビルの蛇口から出てくる水(配管素材や配管の老朽化)については保証できませんが。

こういった事実を組み合わせますと、家庭教育の成果?で学校内蛇口の水は一切飲まない、あるいは親から飲用を禁止されているお子さんも多いのではないかと推察します。

水分不足状態で、なおかつ、過大な発汗を強いられる、体育の授業など熱射病への最短ルートです。

私たちが子供のころは、体育の授業やクラブ活動が終わると、または途中の休憩時間中に、こぞっていくつも並んだ水道の蛇口に口を付けてがぶがぶ水道水を飲んだものです。
そのせいで奇病になってしまったという話は、まったく聞いたことがありません。
周囲では熱射病の発生などもめったになかった、と言うか聞いたことがないといった記憶です。

唯一、私が比較的若い時に起こった事件としては、杉並の女子高校で発生した、体調不良の集団発生事件です。
当時は公害問題がちょっと誇大に取り上げられていた時代でしたから、『光化学スモッグ』が原因ではないかということが言われていましたが、普通に考えれば『熱中症』であったのではないかと思われます。

実際は水分摂取量が最大のポイント

比較検討するまでもないことなのですが、水道水のわずかに存在するかもしれない毒物を恐れて、脱水症状に近い状況を容認する、という対応は正気の沙汰ではありません。
運動どころか外出もほとんどしていないご高齢者の熱中症も、学校のクラブ活動、体育授業中に発症する熱射病も、単純な水分摂取不足であるということです。

ヒトどころか循環系をもっているあらゆる生物は、水分の使用目的として最も重要なのは血液の正常な循環維持(粘性維持、血管を詰まらせないため)です。

血液の粘性が一定以上に高まってしまいそうになると、発汗量を抑制して、体温上昇すら容認せざるを得なくなってきます。

水の重要性については認識している、解っているようなふりをしているけれども、本当の意味での重要性を解っていない、という現実を思い知らされます。

ちなみに、水筒等の持ち込みを多くの学校で禁止している理由は、雑菌の発生した水など持ち込まれて、お腹でも壊されたら困る、というきわめて矮小な責任逃れの方針によるものだそうです。
持ち込みの飲料水に雑菌が発生していたとして、それを学校で飲んでお腹を壊すなど、仮に問題が起こったとしても、水分補給の方がはるかに重要であり、しかもそのことに関しては、完全に家庭の責任です。

一方で、十分な水分補給に配慮せず、体育の授業や屋外行事を強行した結果発生した『熱射病』は、『100%学校の責任』である、ということを肝に銘じて教育に向かい合っていただきたいものです。

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