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「やっと認めた実質的空気感染」 考察21

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「やっと認めた実質的空気感染」 考察21

「やっと認めた実質的空気感染」

日本の国立感染症研究所が、新型コロナウイルス感染症の感染ルートとして、今まで認めていなかった『エアロゾル感染』も主たる感染源のひとつ、ということをやっと認めました。

世界の常識から遅れること、長く見れば2年。どんなに短く見ても1年は確実に遅れています。

もちろん、主たる感染経路としての大きな飛沫(目視可能なような)の吸引、手指等を経由した接触感染説を捨てたわけではありませんが、2年以上前から私が提唱していた『実質的空気感染』について認めたということは、お粗末の極みではありますが大きな一歩です。

誤りを認める姿勢は一番重要だからです。
今まで圧倒的な主流というより、という前提での物質を介しての接触感染、目視可能なレベルの、大きなサイズの飛沫吸引による飛沫感染、それらに対するリスク評価を下げるということになれば、大きな責任問題が生じます。

国際的な常識としては、接触感染はほとんどない、というのが常識なのですが。

膨大な出費を強要することになった、座席間を仕切るアクリル・パーティション設置、テーブル表面や椅子の背もたれまで、頻繁なアルコール消毒を実質的に強要し、ただでさえ売り上げの減少していた飲食店業界などに与えた経済的負担は、莫大です。

なおこの、まったく無用かつ無駄であったと考えられるこの手の備品など、机や椅子の背もたれまでアルコールで消毒しなければならないという不要な行為は、教育現場でも実施されていたそうで、教育現場に与えた負担増も相当なものであったと聞いております。

その原因が『国立感染症研究所』の誤った見解、実質的な指導に基づくということになれば、将来的に、数千億円規模の国家損害賠償請求集団訴訟を起こされても文句は言えません。

感染症研究所は、民間施設ではなく、独立行政法人でもない、純粋な国の機関です。

それだけ重大な過ちであったわけですが、今頃になってシレっと、この実質的空気感染(マイクロエアロゾル感染)を認めるということになったという事態を、感染研所属あるいは感染研出身者の学者として恥ずかしいと思わないのでしょうか?

こういう方々が、例の分科会の主要メンバーになっている訳ですから、有効な感染症拡対策など、取れる道理がありません。

建物閉鎖と全館消毒はどうなった?

 これも、忘れないでほしいのですが、2年前には、どなたか感染者がお一人でも出入りした役所庁舎などは数日間完全閉鎖して、防護衣で全身を覆った人々が、塩素系なのでしょうか、白い霧状の消毒薬を立ち回り先と思われる全室に噴霧していたわけですが、今では、少なくとも日本では、誰もどこも実施していません。

実質的に、無意味であるということが判明したから、ということになるかはと思いますが、それに対する反省も全くありません。

ワクチンも、3回目を接種すれば確実に予防効果も得られるし、充分な重症化予防効果も得られます、などと、何のデータもそろっていない時点で、感染研出身の大学教授が公言していましたが、すでに4回目接種の推奨と、日程が具体化していることは周知の事実です。

感染症学の連中なんて、『医学者』などと呼ばないでくれと、本当の医学者もさぞ迷惑していることと思います。

多くの感染研の出身者は、医師免許はあるけれども、『公衆衛生学』や「感染症学」以外の専門的研究をしたこともなければ、臨床経験もほとんどないような、単なる行政官であるということです。

そういった、その分野における学術、知識レベルが極めて低い連中が、重大な感染症対策の主たる方策を策定するということは、非情に恐ろしいことであり、国民、国家の不幸です。

『空気感染』と『実質敵空気感染』

 以前にも解説したような気もしますが、単に『空気感染』という名称を用いると、たぶん感染研からは「マイクロエアロゾル感染と空気感染は違います」という反論が出て、かえって混乱しますので、まずそこから整理して考えなければなりません。

どうも感染研の連中の『空気感染』に対する解釈は、乾燥状態の細菌、ウイルスが単体で空気中を漂っていて、それを呼吸器に吸い込むことによって感染、発症するという、たぶん100年近い昔に考えられた『結核』の感染経路を前提に考えているようです。

ところが言うまでもないことですが、単体の菌やウイルスには細胞からの離脱装置に当たるものは存在しませんし、もちろん宿主細胞側にも、航空母艦のカタパルトに当たる発射装置もありません。

つまり、言うまでもないことかもしれませんが、純粋な『空気感染』などというものは存在せず、呼気の水分中に含まれる各種不純物(多くは体液中のミネラルイオン成分=塩化ナトリウム等)に付着したウイルス類が空中に放出され、そのマイクロ飛沫の水分が乾燥して、微細な固形物にウイルス類が付着した状態(乾燥状態)で空気中を漂っているものを吸引した、つまり今日でいうところの『マイクロ飛沫感染』である、あったということです。

ただ、うっかり『空気感染』という単語を使ってしまうと、感染研系の人達からは「空気感染とマイクロ飛沫感染は違います」という、本来であればまったく見当違いの反論をされてしまう可能性がありますので、それを防ぐ(無意味な議論を避ける)意味で、私は、『実質的空気感染』という用語を使っているという訳です。

ダイヤモンド・プリンセス号
新たに判明したこと

日本で最初の集団感染事例となった、ダイヤモンド・プリンセス号の件については折に触れて解説してきました。

ダイヤモンド・プリンセス号や、その他初期に発生した医療機関等での集団発生の原因は、『空調を経由した実質的空気感染』であろう、ということを、私は当初から主張しておりました。

ところが、どうしてそういう発想を、感染症学の方々が持たないのだろうかと不思議でならなかったのですが、今回その一端が判明しましたのでご報告します。

研究結果が報道されたのは、2020年8月4日のニューズウィーク(電子版?)の記事ですから、実際に研究報告が発表されたのはその数日前でしょうし、基礎データを集め始めたのは、たぶん、ダイヤモンド・プリンセス号乗客が各々の国に戻った直後から、ということになると思います。

そこで、何が述べられているかというと、ダイヤモンド・プリンセス号の感染拡大は『空気感染』によるものである、ということと、ダイヤモンド・プリンセス号の空調設備に関する情報です。

この報告は、ハーバード大学とイリノイ工科大学の共同研究ティームによるものだそうで、責任者はハーバード大学公衆衛生大学院で『室内空気』について研究しているバーハム・アジミという研究者だそうです。

記事によりますと、

ウイルスがどのようにして船全体に広がったのか、考えられるシナリオについて繰り返されたシミュレーションは2万回以上。各シミュレーションは、乗客、乗員がキャビンやデッキ、カフェテリアで過ごした平均時間といった社会的な交流パターンの他、ウイルスが物体表面で生存できる時間などの想定を変えながら行われた。
10ミクロン以下と大まかに定義され、空気中に浮遊する微小飛沫と、より迅速に落下して物体表面を汚染したり、眼、口、鼻に付着したりして感染を引き起こす、粒の大きな飛沫の影響についても、さまざまな状況が考慮されている。

 ダイヤモンド・プリンセス号
実際の空調システムは?

一読しただけでは、非の打ちどころのない完璧な研究のようにも見えるのですが、その後の記述に重大かつ、根本的誤りがあることが判明しました。それは、研究によると、ダイヤモンド・プリンセス号は十分な換気がなされており、空気も再循環させていなかった。つまり、人々が距離を保ち、十分に換気されている空間であっても、高品質なマスク(一般的なサージカルマスクや複数層の布マスク)の着用は欠かせないとみて良い。

  となっているのですが、私が当初から主流は空調経由による感染という主張していた根拠は、最近の新造船であれば、省エネ設計も相当取り入れているはず、と思い込んでいたものですから、再循環空気によって、船内中に感染が拡大したのだと考えていたのです。

であるからこそ、外気を十分に吸えるアウトサイドの窓あるいはベランダ付き客室と、空調システム経由の空気以外はまったく入ってこない、インサイドの客室では感染率が相当異なっているはずだから、その比較調査を行うべきである、ということを主張しておりました。

ところが、私の想像とは異なり、権威あるハーバードの研究者の報告では、「100%新鮮外気を使用しており、船内空気の再循環はまったくしていない」にも関わらず、これだけ空気感染で広がるのだから、その感染力は尋常でない」といった主張に繋がってきます。

それが、結果として『高性能マスク着用は欠かせない』という主張を生み出します。

私は、今日の最新豪華客船ですから、お客のためはもちろんのこと、船主にもメリットがあるように、最高レベルの省エネ設計になっているに違いないという、思い込みで理論を組み立てていました。

常に新鮮外気のみを使って、真冬の暖房、夏場や赤道近くを航行する際に全館冷房となると、消費燃料は内気循環採用方式と比べて、確実に10%以上は燃料を消費すると思われますから、そんなことはあり得ないと決め込んでいたのです。
客船空調設計の情報を調べもせずに。

そういった経緯でしたから、私なんかに、正式な空調図面など入手できるはずもなかろうとは思いつつ、私も自己の理論を改める、少なくとも修正する必要があろうかと、いろいろとインターネットページを検索していたところ、次のような記事を見つけたという次第です。

大型客船の空調システム

 設計についての紹介
 この文書には、副題として『Princess Cruises 三菱グランドシリーズ実施例』となっており、そのものずばり「ダイヤモンド・プリンセス号」の空調システムに関する、船主向け宣伝文書の一環と思われる文献で、そのものずばりといった内容です。

執筆者は、三菱重工業、長崎造船所の造船設計部、船装設計課のエンジニアと、その子会社の長菱設計の艤装グループの担当者です。両者とも、純粋な技術系の方と思われます。

それによりますと、
客船は新鮮空気量(100%)を設計条件とすることが多いが、本船に代表されるメガ客船においては省エネ対策として新鮮空気を一部取り入れて環気させることが一般的になっている。

本船の新鮮空気量は、キャビン=客室(30%)、公室、階段室(50%)、そして病院、ギャレイ=調理室については衛生と臭気対策のため100%の条件である。

 と明記してあります。私が思った通り、時代を反映して、やはり相当、省エネに対する配慮もなされているわけです。

つまり、ご紹介した、ハーバードとイリノイ工科大学の共同研究ティームは、コンピュータによるシミュレーションは、念入りに行ったものの、肝心な、最も根本的な大前提が間違っているという失敗を冒していたことが判明したわけです。

何万パターンも想定した、シミュレーションは全て無意味であったということになってしまいます。

もちろん、循環空気を使用する以上、それなりのフィルターは使ってはいるはずですが、0.3ミクロンあるいはそれよりも小さいサイズのウイルスまで除去しようとすれば、吸排気抵抗の増大は無視できないレベル(燃料をその分余計に消費するということ)になってしまいますし、航海中はフィルターの清掃、消毒等は困難であると考えられますので、例えばウイルスを95%除去できるフィルターなど使えるはずもありません。

洋の東西を問わず
感染症学者はお粗末?

こんなことは、あまり言いたくありませんが、『外気100%』で内気循環は一切ない、という情報をだれから入手したのでしょうか?

船主の会社に対する問い合わせ電話で回答した広報関係の人?

客船は100%外気使用が一般的という一般常識的知識?

少なくとも、実際に造船、艤装を行った三菱重工業等に問い合わせれば、正確な情報を得られたはずですし、天下の三菱重工ですから、英語が堪能な人も相当数在籍しているはずです。

にもかかわらず、このような研究価値を台無しにしてしまう基礎的情報の裏を取ることもしない、ということは、少なくとも科学者を名乗る資格はありません。

私ごときでも、自分が思っていた常識と現実が違っているかもしれない、という今回のような情報を得た場合には、いろいろな方法、経路で裏を取る、正確さを期するということを試みるわけですが、バーハム・アジミ氏以下の研究者は、そういった発想すら持たずに論文をまとめ、発表してしまった訳ですから、お粗末と言うしかありません。

洋の東西を問わず、感染症学や公衆衛生学の研究者はレベルが低い、と言われても反論できないのではないでしょうか?

また、感染症学、公衆衛生学という殻に閉じこもらずに、工学系、物理学系の研究者にも参加してもらわないと、医系の人達だけだと、とんでもない間違いを犯すことがあるということを肝に銘じておかないといけないでしょう。

さらには、基礎情報をないがしろにして、あるいはいい加減な、テキトーな基礎情報に基づいての、コンピュータを駆使した研究というものは、非常に危険な面もある、ということも十分に認識する必要があります。

実際は、とんでもない間違った結論であったとしても、多くの人に対し、100%正しい結論と誤解させてしまう危険性が非常に高いからです。

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