西式健康法

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水について | 考察03

約12分

水の流行

水については十年周期くらいで流行が起こっていると思われます。異論もあるかと思いますが、最新流行と言いますか、現在の水ブームといえば「水素水」でしょうか。

およそ50年前には、第一次浄水器ブームともいえるものがありまして、水道水をそのまま飲用に供するのはある面危険であるから、家庭でも浄水器を設置した方が良いという主旨でした。

 

この当時、現在でも基本的には変わらないのですが、水道水には消毒のための塩素が含まれており、塩素そのものは細菌等による汚染防止には大変有効であるが、人体に対しても毒物であることは事実です。

飲用前に塩素除去を主目的とした浄水器を通したほうが良い、もちろん、原則的には混入してしまうことはないはずですが、万一混入してしまっている有機物(細菌が繁殖している可能性が高い)も除去できる、というのがそれら浄水器の売りでした。

当時の主原料といいますか、濾剤(ロザイ)の主流は、ほとんどの製品が活性炭でした。第一次浄水器ブームでは、オルガノ、栗田工業といった上下水道関係の装置を製造する大手上場企業も参入していました。

ただ、今日とは異なり、交換用の濾剤を流通させるホームセンターのような流通ネットワークが整備されていなかったからか、十分に普及したとは言えませんでした。

今日でもそれらメーカーは家庭用浄水器製造販売は続けていますが、あまり力を入れていないのか、広告を見る機会はほとんどないかと思います。

アルカリイオン水

 次に大流行したのが、「アルカリイオン水」であったと思います。話題になり始めたのは、たぶん、35~40年ほど前のことではないでしょうか。

生物の体液は微アルカリ性であるから、それに近い酸・アルカリ度の水を飲むのが理想的である。

しかし、昨今(当時)は酸性食品の摂取率が大幅に増加しているので、アルカリ度の高いアルカリイオン水を飲んで酸塩基平衡の中和を図らなければならない。

酸性過剰が万病の原因とも言えるから、アルカリイオン水は万病に有効である、といったような主張でした。

もちろんこれらの説明にはいくつもの「トンデモ理論」が含まれています。

まず、酸性食品、アルカリ性食品といった分類ですが、これは今日では、医学、生理学的にはまったく問題にされていない、百年以上前の理論(詳しくは、ブログ11「自律神経と酸塩基平衡」をご参照ください)であり、今日の栄養学でもまったく問題にもされていない考え方です。

ところが、当時の厚生省が、アルカリ性の水であるから胃酸過多には有効であるという、業者側の主張と申請を認めて「医療用具」に指定してしまったものですから、医療用具という表示と、効能・効果の表示もできるようになってしまいました。

実際に認められた効能は「胃腸症状の改善」という内容、つまり「胃酸過多、胸焼け等」の改善にはアルカリ性水による中和作用が有効である、というだけのことなのですが。

胃酸過多でもない人がアルカリ度の高い水を常用すれば、今度は胃内のアルカリ度を高め過ぎることになり、それが胃の機能の一部、少なくとも殺菌作用を損なうことは明白です。

「医療用具」(今日の最新薬機法によると、「家庭用管理医療機器」だそうです)と表示できることによって、多くの方は有効性を国が認めていると考えてしまいます。

認められた効能はパンフレットや広告だけで表示して、例えばがんにも有効といったような、認められていない効能については、個別あるいは説明会で口頭で行う、といった使い分けで、本当に万病に有効であるという錯覚を与えるような商法が横行していました。

もっとも、薬事法(当時)に抵触する行き過ぎた説明などは、すべて販売者の責任でやっていることであり、そういった違法かつ不適切な説明は絶対に行わないよう、会社としては厳重に指導、注意しているというのが多くの製造会社の説明です。

しかし、「太田胃酸」等と同じ効能があるというだけで、数十万円の出費を決心するとはとても思えません。

幻の(虚偽の?)効能に惹かれて(だまされて?)購入している方がほとんどであったということは明白でしょう。

世に出てから、30~40年は経っているかと思いますが、いまだに、ごく少数の医療機関でしか採用されないのは何故か?

製薬会社の妨害、陰謀といったような説明をする販売人が居るかもしれませんが、それらの勢力にそれほど大きな力があるのなら、家庭用管理医療機器の指定を取り消せば、ずっと簡単にケリをつけることができます。

磁気水

 水に強力な磁力を作用させることによって、水質改善、管路保護等の効果をうたった装置がそれなりに流行したのは、その数年後からでしょうか。

米国などでは、単なる電気分解の産生物であるアルカリイオン整水器はまったく流行することはなく、この磁気を利用した装置の方がずっと普及していたように思われます。

一部は健康のためという用途でも販売されていたようですが、主流は船舶(特に小型ボート)用であったようです。

個人で小型ボートを所有している人の数は、たぶん、日本の百倍以上かと思われますが、エンジン冷却用に取り入れる水による、冷却水用パイプ(水管)等の腐蝕対策用として大いに期待されたようです。

とくに海上で使用する船舶であればその影響は甚大です。

 

当初、米国沿岸警備隊で試験採用されたということを広告でうたっていましたが、その後正式作用されたという報告はないので、結局は採用されなかったのでしょう。

もし、有効性が高ければ、米国の全公式艦船(海軍も含めて)に採用されているはずですから、そうならなかったということは、少なくとも費用に見合う効果は得られなかったということです。

日本では、家庭用には健康効果、事業者用にはビル内配管の耐久性大幅向上ということで、そこそこ大きな会社も一時取り組んでいたようですが、やはり、主流になるようなことはありませんでした。

ビル内配管が腐蝕でダメになって全部やり直すとなると、外装のやり直しより大きな費用が掛かるとされているようで、解体して建て直してしまったほうが現実的と言われてます。

それなりの効果があったなら、ここ20~30年に建築されたビルでは、例外なく採用されていたはずですが、そうはなりませんでした。

健康効果をうたった製品も、最近はまったく広告等を見なくなったので、やはり芳しい評価は得られなかったのでしょう。

小クラスター水

 具体的な製品のイメージは浮かんでこないのですが、確か15~20年くらい前には水分子の大小によって水の作用、健康効果が大きく変わる、という説が流行りました。

 

水のクラスターが小さいと細胞内に入りやすいが、大きいと細胞へ入り込みにくく、そんな水は飲んでも細胞内に十分に入っていけず、役に立たない水である、といった説明であったように記憶しています。

なお、「クラスター」とは水の分子集団であるとのことです。

開発者自身からは反論されるのかもしれませんが、たぶん、この手のもので一番古く、また名前が売れていたのが「パイ(π)・ウォーター」というものでしょうか。

植物の生育促進に絶大な力があり、飲用すれば健康効果も絶大、といったような内容であったかと思います。

なお、パイ・ウォオーター自体は70年近い歴史があるとのことですから、流行った時期というのはあくまで私の感想に過ぎないことになります。

書いているうちに思い出してきましたが、非常に歴史は古いが、一度も大流行することはなく地道に名前を聞く装置の中に「電子水」というのもありました。

今でもあるかとは思います。

この電子水は、タンク内の水を高圧電気によって生じる電界中に一定時間曝すといった構造のものです。

それがなぜ有効なのか?といったことについて、理論的にははまったくと言って良いほど公開されておらず、植物の生育比較等によってのみ効果の主張をしています。

この電子水関連の製品は、同時に建物床下に多量の備長炭を埋設する必要があるとしているようで、また、水クラスターを小さくできるということを、後付けかもしれませんが主張していたように思います。

水素水

 これについては、現在でも多くの媒体で紹介、宣伝されていますから、細かい解説は省略させていただきますが、最初にこの『水素水』を世に広く知らしめたのは、もともと「アルカリイオン整水器」を世に広めたご本人であったと思われます。

そのロジックは、

「アルカリイオン整水器」の効果が何故生じるのかという、本当の理由は永らく謎であったが、やっと判明した。それは電気分解の結果生じた水素の効果だったのだ。これからは、単にアルカリ度でなく水素含有量を高める必要がある」

といったような主張でした。

過去のご自身の推奨製品ではダメだった、とは言わずに、新たな機械、機種の販売に結びつけるというすばらしい商才の持ち主ではあります。

電気分解式アルカリイオン整水器によって作られたアルカリ水は、電気分解の結果発生した水素が、そのままの水よりは多少は多くは溶け込んでいますから、確かに「アルカリイオン整水器」は水素水発生器でもあります。

しかし、アルカリイオン整水器そのものが、発売以降50年近く経過するのに、効果に関してはまったく評価が定まっていません。

 

とくに販売人がうたっている裏の効果については、有効性を証明するまともな研究報告もまったくない中で、「水素の効果だった」と言われても…。

経験上効果は確実だが、どうしてその効果が生じるのかという作用機序が解らなかった、というなら、その理屈について聞いてみたくもなるのですが…。

今日では、心肺停止時等に酸素吸入を行う際、水素を混入してやると、脳細胞が受けるダメージを減らせるといった効果に関する学会発表はあるとのことです。

将来的には、救急救命医療の現場で、酸素吸入用のガスボンベには一定量の水素を混入するようになるのかもしれません。

ただ、一般的な健康効果については、今のところ何らのデータもないに等しい状態です。

水の働き

水の働きについて解説します。

高等動物のすべては、自らが生存繁殖するために捕食活動を行い、その捕食した生物を消化吸収します。

 

 高等生物、もちろん多細胞生物ですが、所詮小さな細胞の集合体ですから、基本は1個、1個の細胞を養うための仕組みが必要です。

ひとつひとつの細胞を養っていくために必要なのが循環システムであり、消化吸収システムです。

個々の細胞には、当たり前ですが口も肛門もありませんから、すべてのものを水に溶解、あるいは細胞膜を通過できるほどの分子量にまで小さくして、水と共に個々の細胞の細胞膜を通過させてやる必要があります。

必要物質が細胞膜を通過できるよう、水に溶解あるいは小分子量状態に加工することが消化吸収であり、水に混じった必要物質を全身約37兆個の細胞に過不足なく届けることが循環システムの仕事です。

もちろん、個々の細胞の生命活動の結果発生した排泄物も、有用物質と同様、水に溶解した状態のものを水と共に細胞外へ出し、腎臓等の排泄器官を通して排出していることはご承知の通りです。

生命活動の基本は、個々の細胞への水の出し入れによって営まれているわけです。

そういう原理ですから、言うまでもありませんが、水は絶対に必要なものであり、不足することは絶対に許されません。

もちろん、クラスターが大きいから細胞への出入りができないとかいったようなことはまったくありません。

そういった、生物の根幹をなす仕組みですから、人工的加工をしていない水を飲んでいると、生物としての機能が低下してしまう、といったようなことがあるはずがありません。

  ほぼ中性で、有害物が含まれていない水であれば、クラスターも溶存水素量も関係なく、強力な磁力線に曝されていようが曝されまいが、電界中に置かれていようが置かれまいが、水としての役割を果たしてくれるわけであって、そのようなことにこだわったとしても、何ら得るものはないでしょう。

酸素

 ただひとつ、大きな関係がある要素として、溶存酸素の多い水、ほとんど含まれていない水の違いは非常に大きいと考えています。

自然の水、少なくとも加熱していない水には、酸素が十分に溶解しています。湯ざましは、酸素含有量が少ないから金魚を育てるには不向きであるし、狭い水槽で多くの魚を飼うためには、水中に泡を出す「エアーポンプ」という装置が欠かせません。

ドジョウではありませんから、哺乳類は消化管を通じて呼吸する仕組みを持ち合わせてはいませんが、腸内細菌類に対しては非常に大きな影響があります。

とくに、飲料水中の溶存酸素が極めて重要であろうと考えられるのです。

腸内細菌にも、嫌気性菌、好気性菌があり、嫌気生菌は通性嫌気性菌と偏性嫌気生菌があります。好気性菌とは、酸素を利用する細菌群ですから酸素がないところでは生存できません。

通性嫌気性菌とは、酸素があっても生存できるが、酸素を必要としない菌。偏性嫌気生菌とは大気濃度程度の酸素環境下では生存不能な菌のことです。

大腸内細菌の多くは嫌気生菌ですが、乳酸菌の一部には好気性菌もいます。最新の研究では、消化管内水分中の溶存酸素量が、各々菌群の成育に非常に大きな影響を与えているということも解ってきました。

そういった研究は、乳業メーカーの研究室において、製造が容易で製品内有用菌の長寿命化、安定化といいたものを図るための研究ですから、必ずしもずばりと私の主張を裏付けるというものではありません。

しかしながら、腸内細菌叢の生育に、消化管内水分の溶存酸素量が大いに関係しているということははっきりしているということです。

生水の飲用

十分に酸素を含んだ、有害物を含まない水(このことを西式健康法では『生水』と呼んでいます)だけを摂り続けてきたことによって、何百万年に及ぶ腸内細菌群との共生関係を築いてきたことは間違いのない事実です。

わずか、ここ数千年程度の、加熱した水を中心に飲むという習慣(寄生虫類の害を防ぐという意味では絶大な効果を有する加工法ではありました)は、長年の共生相手との友好関係を損なうことは疑いのないことです。

何百万年にもわたって築き上げてきた、腸内環境を維持するためには生水飲用は欠かせません。

今日、先進国で生活しているのであれば、飲用水中の寄生虫類や毒物を摂取する可能性はまったくありませんから、言うまでもなく加熱殺菌は不要です。

十分に生水を摂取してください。

生水の理想的摂取方法

 理想的とまでは言えないかもしれませんが、ひとつ提案させていただきます。

常温かあるいは冷やした500cc ペットボトル入りのミネラルウォーターに「柿の葉茶」のティーバッグを2袋くらい入れて時々ペットボトルを振ってやります。

こうすることによって浸出時間を短縮させることができます。

30分もすると、成分がかなり溶け出して色が付いてきますから、その時点で1/3くらい飲んでください。

ペットボトル内に空間といいますか空気が入りますから、その状態で泡立つほど強く振ってください。

 

製造会社によって異なるかと思いますが、ミネラルウォーターも殺菌をしていることが多い(国産大手はほとんどのようです)ようで、何らかの加熱殺菌を施していると、溶存酸素量はかなり少なくなってしまいます。

それを補うために、容器を振って、空間中の空気の酸素を少しでも多く、飽和状態まで溶け込ませようということです。

西式では一気飲みは推奨していませんから、一口飲んではまた振って、といったことを繰り返していただければ、常に溶存酸素量の多い生水と柿の葉茶の有効成分を、同時に、十分摂取することができます。

水のことに関しては、量の問題も含めてまだまだ解説しなければならないことがあるのですが、あまり長くなってもなんですから、続きはまた別の機会にさせていただきます。

この記事を書いた人

株式会社 西式サービス西会 本部長西 万二郎
昭和27年(1952年)東京生まれ。東京工業大学工学部付属工業高校機械科を経て立教大学社会学部卒業。西式健康法創始者、西勝造の次男・西大助(西式健康法普及団体、西会第三会長、故人)次男として生まれ、在学中より西式健康法西会本部に勤務し西式健康法普及活動を開始。昭和52年業務部長、昭和63年本部長に就任。主な著書に『西式健康法入門』(平河出版社刊、共著)がある

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