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 ワクチンと公衆衛生学的見地 考察16

約21分
 ワクチンと公衆衛生学的見地 考察16

ワクチン接種者がずいぶんと増加したものの、感染者の再増加は顕著となってきた今日この頃。今日は、オリンピック首都圏会場においては無観客と決定した翌日です。

「ワクチンと公衆衛生学的見地」

 以前にも、述べさせていただいたことですが、医学には公衆衛生という分野があります。疫病流行のメカニズムを研究したり、感染の拡大防止策(防疫)の研究、さらには、肥満や高血圧の放置などによる他疾病誘発のリスク等を統計的に研究し、その予防法等を研究、啓蒙する分野です。

一時は、医学を志す方々の中でも圧倒的不人気分野となっておりました。もちろん『公衆衛生学』は、医学部学生の学習科目(たぶん看護学部でも)としては必修科目なのですが、後進を養成するための公衆衛生学教室は多くの医学部で廃止されてしまったのだそうです。

その分野を専攻しようという学生がいなければ教室が成立しませんし、その専門分野の知識を生かす就職先としては、大学に残って教員を目指すか、厚生労働省や都道府県の医系技官(保健所長等)くらいしかありませんし、「今更、疫病?」という感じで、圧倒的な不人気分野だったというわけです。

ところが、最近では、テレビに出演する医師、医学者のほとんどは、感染症学、公衆衛生学分野(両社はオーバーラップする部分も多い)の方々ばかりといった感じで、野口英世、パスツール、コッホらが活躍した、19世紀半ば~後半といった様相を呈しています。
医学者として名を成したいなら、感染症学やウイルス学、公衆衛生学ということになって、また人気が復活することになりそうです。

統計上のリスクは
あくまで公衆衛生学的見地

最近よく話題になるのは、ワクチンを接種した場合と接種しなかった場合のリスクを比較するなら、「打たないという選択肢はない」という論理です。

ワクチンによる明確かつ重篤な副反応はせいぜい百万人に1人程度とされていますが、一方、新型コロナウイルスに感染して死亡した人の数(2021年7月9日時点での日本国内)は、およそ1万5千人ですから、同じようにざっくりと表現すれば数万人に1人程度ということにはなります。

『百倍も違うなら、そりゃ打ったほうが絶対に良い』と思われる方もいらっしゃるかと思うのですが、そういった発想は大きなポイントを二つ見逃しています。

まず、感染率の問題です。同じ時点における日本の国内総感染者数は、81万人強となっていますから、実際には、人口比では0.65%に過ぎません。

地域によって、感染率には非常に大きなバラつきがあるということと、COVID-19に感染してしまった場合の死亡率は1.8%強ということで、インフルエンザの70歳以上で0.03%といった数字と比較すれば明らかに高いことは事実ですが、一方で、死亡リスクは感染者のみの問題で、感染さえしなければ無関係と言うこともできます。

参考までにご紹介しますと、インフルエンザ流行年の該当期間感染者数は1千2百万人程度。平年でも1千万人程度とされています。
これは検査を受けた確認数と思われますので、実際は倍以上かと思われます。

つまり、感染リスクが非常に低い方々にとっては、感染者実数も併せて考慮すれば、この死亡率は200倍程度薄めて考えることもできる、ということになります。

つまり、ほとんどの日本居住者にとって、新型コロナウイルス感染症による死亡リスクは0.01% 程度であると考えることもできるわけです。
もちろん同じ手法で大雑把な計算をすれば、インフルエンザによる死亡率も、70歳以上の罹患者だけということになりますが、1/10程度とすることができることになり、0.003% と考えることもできます。

最大のポイントは…

 次に考慮しなければならないのは(これこそが最大の問題なのですが)、ワクチン接種による副反応は、接種しなければ100%起こることはない、ということです。

特に、12週未満胎児が細胞分裂を非常に盛んに行い、新たなRNA指令によって本来とはまったく異なる細胞を作り出し、さらにそれらも細胞分裂を行わせていく中で、メッセンジャーRNA(mRNA=ファイザー社、モデルナ社製)を送り込み、胎児細胞にもウイルスもどきを造らせるとするならば、胎児にまったく影響が出ないとは、逆に非常に考えにくいことです。

こういうことを申し上げると、でも、産科婦人科学会や産科婦人科感染症学会で発表した『胎児に対する、副反応に関する報告は一切ないし、エビデンスもない』、というフレーズが思い出されるかもしれませんが、次のことを考えてみてください。

「覚せい剤を何らかの方法で大量摂取させて死亡させた」という具体的かつ物的証拠も有力証言も一切ない、だからといって被疑者が絶対に殺してない、という証拠にもなりません。
推定無罪の大原則からすれば、逮捕は不当ではありますが、不当逮捕だからといってまったく殺人に関与していない、とも言えないということです。

報告がないということは、安全性が確認されたということではなくて、あくまで「いまのところ、そういう報告はない」ということだけであって、だれも、未来永劫の安全性を保証しているわけではない、ということです。

だからこそ、今までのワクチンは開発後相当期間に及ぶ安全確認試験をしてからでなくては正式承認されなかったわけです。
つまり、何があっても『自己責任』で、ということでもあります。

公衆衛生の立場としては

あくまで感染拡大阻止、抑止が最大の目的です。数字的に疫学統計的に比較すればどちらが良いデータを得られたか?ということであって、個人の健康や死亡は、はっきり言えば、無関係、無視するのが『公衆衛生の立場』である、ということを知っておいてください。

高いところから観れば良くやった、ベストだったという結果でも、その陰で実際に命を落としたり、何らかの後遺症を背負って生きることになった方々にとっては『不幸な結果』以外の何物でもありません。

戦争と同じです、結果的に、国家としては大勝利であっても、戦死者がゼロというわけにはいきません。
米国の『イラクの自由作戦』(イラク戦争)における祝勝パレードの陰には、悲嘆に暮れる戦死者約4500名(誤爆等を含む事故死がかなりの割合を占めている)の家族、友人が存在することを忘れてはいけないでしょう。

またまた余計な政治の話

 令和3年7月3日の毎日新聞に、安倍元総理が「反日的な人が五輪に強く反対」という見出しの記事が掲載されました。

安倍元総理からすれば、朝日新聞や毎日新聞そのものが『反日』であるとのことのようですから、バイアスがかかった記事?である可能性もありますので、その発言をしたとされる対談が掲載された月刊誌(月刊「Hanada」同年8月号)を購入して、実際に読んでみました。

と言いますのは、どうも天皇陛下も現状におけるオリンピック開催について『重大なご懸念』をお示しになっている、のではないかと推察されていますので、『安倍分類』によれば、天皇陛下も反日?という趣旨で発言しているのか、ということを確認したかったからです。

もちろん、陛下御自身からご発言があったなどという事実はまったくなく、表向きはあくまで『宮内庁長官の拝察』に過ぎない、という形で処理されています。
万が一にも、陛下が述べられたことであるどころか、想ってもいらっしゃらないことを勝手に宮内庁長官が発信したとなれば、長官は即座に罷免されなければなりません。時代によっては、死罪を申し渡されるようなことです。

即座に罷免しないのだとなれば、重臣も同じ考え、つまり、陛下の思ってもいらっしゃらないことを、勝手に陛下のお気持ちとして発言して世論操縦を計った、ということになり、首相ら主要閣僚も大逆罪の共同共謀正犯として全員死罪です。
にもかかわらず、誰も罷免もされず辞職もしないということは、陛下のお気持ちは長官の発言の通りであったからなのでしょう。それ以外の可能性は全くありません。

となると、安倍分類によるところの「天皇陛下は反日?」というのが事実であるのかどうか、安倍分類によるところの「反日」なる用語の定義を含めて、追求するしかありません。

反日の定義

 対談の中での具体的な表現について、原文のままご紹介します。なお、対談相手は、ジャーナリストの櫻井よしこ氏です。
櫻井よしこ氏の「(オリンピック開催反対を主張する人たちは)菅政権を引きずり下ろすために五輪を政治利用している、と言わざるを得ません」という発言を受けて、「極めて政治的な意図を感じますね。彼らは、日本でオリンピックが成功することに不快感を持っているのではないか。共産党に代表されるように、歴史認識などにおいても一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対しています。朝日新聞なども明確に反対を表明しました」と安倍元総理が発言した、というものです。

どうも、安倍元総理の言うところの『反日的』とは、戦前の日本による外国侵略(彼らは進出と表現するのかもしれませんが)に関する、例えば南京大虐殺であるとか、731部隊の問題であるとかを、詐話師の話を鵜呑みにして、かなり誇大に報道してしまった新聞社とか、それに同調する人たち、といった認識であるようです。

私も、南京大虐殺において一時信じられていた何十万人という犠牲者数は、かなり誇大であると考えています。実際に各種記録はそれを強く示しています。

731部隊が行ったとされている、非道な人体実験、森村誠一氏の取材した実話を基に執筆したとされる小説で紹介された、真空中で人体はどうなるかということを確認する人体実験の経過は、物理学的、生理学的にはあり得ない状態、変化が起きて死亡したことになっていたりと、明らかに虚偽の伝聞をベースにしています。

しかし、だからと言って、まったくそれに類するようなことはなかったのかと言えば、規模や内容は異なるものの存在していた、というのが事実でしょう。

いや、私はその時代に生きていたわけではありませんから、確実かと問われればそう断言はできなくなってしまうのですが、中国、日本だけでない史家の研究報告等からすれば、類する事件が、規模はどうであれ、実際に起こっていたであろうことは間違いない、と考えるしかありません。

南京大虐殺と言われる事件の実際の死者数は、一時言われた数十万人ではなく、その十分の一以下であろうと考えられていますし、ゲリラ活動等を行い捉えられ、銃殺刑、斬首刑に処される代わりに、毒ガス、細菌兵器の人体実験対象にされて殺害されたであろう人の数も、数人では済まないのであろう、と私は思います。

それに対して、そういった誇大報道(虚偽ではない)をしてしまった新聞社に対して、それは日本に対する裏切りであり、しかも自分を批判することが多いということが、旧共産圏国を利するものである、売国行為であるといったような発想は、これはもう、誇大妄想、被害妄想と言うしかありません。
まさか、ご自分こそが日本国そのものである、といったような不敬なお考えをお持ちとまでは、さすがに思いませんが…。

戦前の日本国の海外進出について

当時の世界情勢からして、日本のしてきたことはごく普通のこと、どこの強国でもやっていたことだ、というのは確かにその通りの事実ではありますが、だからと言って、今日の情勢からすれば、胸を張るようなことである訳がないし、被害を受けた人々から非難されれば謝罪するしかない歴史です。

スペインのインカ文明に対する大虐殺も、アメリカに於ける先住民に対する大量虐殺も、当時は世界的にもごく普通のことだった、ということでケリをつけてしまって良いのか?ということでもあります。もっとも、ヨーロッパ人は百年以上の昔であるからなのか、謝罪などはしていないようです。

こういった誇大報道、誤報に対する安倍元首相のような姿勢は、「覗いたのは確かだが、触ってない」とか、「冗談じゃない、俺は100万円も盗ってない、盗んだのは10万円だけだ」というような、開き直り的な主張に見えてしまうのは私だけでしょうか?
5人を殺害した殺人犯が、「冗談じゃない。俺が殺したのは2人だけだ」と強弁することに似ています。

ドイツのネオ・ナチと称されるグループは、ユダヤ人迫害は事実だが、ユダヤ人収容所等における大虐殺(ホロコースト)は、収容所の記録映像も含めてすべて米英の『でっち上げ』という主張があると聞きます。
ホロコーストによる総犠牲者数は最大600万人くらいとされ、少なく見ている研究者であっても200万人程度とされています。
「600万人も殺してはいない、実際は100万人にすぎない」という反論は、ネオ・ナチズム信奉者であっても、倫理的、論理的に成立しないという認識があるわけで、彼らの唯一のより所、正当化できる論理が『完全でっち上げ』説というわけです。

つまり、『反日』という分類、表現を使う人は、私の分類根拠に対する推察が正しいのだとすれば、ネオ・ナチ信奉者よりタチの悪い連中、ということになりはしないでしょうか?

過去の過ちを反省するより、それ自体が嘘だ、むしろこっちの方が被害者だといった安易な開き直りの論理、主張です。

安倍元首相がどういった基準で朝日新聞などを非難しているのか判りません。あの方はすべての問題においてそうですが、きちんと説明しようとしないクセ?があります。
南京大虐殺デッチ上げ説であるのか、私と同じ誇大報道説なのか、それを言っていただければ、的確な評価もできますが、主張そのものが不明ですから、論評不能な面が多いのです。

さらには、中国大陸に出兵し、満州国を創建し、中国大陸の植民地化を図ろうとしたことは悪いことであったと考えているのか、当時の大日本帝国の主張と同じで、欧米列強の植民地政策によって虐げられている、アジアの人々を救済するための、世界に胸を張るべき解放戦争としての進出であったと考えているのか、それをはっきりと示していただかないと、判断のしようがないということです。

「丁寧に説明する」というのが口癖でありながら、けっして深く踏み込むことはなく、中身の薄いことを何十回でも(嘘も含めて)、ただただ同じセリフを繰り返すだけですから、やがて日本語の「丁寧」の意味も変ってしまうのではないかと懸念されます。

レッテル貼り

批判的なことばかり述べてきましたが、本質はそこではありません。「レッテル貼り」思考の恐ろしさを懸念しているのです。

安倍元総理の論理では、『反日』というレッテルを貼れば、詳細説明は不要であり、誰もが納得してくれる、悪い奴と信じてくれるというように思い込んでいるようです。
「アカ」、「ユダヤ人」、「共産党」、「部落民」これらの用語は、国、時代、地方によっては説明不要な分類法です。実質的には差別用語としても常用されてきました。
なぜ、あの人はこんな仕打ちをされるのですか?と問うた際に、彼は共産党員だから、ユダヤ人だから、部落の出身だから、と言えば「ああそうだったんですね」、という具合に納得してもらえました。

これが『レッテル貼り』です。

安倍元総理にとっては、『反日』というレッテルさえ貼れば、具体的を説明することなしに『問答無用の悪』として、丁寧に説明したつもりになるのでしょう。

そのような論理が通用するのは、日本国民のほんのごく一部(今のところは…)だと思うのですが、彼の頭の中では、自分に逆らう人、批判する人、自民党の方針に反対する人はすべて『反日』であり、それは戦前、戦中で言えば『非国民』(国家総動員体制における非協力的人物)に相当する、説明不要な『悪』であり、国家、社会の敵(パブリックエネミー=Public Enemy)という認識のようなのです。

トランプ大統領も、おかしな思想を持っていたのか、変な噂を信じていたのか、随分と批判されてきましたが、安倍元総理はそれをはるかに上回るところがあります。
何が上回るのか、具体的に記述すると、何年後かに反日法違反容疑とかで逮捕され兼ねませんから、具体的な記述は避けますが、このようなレベルの人物を、通算9年間も総理大臣として国のトップに君臨させていたことを、私はとても恥ずかしく思います。

対談相手の櫻井よしこ氏も、ジャーナリストという肩書を使うなら「総理の言う(文中で櫻井氏は安倍議員のことを「総理」と呼んでいる)、『反日』の定義についてもう少し詳しくお話いただけませんか?」くらいのことは、聞け‼と言いたいです。

安倍、櫻井両氏とも、レッテル貼りを積極的に推進したい、ということなのでしょう。右寄り月刊誌の対談だと、安心して本性を素直にさらけ出してしまう、その単純さが怖い、そういった論理で多くの人を納得させることができるという、国民をなめ切った姿勢に腹が立つ、というのが正直な感想です。

核心部分の論理的矛盾を指摘されても、追い込まれても、自己の論理矛盾に気づかない、鈍感な人ほど、批判に強く、また恐ろしい人はいないのではないかと思います。

もっと恐ろしいこと!
 台湾有事は存立危機事態?

実は、これから述べさていただくことの方が、もっと重大なことでありながら、大手マスコミではあまり取り上げられませんし、ニュースワイドショウなどは、相変わらずワクチンの普及やオリンピックのことばかりで、全く触れていないのではないでしょうか。

それは、麻生副総理の講演会における発言です。令和3年7月6日に都内で開催された会合においての講演者としての発言です。政治家の資金パーティーか何かのようですが、新聞記事ではどの社も、誰のパーティーかということは報道していないように思われます。

「台湾で騒動になり、アメリカ軍が来る前に中国が入ってきて、あっという間に鎮圧して“中国の内政問題だ”と言われたら世界はどう対応するのか」と述べ、さらには、「台湾で大きな問題が起こると、間違いなく『存立危機事態』に関係してくると言っても全くおかしくない。日米で一緒に台湾を防衛しなければならない」(記事はNHKインターネットニュース)と述べたとのことです。

これが、もともと右寄りと称されるような、単なる一国会議員の発言ということになれば、たいして問題にもされないでしょうが、何と言っても圧倒的多数を占める与党の副総裁であり、公式に副総理(総理大臣が職務遂行不能に陥った場合、総理の職務権限を全権移譲される内閣総理大臣臨時代理を務める第1順位の国務大臣)に指名されている大臣の発言となるとそうはいきません。

中には私的な講演会での「私的な集まりにおける個人としての感想だから、何が問題だ。
別に問題にする必要もない」といったようなバカなことを言う輩もいるのかもしれませんが、そうはいきません。

米国で言えば副大統領の発言であって、実質上の国家としての意思である、と受け取られても何の矛盾もないポジションに就任中の政治家の発言です。

この裏返しに当たるような発言を、中国の王副主席なり、王外相が、いくら私的な会合といえども、「台湾海峡に日本の軍艦が出没し、中国領土内で軍事行動を起こす気配を見せれば、我々は沖縄を占領して米軍基地の機能を停止させることもないとは言えない」といったような発言があったことを知ったとしたら、どう感じるでしょうか?

人によっては、実質的な宣戦布告に等しい、と恐怖を感じるでしょう。もともと、“いつかやってやるぞ”といった想いを持った人々にすれば絶好の機会、口実ができたと考えるでしょう。
うかつにも、ただ頭の悪さが出て、いつもの軽口を発したのなら、即刻罷免されるべきですし、それもしないとなれば、明確な日本国としての意思である、と受け取られてしまいます。

ここ十数年の自民党政権が、上皇陛下、天皇陛下にいろいろとご心配をおかけしているようであることが、十分に理解できます。

存立危機事態とは?

 あまりマスコミが取り上げないので、よく理解していない人の方が多いのではないかと思うのですが、存立危機事態とは法律(正式名称は長いので省略)によって、『我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによって我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態をいう』
と規定されています。

もともと、1971年(昭和46年)に一つの中国を認めてしまい、台湾(当時の中華民国)を国連メンバーから外すことに同意し、北京政府を唯一の中国を代表する政府であると承認した時点から、台湾問題は中国の内政問題であると認めてしまっているようなものなのですが。

フレーズごとに順に解説していきます。

 

①台湾が我が国と密接な関係にある他国かどうか?
※多少の異論はあるかもしれませんが、地政学的にも経済的にもこれには該当すると思います。

②中国の台湾に対する軍事干渉(武力攻撃が発生するかは不明)によって、我が国の存立が脅かされるか?
※これは完全に成立しません。仮に武力攻撃がなされたとしても、存立が脅かされる(独立国としての体制を維持で
きなくなり、いずれかの国家の支配下、従属下に入ることと解釈すべき。=終戦後の米国施政下のような状態)、
とはとても言えません。

③中国の台湾に対する軍事干渉(武力衝突が発生するかは不明)によって、我が国の存立が脅かされ、さらに、“国民の
生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険”が生じるか?
※だれが考えても、ほとんどの日本国民はそうは思わないでしょう。非常に好ましくないことであるし、それによっ
ていろいろと困った問題は生じるでしょうが、だからと言って日本が中国の支配下に組み込まれてしまう訳ではな
いでしょう、というのが常識的な考えです。

法律的には、いかようにひねくり回しても、『日米で一緒に台湾を防衛しなければならない』という解釈に至る訳がないのですが、観測気球を上げてみようと、いうことになったのでしょう。

なお、この法律は憲法解釈によって認めた『専守防衛』の概念を際限なく拡張し、外国への出兵、戦争行為(集団的自衛権)を認める、はっきり言えば憲法違反の法律群です。
これらの法律が憲法より優先されるということになれば、米国(領土だけでなく、グアムや艦艇なども含まれる)が中国から攻撃を受けた場合には、日米安全保障条約によって、自衛隊は米国に馳せ参じて(といっても、米本土ではなくグアム、ハワイといった地域にはなるでしょうが)軍事的に米国を防衛することになります。
もちろん、そうすべきだということも含んで、相互安全保障条約を締結しているなら、それはある面当然な考えではありますから、どの道を選ぶのかは日本国民の選択肢ではあります。やみくもに、ヒステリックな反応をすることでもありません。

ただし、その前に憲法第9条第2項で規定している『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。 国の交戦権は、これを認めない』という、条文があります。
もちろん、この第2項が現実的ではないことは、ほぼ日本国民全員が承知していることでしょう。

しかしながら、もし、我が国の自衛隊の兵力(この用語を用いても建前上は叱られてしまうのでしょうが)が『戦力』には当たらない、という解釈であるなら、世界中で戦力を有する国家は7~8カ国しか存在しないことになります。

世界国連加盟国200国以上の中で、戦力を有する国などほとんどないのに、『世界に誇る平和憲法』などという歯の浮くような、実態を完全に無視した美辞麗句で、子供をだまし続けているような国は、世界から利用されることはあっても、信頼されるようなことは全くないでしょう。私は非常に恥ずかしいと思っています。

北朝鮮が、『南北統一』という国家目標を取り下げ、あくまで米帝国主義者の侵略を防衛するための国防軍である、その国家防衛のためには、状況によっては、米国本土に対するICBM攻撃も辞さない、といった場合には、北朝鮮も『日本と同じ平和主義国家』ということになるのでしょうか?

前出のこれら日本の関係法令では、まさに、こういった法体系であって、その中には『武力攻撃予想事態』という規定すらあります。

 武力攻撃には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予想されるに至った事態。

と規定されています。
つまり、ケンカしたくなったら、相手をにらみつけて、相手がにらみ返して来たら、いきなり殴りつける、という行為が、自衛権として成立するという法律体系に、すでになってしまっている、というのが現実だということです。

くどいようですが、麻生副総理の愚かさによるうっかり発言なのか、意図的な発言であるのかは不明で、ある面、麻生議員の副総理というポジションは、総裁選で麻生派の支持を得るための報酬、という以上の高等戦術であるのかもしれません。

なお、この件についていろいろと調べておりましたら、麻生副総理だけでなく岸防衛大臣も、その1週間くらい前に同様主旨の発言を米国通信社のインタビューで答えていたことが判りました。

防衛大臣と副総理大臣が言ってしまったのですから、これは明確な国家の意思とみなされるのは確実で、日本は中華人民共和国に対して、台湾に手を出したら(正確には軍事侵攻)日本は貴国に対して宣戦を布告しますと言ってしまったも同然です。

これらの事実は、主要閣僚2名が明らかな憲法違反となる発言をしたという国内問題にはとどまらず、中国が台湾に軍事侵攻(いきなりミサイルを撃ち込んだり、爆撃するとは限らず、粛々と人民解放軍が同意なく上陸を開始するといった事態もあり得る)した際には、台湾が反撃しても、しなくても、日本は米国と協力して中国に対して軍事攻撃を行う、という宣言をしてしまったことになります。
そうなりますと、中国が台湾軍事侵攻を開始する際には、中国側も当然、岸、麻生両大臣が考えるように、常識的な国防上の戦略によって、同時に沖縄や佐世保、岩国等の基地に対する攻撃を実施することになります。横田や横須賀も攻撃対象となるでしょう。

北朝鮮にとって、現時点では南進実行をするとき以外には、日本に対して核ミサイル攻撃等を行う動機もメリットもまったくありませんが、中国にとっては、それらは至極当然、必然的な戦略となります。

台湾を攻撃したら(くどいようですが、爆撃、砲撃を伴うかどうかは問わずに)、軍事攻撃に踏み切るぞと、日本国から通告されてしまっているわけですから、それら日本の軍事施設も、事前もしくは少なくとも同時に叩いておかないと、中国軍も甚大な損害を被る可能性が出てきます。

中国からすれば、台湾問題は内政問題という立場ですから、そういった一連の、日本や米国基地に対する攻撃も、まさに“専守防衛”、当然の国防戦略の一環という論理は成立することになります。

このような私の見解は、通常のごくごく常識的な軍事分析ですが、安倍元総理等からすると、反日的利敵、売国行為に分類されることになってしまうのでしょうか。

日本の取るべき立場

どんな形であっても、仮に最初に被害者、犠牲者を出すことになったとしても、現憲法が有効である限り、最低限“専守防衛”は厳守すべきです。
相手にやられる前に、攻撃する権利というのは、ヒトラーの東欧、ソ連侵攻の論理と何も変わりありません。最初に攻撃を仕掛けるようなことだけは断じて容認してはなりません。

現に、サダムフセインによる中東制覇のための大量破壊兵器備蓄というのも、完全にCIAのデッチ上げでしたが、それを口実に米国の先制攻撃が実施されました。

手をこまねいて、わざわざ犠牲を出すようなことは、日本国民、自衛隊員にとって意味のない犠牲を強いることだといった論旨で、防衛的先制攻撃なるものを容認することは、侵略国家の論理であって、憲法9条がありながら、それを容認するということは確実に閻魔様に地獄に送られる所業と言わざるを得ません。

多少の犠牲を払う覚悟を持ってこそ、『世界に誇る平和憲法』という言い分も多少の説得力が出てくるわけで、米国と同じような論理で他国に対する軍事攻撃を容認するなら、特定人種に対する過酷な弾圧、迫害は伴わない“ナチズム”と言われてしまいます。

なんでわざわざもめ事を起こそうとするのか理解できません、不思議でなりません。米国から尻を叩かれてやっているのか、いずれ尖閣諸島だけでなく、沖縄、九州まで中国に取られてしまうという、強迫観念、被害妄想の結果なのでしょうか?

最後に

かなり踏み込んだ内容となってしまいましたので、執筆から掲載までに、推敲にかなりの日数を要してしまいました。
私ごときが、このような内容で文書を発表する必要がなくなる日が来ることを待ち望んでいます。

 

この記事を書いた人

株式会社 西式サービス西会 本部長西 万二郎
昭和27年(1952年)東京生まれ。東京工業大学工学部付属工業高校機械科を経て立教大学社会学部卒業。西式健康法創始者、西勝造の次男・西大助(西式健康法普及団体、西会第三会長、故人)次男として生まれ、在学中より西式健康法西会本部に勤務し西式健康法普及活動を開始。昭和52年業務部長、昭和63年本部長に就任。主な著書に『西式健康法入門』(平河出版社刊、共著)がある

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