六大法則

1.平床寝台

 

平床(板)は、重力に対して、もっとも安定した平面であるため、これで休むと全身の筋肉が弛緩し、安静に休息をとることができます。また、直立したために脊柱の前後左右に生じた不整歪曲が、平面に就寝することによって体重で矯正されます。やわらかな布団やマットレスでは、沈んでしまって脊柱が一直線にならないため矯正することができません。

平床はその硬さによって皮ふと肝臓に刺激を与え、鈍化を防ぎます。また胸郭を広げるので肺臓によく、皮ふの表層にある静脈を鼓舞し、血液の帰路循環が活発になることで腎臓の機能もよくなり、昼間の活動によって生じた老廃物の処理効率があがります。

したがって唾眠時間は短縮され、朝の目ざめが爽快になります。

 

材料)

安価にすますには材木屋でシナベニヤ(180㎝×90㎝)を購入します。畳上で使用するならば厚さは9㎜以上、ベッド上では18㎜以上、厚い方が気持ち良いです。値段は張りますがおすすめは桐の一枚板。これは真冬でも冷たくなく快適です。畳上で2cm以上、ベッド上では3㎝以上の厚さが必要です。

家具を傷つけないように、板は角を落とし、面取りをしておきます。

 

方法)

堅くて平らな板の上に寝ます。掛けぶとんは寒さを感じない程度に薄くて軽いものにします。厚いふとんに憤れていた人は、だんだんに薄くしてゆきます。

 

コツ)

できる限り脱力します。軽く金魚運動をするのもよいでしょう。冬では板も暖まります。

痛さを感じる方は毛布をひいて使って構いません。だんだんと外すようにしていってください。

 

 

 

2.硬枕利用

 

人間の頚椎は、上に重たい頭部を載せているため、つねに圧迫を受け、不安定で故障しやすいものです。頚椎は七つの椎骨からできていますが、頭部の一番、基部の七番、中央の四番はとくに副脱臼を起こしやすいのです。そこで夜間就寝中にこの部分に張力をかけるような工夫が必要となります。

頚椎に異状があると、耳、目、鼻、のどや歯の病気、気管支の炎症などを招くことになります。硬枕はこれを予防するとともに、治療します。また、頚椎全体の矯正が行われるため、肩の凝りがなくなり、小脳や延髄も完全に機能するようになり、身体各部、とくに手足の神経の麻痺やしびれを防ぐことができます。 頭痛などにも効果があります。

 

方法)

枕は木や陶器のような硬い枕で、半円形のカマボコ型のものを使います。この上に、頚椎第三、第四(首の柔らかい部分)が当たるように心がけます。後頭の骨の硬い部分は当てないようにします。

 

コツ)

枕の大きさは、使用者の顔が水平になるものが最適です。誰かに見てもらって判断します。顔の傾きが微妙な時は小さめの枕を選んだ方が気持ちいいです。痛みを感ずる人はタオルなどを当てて、慣れたらとります。

微妙な高さ調整は、枕の下に雑誌等を置いてします。ページを破いていけば、無段階に調整できます。

 

 

 

3.金魚運動

 

平枕で脊椎の前後の副脱臼を治し、硬枕によって頚部のゆがみを矯正し、そしてこの金魚運動では脊椎の左右の副脱臼を矯正することができ、脊髄神経、交感、副交感神経の機能が調整されます。また腹部臓器、特に腸を生理的に正しい位置にもどし、腸管の内容を均等にし、腸閉塞、捻転、癒着などを防止し、腸本来の機能を生理的に促進します。腹痛のときには速効的な効果があります。

 

方法)

仰向けになって、からだをなるべく一直線に伸ばし、足先を揃えてひざの方へ直角以上に反らし、両方の足の裏が一平面の上にあるようにします。両手を組んで、首の後ろの真ん中辺に当て、両膝で調子をとって魚の泳ぐまねを細かく素早く行います。朝夕1~2分間行ってください。

 

コツ)

金魚運動の目的は二つあります。

お腹のためにするのであれば、どんなフォームでもゆすっていれば腸に効きます。

背骨のためにするには正しいフォームが必要になります。背骨で一番固まっているのは肩甲骨の間あたりです。その辺が動いている感覚がくるように行います。

 

 

 

4.毛管運動

 

西式健康法は、古今東西の医学や科学を基礎として創案されたものですが、そのなかで唯一、血液循環理論に関しては、まったく独自の見解を持っています。それは、血液循環の原動力が心臓であるという従来の常識を排して、血液循環の原動力が動脈と静脈を結ぶ毛細血管にあるとしている点です。

人体にある51億本もの毛細血管のうち、半分以上の38億本が四肢に分布しているといわれます。手足を上げ、振動させることによって四肢の静脈弁が整生され、静脈血の還流を促し、リンパ液の移動ならびにその新陳代謝を活発にします。疲労回復に卓効があり、各種疾病の予防回復に役だちます。

手や足のけが、やけど、とげぬき、虫さされ、なんでも手足の異常に卓効があります。

ちなみに、お腹の異常は金魚運動、顔、頭の異常は背腹運動です。

 

 

方法)

平床上で硬枕も使用。あおむけに寝て、手足をなるべく垂直にあげます。手指は軽く離して伸ばし、足の裏はできるだけ水平にし、この状態で朝夕一回ずつ、手足を1-2分間微動させます。終わったら大の字になって5-10分間じっとしています。

 

コツ)

なるべく根元の方から振動させ、それが末端へと伝わるようにします。振幅は小さくて結構です。振幅は微小でよいので、とにかく振動数をできる限り増やしていくようにするのがコツです。

血液を戻すのは目的ですので、戻る感覚がくるように工夫します。戻ってからも、しばらく振ることで椀力、脚力が付きます。5分も振ってはやり過ぎになります。やり過ぎにご注意ください。

ケガ等の時は、たっていようが寝ていようが、とにかく患部のみでよいので心臓より高くして微振動させます。2分振って5-10分間下げて休ませることをくり返します。相当なケガでも血はすぐに止まってしまいます。振る際は血が飛び散らないように包帯を巻くとよいでしょう。指を切りあとした場合でも、すぐにくっつけて副え木をして振ればくっつくそうです。

 

 

 

 

5.合掌合蹠(がっしょうがっせき)

 

合掌合蹠は、身体左右、とくに四肢の筋肉、神経を平等に揃え、その調和を図る方法です。合掌を行うと、体液は酸塩基の平衡状態となり、爪廓(そうかく)と手のひらの毛細管蹄形の捻転を整え、その血液循環を完全にします。合蹠は骨盤底、腹部、上腿、下腿、足などの筋肉および神経の機能、血液循環などを調整します。

この運動により全身の、特に腰部、下肢の両側の筋肉や血管、神経が整合され、また骨盤内の腹部臓器の機能が鼓舞されます。妊娠中これを実行すれば、胎児の発育を良くし、異常体位を正常にもどすのに役だち、安産ができます。

 

方法)

準備運動

平床上にあおむきの姿勢、胸の上で両手の指先を互いにくっつけ、指をおしつけたりゆるめたりすること数回、ついで指先に力を入れ押し合ったまま、両前腕を長軸として手を回転すること数回、終わったら静かに合掌します。

 

本運動

次にそのままの姿勢で両脚のひざを曲げて蹠を合わせ、脚を前後に十回くらい動かします。

膝はできる限り開き、足裏は決して離さず密着したままでできる限り足を延ばします。

終わったら掌と蹠を合わせたまま、1分ないし10分くらい静止します。

 

コツ)

伸ばすときはゆっくりでも、戻すときは素早く行います。

 

 

6.背腹運動

 

交感神経と副交感神経の平衡状態を背中と腹部の運動を同時に行うことによって導きだす運動です。脊柱運動のみでは交感神経が刺激されて体液が酸性に傾き、腹部運動のみでは迷走神経が刺激されてアルカリ性に傾くので、両者同時に行なえば体液は中性になります。このとき自己暗示が効きやすい状態になるので、運動中はなるべく「良くなる、能くなる、善くなる」と声をだして自分に言い聞かせるように行ないます。

また、脊柱運動は脊柱をまっすぐにします。腹部の運動は腹部の運動を活発にするだけでなく、便秘を防ぎ、腸内に停滞していた宿便を排除することができます。

西式健康法の中で一番重要で基本的な運動ですが、10種類の準備運動と10分間の運動からなり、すぐに上手くできる運動ではありません。徐々にスキルアップしていきましょう。

 

 

方法)

準備運動

1 両肩を同時に、10回上下させる。

 

2 頭を右に10回傾ける。

 

3 頭を左に10回傾ける。

 

4 頭を前に10回傾ける。

 

5 顎を引いた状態で

頭を後ろに10回傾ける。

 

6 すばやく頭を右後ろに10回回す。

すばやく頭を左後ろに10回回す。

 

7 両手を水平に伸ばし、頭を左右に1回ずつ回す。

 

8 両腕を垂直に伸ばし、

頭を左右にゆっくり1回ずつ回す。

 

9 親指を深く包み込むように握り、

両腕を直角に曲げる。

 

10 9の状態で上腕を水平のまま後ろに引くと同時に、

顎を上に突き上げる。

 

コツ)

全て行うと1分以上かかります。2分はかかりません。

グ―――と充分に引っ張り、スッと戻すように行います。

 

 

 

本運動

脊柱と腹の運動を同時に行ないます。

正座して、図のようにひざをやや開いて座ります。尾骨を中心に頭の頂点までをなるべく一直線になるよう姿勢を正します。そのままの姿勢を維持して、一本の棒を揺するような感じで、左右に揺振運動を行います。このときに、腹部の運動を併せて行います。

腹部の運動は、からだを左右に傾けるごとに、下腹に軽く力を入れて押し出す運動ですが、腹式呼吸とは異なりますので、呼吸とは関係なく行います。からだが左右揺振の中央にきたときに、おなかを引っ込める(通常の状態に戻す)ようにします。背柱一往復につき、腹部運動は二回行います。

背腹運動の速さは、揺振運動一往復を一回として、一分間に50-55回として、これを10分間行います。つまり、総数500回が目安となるわけです。この速さで最初から行うのは難しいので、少しずつ身体を慣らせるように練習していきましょう。

 

コツ)

顔、頭の毛管運動にもなります。そのためにはやはり一分間に50-55回の速度が必要です。背骨のためにするにも、左右動きの変わり目で背骨がしなることによって強制されますので、やはり一分間に50-55回の速さが必要です。

最初はお腹の動きはうまくできなくとも、腰が痛くなろうが、とにかく一分間に50-55回の速度で行なうことです。そうしないと良いことが全くないので続きません。それから、腰が痛くならないように工夫し、お腹を動かしていくようにします。お腹の出し入れも、背骨の運動と同じに激しく行います。