西式健康法

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精白糖(白砂糖)と果糖 栄養09

約10分

精白糖(白砂糖)と果糖

 西式健康法では、公表後比較的初期のころから、『白砂糖』の有害性について言及しています。年齢によって、その摂取上限を守るように指導しておりました。

参考までに、まず、その許容量をご紹介しておきます。数値はすべて、体重1kg当たりの数値です。

生後6か月まで 0.1g
6か月~1歳 0.2g
1歳~10歳 0.3g
10歳~20歳 0.4g
20歳以上 0.5g

これだけだと、正確ではありますが、じゃあ自分は実際どのくらいが許容量か?という判断が困難ですから、一応、大体の目安をやはり数表でご紹介しておきます。

なお、1歳未満の乳幼児が、自分で摂取量の調整を行うことはないと思いますので、何かの事情で1歳未満の乳幼児にも精白糖を与える時には、計算して求めてください。

また、この一覧表に出てこない体重の方は、5㎏毎に1~10歳は1.5g、10~20歳は2g、成人の場合は5kg毎に2.5gずつ加算していただければ求められます。

(体重) 5kg 10kg 15kg 20kg 25kg 45kg
1歳~10歳 1.5 3 4.5 6 7.5  13.5
(体重) 30kg 35kg 40kg 45kg 50kg 75kg
10歳~20歳 12 14 16 18 20 30
(体重) 45kg 50kg 55kg 60kg 65kg 90kg
成人 22.5 25 27.5 30 32.5 45

なお、計量スプーン大匙すり切り1杯は約12g、小匙1杯は3gとのことです。

というわけで、各々の方の感覚より多いのか、少ないのか、人によってだいぶ異なるようです。

私としては、改めて計算しなおしてみると、結構、多いなという印象ですが、この数値を定めた時点では、糖類を多量に添加した加工食品であるとか、がぶ飲みするような清涼飲料水もほとんど普及しておりませんでしたから、そういった事情も含めて参考にしてください。

 白砂糖の害の本質は?

 甲田光雄先生のご著書に『白砂糖の害は恐ろしい』(人間医学社発行)という本があります。現在でも新刊書籍として入手可能です。
初版発行が1987年の書籍ですから、本日ご紹介する内容からすると、古典的な内容と言えば古典的なのですが、学祖西勝造先生をはじめ、多くの研究者が白砂糖、精白糖の問題について、経験的には有害性をもつことを充分に承知していながら、原因としての主役、決定打が見つからなかったということになろうかと思います。
まだ、YouTube でもご紹介していなかったと思うのですが、最近になって『果糖』の害を指摘する、示唆する内容の研究、発表が急速に増えてきました。

私が所蔵している書籍は『果糖中毒』という書籍で、日本語翻訳版の初版発行は2018年9月ですが、英語版の原著が発行されたのは、2012年となっています。

つまり、果糖の有害性については、米国ではほぼ10年ほど前に大々的に公表されたようなのですが、日本では、比較的最近になって、やっと医学系の情報誌、紙でも紹介されるようになってきたところです。

まず先に、結論から申し上げてしまえば、砂糖(蔗糖)そのもの自体が悪さをするのでなくて、砂糖を構成するブドウ糖、果糖のうち、実は『果糖』が悪役、どころか諸悪の元凶であった、といった見解です。

最近のまともな学術論文でも、生活習慣病のほぼすべて、また『がん』ですら、その発生に『果糖』が関与していると主張をしている学者もいます。

また、母体の果糖過剰摂取によって、乳汁から果糖が漏出するという報告もあり、やはり母親が食事に気を付けないと、乳幼児にも重大な影響を与える可能性(例えば肥満児の増加)を示唆するような研究報告もあります。

糖類について

ご存じの方々には、必要のない余計な情報ですが、糖類には単糖類、二糖類、

多糖類(3糖以上はすべて)の3種類に分類しています。

数え方としては、糖としてそれ以上分離、分解できない状態のものが『単糖』であり、二つの糖が結合した状態のものが『2糖』です。

三つ以上の糖が結合した糖類は『多糖類』と呼ばれます。ですから、ブドウ糖がたくさん連なってできている『デンプン』も多糖類に含まれます。

そのままの状態では、全く甘味を感じさせない糖類もたくさん存在するということです。

単糖というのは、我々にとって関係が深いものとしては『ブドウ糖』、『果糖』があります。関係が深いという意味は、ここでは「甘味を感じる」という意味で使っています。

同じく甘味として認識できる糖類には、2糖類の『蔗糖=砂糖』、『乳糖』、『麦芽糖』などがあります。

蔗糖(砂糖)とは、前述のとおり、ブドウ糖と果糖が結合したものであり、乳糖はブドウ糖とガラクトース、麦芽糖は2個のブドウ糖がちょっと特殊な結合をした状態のものです。

なお、乳糖は小腸でガラクトースとブドウ糖に分解されますが、両者とも小腸で吸収された後、門脈を経由して全量が肝臓に運ばれます。
その後『ブドウ糖』はそのまま血中を流れエネルギー源として使用されますが、『ガラクトース』は酵素による3段階の物質変化を経て、肝臓に貯蔵可能なグリコーゲンとして、とりあえず肝臓に貯蔵されます。
グリコーゲンは肝臓にいったん貯蔵された後、必要に応じて順次ブドウ糖に変換されてエネルギー源として供給されることになります。

昼夜を問わず、旺盛な細胞分裂を続ける乳児が、四六時中母乳を飲んでいなくても成長のためのエネルギー不足に陥らなくて済むのは、乳糖の実質半分を占める『ガラクトース』のお陰であるのかもしれません。

以前にも申し上げたことがあるかと思いますが、乳糖はヒトが感じる甘味としては1/6でしかありません。
ですから、ある程度成長した個体が飢餓状態に陥ったとしても、乳児から母乳を奪い取って種を絶えさせることのないよう、そういったことまで調整されているということも驚きと言うしかありません。

100年前の科学者に、成分分析をせずに人口母乳を開発させたとしたら、たぶん、たくさん飲みたがるよう甘味を強くして、グラム当たりカロリーの高い糖類を採用するに違いありませんが、何百年も前から進化の神様は我々の知恵のはるか上にあり、人類は未だに半分の水準にも達していないでしょう。
基本的に、わずか100年程度にすぎない近代科学より、数千万年の経験、歴史の結果である、『本能』や進化の結果備えるに至った『能力』をもっと信じるべきであると思います。

アガベシロップ(イヌリン)

ちょっと、話は逸れてしまいますが、そういうことが解ってきますと、最近健康に良いと称して健康食品分野でもてはやされている、アガベシロップが引っかかってきます。

もともと、アガベシロップの原料である『リュウゼツラン』の葉肉に多量に含まれているのは、本来哺乳類は消化吸収能力を持たない『イヌリン』です。

ヒトが消化吸収できない構造の糖類に酵素分解加工を施して、果糖の重合体であるイヌリン(多糖類=ブドウ糖におけるデンプンに相当)の分子結合を解いてやり、単糖状態の『果糖』含有率が異常に高い状態のシロップがアガベシロップです。
実際は果物であっても、その甘味の正体の多くは、蔗糖、ブドウ糖、果糖の混合体であり、アガベシロップほど果糖含有率が異常に高い甘味料は自然界には全く存在しません。

その加工を施した結果、甘味もあるし、なにぶんブドウ糖がほとんど含まれていませんから、絶対に血糖値を上げることがない、今日の国民病ともいえる『糖尿病』の人でも安心して摂ることができる『理想的な天然甘味料』と称して、良く売れているのだそうです。

確かに大元の原材料としては天然植物ではありますが、そういう観点からそのような表現が許されるのであれば、「ブドウ糖・果糖・液糖」も天然甘味料だし、白砂糖も完璧な天然甘味料です。

今日ご紹介させていただいている学説にそれなりに納得できる点がある、とお考えなら『アガベシロップ』こそ、史上最悪の合成甘味料ということになります。

十分な甘未を感じるほど使用した場合には、悪名高い一部の清涼飲料水に大量に使用されている、『果糖・ブドウ糖液糖を』をはるかに上回る有害合成甘味料ということになります。

一昔前には、糖尿病患者でも『果糖』ならいくら摂っても良い、なぜなら血糖値を上げることはないからだ、と言われていたものですが、今日ではそんなことう言う内科医は、糖尿病専門医でなくても一人もいないと思われます。

理由は解らなかったけれども、果糖多量摂取の予後はもっと良くないということが経験的に知られるようになってきたからであろうと思われます。

武田春江先生

 もう2年前に亡くなられた武田春江先生の指導を何らかの形で受けたことのある方なら、ご存じかと思いますが、武田先生は純粋ブドウ糖をいろいろな形で使用されていました。

もちろん、西勝造先生からは「白砂糖はダメ」という話を散々聞かされてきたはずですので、基本的に白砂糖は、少なくとも自宅ではほとんど使用しない(来客用のコーヒー等に添えるスティックシュガー等を除く)で、いろいろなところに純粋ブドウ糖を使用しておられました。
私にも500g 入りのブドウ糖を何袋かくださったことがあります。

以前、その理由を聞いてみたことがあるのですが、親しい医師(後に国立大学医学部教授)に聞いてみたところ、「ブドウ糖はすべての生物の基本エネルギー源であり、病人に点滴する薬剤もカロリー源としては純粋ブドウ糖のみを使っている」、という説明を受け、エネルギー源として人に対して悪いものであるはずがないと思い、砂糖の代わりに使うようにした、とのことでした。

理論的あるいは疫学調査等によって得た結論ではありませんし、むしろ直感に近い感覚ですが、この考えは基本的にはその通りであった、ということになりそうな情勢になってきたというわけです。

既にご紹介しましたように、哺乳類の乳の糖類である乳糖も、主たるエネルギー源としては『ブドウ糖』であり、それこそ、新生児から100才以上の方でも、本来ならば人体に、どころかあらゆる哺乳類に対して、まったく害をなすはずがない成分、物質であると言えます。

それでも、過剰になれば、血糖値が上がって糖尿病となり、細胞が大変なダメージを受けるということであったのですが、それが最近の研究で、その本当の原因を追究し、たどっていくと、結局『果糖』に行き着いたということなのです。

考えてみると、植物が種の繁栄のために、何とか果実を他の動物に食べてもらいたくて、甘未が一番強い『果糖』をその魅力の主力に利用したからといって言って、怨む筋合いのものではありません。

植物に弁護士がいれば次のように主張するでしょう。
私たちは、繁殖期後半のほんの短期間、甘い果実を提供しているだけであって、四六時中果実を提供しているわけではない。野性動物や鳥が、いくら柿の実を食べたとしてもそれはほんの一時期のことであって、それで果物が悪いとか言われても迷惑千万。といったところです。

人工、加工物には注意

 これ等の加工糖などの人工甘味料は、もともとは人が良かれと思って、あるいは経済性追求のためにおこなってきた過ちのひとつであると言えます。

人も、野菜でも果物でも旬のものだけをいただく、という大原則さえ守っていれば、ビタミンその他のミネラルの供給源としても、果物は大変優れた食品です。

ただ、単に『果糖』並びに果糖を含む2糖類を恐れるのではなく、自然のままに食べていれば、害をなすことはありません。

ただ、『身土不二』には私は必ずしも同意はしません。常々申し上げていることですが、基本的には「体に良い食べ物」という発想自体が人間優先の手前勝手な思い込みに過ぎないからです。

いかに体に害の少ない食品を選択するかということ、わざわざ腸内で異常発酵、悪玉細菌増殖をさせないようにし、人類の浅知恵が造り出した、偏った考え方(例えば、血糖値を上げない、といったような一方向だけからの発想)で創り出された、加工物には安直に、安いから、使い勝手が良いからといった理由だけで、気軽に手を出さないということが重要です。

この記事を書いた人

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