西式健康法

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柿の葉茶について

約8分

 西式健康法では柿の葉を原料とした「柿の葉茶」を、昭和20年代初期から推奨し続けています。

柿の葉茶の開発目的

 当初の学祖の研究、開発目的は、冬季期間に深刻なビタミンC不足に陥る可能性が高い、当時の寒冷地域居住者に対する手軽で安価なビタミンC補給法として考案したものでした。

 もちろん、東北地方や北海道地方であっても、裕福な方々はみかん等の柑橘類を購入して食べていたと思われますし、ビタミンC含有量は決して多いとは言えないものの、緑茶も相当飲用していたものと思われます。

 ですから、ある程度裕福な方々は、今日の基準からすれば十分とはいえないものの、それなりのビタミンCは摂取できていたものと考えられます。

 ところが、当時の寒冷地域のあまり裕福ではない方々にとっては、冬季のビタミンC欠乏は極めて深刻なものであったと考えられます。畑は雪に覆われて野菜類の栽培は不可能、ビニールハウスといった今日の農業資材も存在しませんでした。

 そういった地域に居住する方でも、ほとんど費用をかけずにビタミンCを摂取してもらう方法として、柿の葉茶作りを紹介し奨励していたのです。

 

 北海道では柿木の成育は困難なようですが、本州以南であれば、どんなに貧しい農家であっても、何本かの柿の木があることが多かったようで、一部の木からは実をとって干し柿に、一部は実はあきらめるけれでも葉を取って「柿の葉茶」にといったコンセプトであったようです。

 干し柿(干し方によっても異なるようです)には、ビタミンCが2~6mg/100g (以降mg%と表記)程度しか含まれていませんが、一切の手間隙を惜しまず最高の柿の葉茶を作ろう思えば、2,000mg%以上のものを作ることも不可能ではありません。

 もっとも、干し柿は丸ごと食べますから数値どおりの摂取量になると言えますが、干し柿1個当たりの重量(可食部)は30~35gとされていますから、3個食べて2~6mg摂取できるということになります。

 一方、柿の葉茶の場合には茶葉をそのまま食べるのではありませんから、湯に浸出させる場合の1回当たりの茶葉使用量は4~6g程度かと思われます。

 そういうわけで、単純にmg%数値で比較することはできません。

 それでも、それなりにビタミンCを多く含んでいるものであれば、例えば500mg%以上含んでいれば、1回当たりの抽出液中には2030mg 含有しているということになります。

合成ビタミンと天然由来ビタミン

 一部の柿の葉茶製造業者の中には、『天然ビタミンCは合成ビタミンCと比較して吸収効率が良い』から天然ビタミンCを摂取しましょう、といった趣旨の広告をしている会社もありますが、これはまったく事実と異なります。

 

 また、合成ビタミンCと言っても、トウモロコシでんぷん(コーンスターチ)等から酵素反応を利用して製造しますから、合成ではありますが天然植物由来の物質です。

 一部に、合成ビタミンCは石油を原料とした化学製品だから健康に良くない、毒物であるといったような都市伝説もあるようですが、言うまでもありませんがこれはまったく事実と異なります。

 ただ、合成品も自然由来品も分子構造はまったく同一ですから、いくら精密に分析、検査しところで、コーンスターチから酵素反応を利用して作った合成ものであるのか、レモン果汁から徹底的にその他物質を除去した結果抽出した、天然由来ビタミンCであるのかを見分けることはできません。

それでも天然ビタミンをお勧めする理由

 天然物中のビタミンCは、不純物に包まれて存在しているので簡単には吸収されないことが最大の特徴です。

 純粋体のビタミンCは分子数の比較的少ない物質ですから、水に溶けると極めて短時間のうちに、十二指腸を過ぎた小腸起始部付近で少量であれば容易に全量が吸収されてしまいます。

 

 ビタミンCの働きは、今日では抗酸化力も大いに期待されていますが、基本的にはコラーゲン(繊維状たんぱく質)生成に欠かせない補酵素です。

 コラーゲンは、毛細血管壁を含む多くの細胞を構成する体内の主流たんぱく質です。

 コラーゲン生成のためには、常に一定以上の濃度で血中にビタミンCが存在していることが望ましいと考えられるのですが、合成のビタミンCは前述の通り血中への吸収が良すぎて、腎臓を通過するたびに尿に混ざって排泄されてしまいます。

 一方、天然物に含まれるビタミンCは、周りの不純物が分解され、その他物質から分離して、吸収可能な状態である単体の、裸のビタミンCになってから徐々に吸収されていきますから、消化の過程に従って徐々に吸収されていきます。

 つまり、自然のタイムリリース効果があるというわけです。

 ところが、前述のように合成ビタミンCの摂取ではたくさん摂取しても、排泄も早いので血中に長時間留まっていることができません。

 

 だから、何千mgといったようにたくさん摂取して、吸収、排泄が早いことを補うのだろ?やはりたくさん摂ったほうが良いではないか、価格も安いものだし、とお考えになるかもしれませんが、良い面もあれば好ましくない面も出てくるのが世の常です。

消化管内pHにも気を使う必要がある

 確かに、大量摂取をした場合には、血中飽和濃度に達すると一時的にビタミンCの消化管から血中への吸収が停止します。

 

 消費されるか尿に混ざって排泄されて、血中に吸収する余裕ができると、また、血中へと吸収されます。

 何千mg といった桁外れの量を摂取すると、確かに血中濃度はほぼ飽和状態に保つことができるのですが、吸収待ちのビタミンCは消化管のなかで、強酸性を保ったまま小腸内を流れていくことになります。

 本来、小腸内容物は平均するとほぼ中性ということになっていますが、十二指腸から小腸前半部にかけて各々分泌される消化酵素等の至適pHは、各々の部位によって異なってきます。pHは下っていくに従って徐々に中性に近づいていくということです。

 胃の内容物と同じpH状態(pH 2.0)で幽門を出た消化内容物には、十二指腸で膵臓由来の消化酵素であるペプシン等が分泌、添加されますが、そのペプシンの至適pH2.0 であるとされています。

 また、小腸前半部(空腸)で分泌されるα-グルコシターゼはおよそ5.0前後とされています。

 つまり、消化管内の内容物のpHはかなり厳密に制御されているというわけで、ただ、血中濃度を高く保ちたいという理由だけで、消化管内に強酸性を呈する物質(この場合はビタミンC粉末)を無理やり、大量に入れることは、決して好ましいこととは言えません、どころか、明らかに有害です。

 本来であれば、そのような強酸性の飲食物を摂取しようとしても、味覚がそれを阻止してくれます。

 例えば、ジョッキいっぱいのレモン果汁(酸味の主役はクエン酸)を飲もうとしても、「とても酸っぱくて飲めない」ということになって、体に良くないことは未然に防いでくれているということです。

 それをオブラートで包んだり、カプセルに入れて、味覚という強い味方をだましてまで無理やり体内に入れようとすることが、トータルで健康に良いことであるとは考えにくい、どころかありえないことです。

柿の葉茶その他の効用

 ここまでご紹介してきたのは、天然ビタミンC摂取源としての柿の葉茶のご紹介ですが、最近、といっても20年前ほど前から、柿の葉に関するその他各種研究成果が発表されていますので、それをご紹介します。

 日本では「アストラガリン」というケンフェロール(フラボノイドの1種)の存在が一番有名であると思います。

 ケンフェロールを含む食品の摂取で、がん、心血管疾患といったいくつかの疾患の発生リスクの低減に正の相関が見られている、つまり明らかに有効という信頼性の高い研究報告があります。

 また、日本においてはサンスター㈱の研究所が、アストラガリンの抗アレルギー作用について、かなり信頼できるデータを公表しています。

 花粉症等のアレルギー反応を抑制する効果がある、という報告です。

 その他にも、中国や韓国の研究グループから同種の研究報告が相当数発表されています。これからご紹介する日本の学者グループの研究報告は、柿の葉、柿の葉茶(具体的にPersimon leaves tea と表現されています)中に含まれるポリフェノールには、α-アミラーゼ活性を抑制する明確な作用がある、とする報告です。

 この研究報告はもう10年近く前に、新潟薬科大学応用生命科学部の食品科学コース所属の研究者らによって発表されています。

 

 アルファ・アミラーゼとは、デンプンやグリコーゲンなど、グルコースを構成糖とする多糖類を加水分解する酵素の総称で、αβ、グルコという3種のアミラーゼのうちの一つです。

 例えば、桑の葉にはα-グルコシターゼ阻害酵素が含まれていることから、食後血糖値の上昇を防ぐ作用があることが知られていますが、柿の葉にも成分こそ異なるものの同じ作用のあることが証明されているということです。

 食後の過剰な血糖値上昇を防ぐためには、少食、少なくとも過食を避けるということが基本ですが、食後の一服のお茶を柿の葉茶に切り替えるということも、ひとつの選択肢と言えます。

柿の葉茶はなぜメジャーになれない?

 けっこう有力な研究データがあるのに、なぜ、それが大々的に製品化されていないのか?というと、原材料確保が困難であるからです。

 柿の実採取目的の栽培では農薬の使用が避けられませんが、柿の葉茶用としては使えません。

 専用圃場か休耕柿畑の柿の葉を使うしかないのですが、昨今ではメガソーラー事業に転用される休耕畑も多く、多量の原材料確保が非常に困難であること、また採取後手早い加工を要求されますから、思いのほか加工コストがかかってしまうということで、大手のメーカーは手が出せない、というのが実情です。

この記事を書いた人

株式会社 西式サービス西会 本部長西 万二郎
昭和27年(1952年)東京生まれ。東京工業大学工学部付属工業高校機械科を経て立教大学社会学部卒業。西式健康法創始者、西勝造の次男・西大助(西式健康法普及団体、西会第三会長、故人)次男として生まれ、在学中より西式健康法西会本部に勤務し西式健康法普及活動を開始。昭和52年業務部長、昭和63年本部長に就任。主な著書に『西式健康法入門』(平河出版社刊、共著)がある

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