西式健康法

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宿便とは?

約5分

 健康関連の書籍や記事、もちろん西式健康法関連の書籍にも「宿便」という用語は頻繁に出てきます。

 特定の健康食品を食べ続ければ宿便は排泄されるとか、断食さえすれば解決する、断食までしなくても徹底的に少食を守れば宿便はなくなる、といったようなことが言われています。

 「宿便は万病の基」とされていますから、その宿便を排泄し、宿便問題を解決すれば,

万病から開放され、万々歳ということになるはずなのですが、一方で、宿便の正体、定義付けがまったくといって良いほどなされていないために、具体的な解決法を絞りきることができません。

 「宿便」が物質的な存在であり定義が定まっているのであれば、排泄されたか否か、解消されたのかどうかといったことは検査で確認できるはずですが、排泄された便を検査しても、内視鏡で除いたところで確認はできません。くどいようですが、定義が定まっていませんから確認しようがないのです。

 それでは、「宿便」などというものは存在しない、時代によっては多くの病気の原因は悪霊等の仕業と考えられていたのと同様、非科学的な発想による空想上の物質なのでしょうか?

 見方によってはYESとも言えますし、見方によってはNOということになります。

 「宿便」という用語を多用してきた西式の立場から、禅問答に持ち込んでうやむやにしようというような意図はまったくありませんので、具体的に説明してまいります。

便移植術

 「便移植術」という用語もずいぶんと知られるようになってきましたから、説明は必要ないのかもしれませんが、ご存じない方もいらっしゃるかと思いますから簡単に説明します。

 腸内細菌が直接関与している一部疾病に対して、その疾病の傾向がまったくない他人の糞便から抽出した腸内細菌溶液を、患者の大腸深部に注入(肛門からカテーテルを入れて)することによって病原腸内細菌の存在しない(あるいは圧倒的に少ない)腸内細菌叢に改善し、病気そのものを治すことを目的とした治療法です。

 カテーテルを大腸深部に挿入するという医療行為自体が、特殊な技術とある程度の危険を伴いますから、同じ溶液を凍結させた状態で溶腸型カプセルに入れ、経口摂取させる投与法も行われるようになってきました。

 もちろん、300500種、百~数百兆存在するとされる既存腸内細菌に対して、カテーテルで注入できる100cc程度の注腸液内の推定細菌数と思われる、最大でも数千億~数兆個程度を注入したところで、多勢に無勢で効果はまったく期待できません。

 そこで、注液する前に徹底的に腸内を洗浄する(浣腸、洗腸)と同時に、基本的には抗生剤を投与して既存細菌をできるだけ排除、殺菌し、先住腸内細菌の非常に少ない新天地を用意しておいから移植するという方法が基本的なやり方のようです。

 現在のところ、間違いなく確実な効果が確認されているのはクリストリヂウム・ディフィシル感染症(CDI)という、特定の細菌が大腸内で異常繁殖したことが原因となることが判明している疾病に対してだけですが、その他の臨床試験でも「潰瘍性大腸炎」に対してもよい結果が出ているということですし、なかにはガンも腸内細菌叢の良否によって発症するかしないかの別れ道が決まるといった主張をする学者も現れ始めました。

 ただ、特定細菌が原因となる特定疾患に対しては極めて有効では有るが、一方で、腸内細菌提供者(ドナー)の体質をも受け継いでしまう可能性が極めて高いということも臨床試験を進めていく過程で明らかになってきました。

 長年苦しめられ、抗生剤では解決しなかったCDIが劇的に改善、完治したのはありがたいのだが、今まで食事を気にしなくてもまったく太ることがなかった患者が、治療後急激に肥満してきた、という報告がありました。

 ガンの原因に腸内細菌叢の良し悪しが関係しているかはともかく、腸内細菌叢を他人と入れ替えたら当然起こりうる現象ではあります。

それを踏まえて「宿便」とは?

 こういった事実を踏まえますと、宿便とは特定の性状、性質、成分によって構成された特殊な便というわけではなく、結局のところ、好ましい腸内細菌叢であるのかどうか?ということに尽きるということになります。

 つまり、腸内細菌叢が悪い状態のとき、正確には腸内で細菌が産生したヒトにとっての有害物質が肝臓の解毒・分解能力を超えて産生された場合には、その有害物質は全身に悪影響を及ぼすことになりますし、肝機能が低下していても同じ現象は起こりうる、ということになります。

 つまり、「宿便」とは、特定の条件を満たした大便という「物質」そのもののことを言うのではなく、「宿便状態」とでも言うべき状態を表す用語であるということです。

 例えば便秘がちであれば、有害物発生量は当然ながら増加します。夏場に冷蔵庫に入れず、出しっ放しにしていた食材は、半日経過した時点より、2日、3日と経過したほうがより腐敗が進んで、多くの細菌が繁殖することは疑いの余地はありません。

 また、ヒトにとってより有害な産生物を産生する菌群は、ウェルシュ菌で同じみですが、やはり動物性のたんぱく質を好むものが多いようです。

 便秘しないように食材に留意し、仮に穀類、菜食、少食を徹底したとしても、肝機能が色々な原因(もちろん過度の飲酒も含まれます)で低下してしまえば、有害物は全身に流れ出してしまいます。

 宿便状態に陥る要素は、便秘、食事内容、肝機能の強弱、この三要素が関与して肝臓で分解し切れなかった有害産生物が全身を巡ってしまう状態ということです。

 宿便が物質的な存在であり、特定できるならばこんな簡単な話はありません。大腸内視鏡検査のときに、ポリープと同じように取り出してもらえばすべて解決、ということになります。

 「宿便」とは、例えば残留した「胎便」でもなければ、腸壁にこびりついた「古便」でもありません。

 各自が長年の食生活の中で育ててきた「腸内細菌叢」であり、肝臓に負担をかけてきた結果が「宿便状態」であるということです。

 それらの解決法については、またいずれ別な機会に解説します。

この記事を書いた人

株式会社 西式サービス西会 本部長西 万二郎
昭和27年(1952年)東京生まれ。東京工業大学工学部付属工業高校機械科を経て立教大学社会学部卒業。西式健康法創始者、西勝造の次男・西大助(西式健康法普及団体、西会第三会長、故人)次男として生まれ、在学中より西式健康法西会本部に勤務し西式健康法普及活動を開始。昭和52年業務部長、昭和63年本部長に就任。主な著書に『西式健康法入門』(平河出版社刊、共著)がある

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