西式健康法の六大法則

西式健康法の六大法則

人類は直立姿勢を基本姿勢としたために、祖先である脊椎動物が数億年の間梁(はり)として使用してきた脊椎を柱として使用することになりました。その脊椎を脊柱として使うという変則的な使い方をしても、それが障害とならないようにするため、実際には進化の過程の中で種々の適応がなされています。

しかし、その適応するための仕組みの多くは、人類が4~5万年前に最終進化を遂げ、その時代に想定された生活習慣、生活様式で行動した場合に発揮されるようになっています。しかし、文明の発達は、人類の生活習慣、生活様式を大きく変えてしまいました。ここ数百年の間穏やかな変化を続け、およそ百年ほど前からそのペースは徐々に上がり、特にこの数十年では劇的ともいえるほど変化してしまいました。

その結果、本来背骨にかかる垂直方向の力(重力)の影響に対しては十分に対処できるはずであったにもかかわらず、それは姿勢に大きな影響を与え、脊柱に対する負担が種々の故障を生じ、結果として原因が複雑で治りにくい、いろいろな病気に見舞われるようになってしまいました。

日常生活における時間的制約、体力的負担を最小限にとどめながら、体の構造と使用方法のズレを効率良く正し、本来の健康を確保するために考案されたのが西式健康法の六つの基本形「六大法則」です。

①平床寝台

直立生活によって生じがちな背骨のズレを硬い平面上に寝ることにより体重で矯正します。またその硬さによって皮膚と肝臓に刺激を与え、皮膚の近くの静脈を鼓舞し、血液のもどりを活発にすることで腎臓の機能もよくなります。

● 実行方法

厚さ10mm程度の板にシーツを敷いて、掛け布団は寒くない   程度にし、余り発汗しない状態にして寝ます。はじめは、敷き布団を2枚敷いていた人は1枚に、1枚の人は毛布を二つ折り程度にしたものを敷き布団代わりに、というように徐々に平床に慣れるようにしましょう。

● 注意事項

畳やフローリングなどの上にじかに就寝すると、体温を奪われて別の問題が生じます。必ず床面との間に何かを敷く必要があります。

②硬枕利用

人間の頚椎は重たい頭部を乗せているため常に大きな圧力がかかり、もっともズレが生じやすい部分です。七つの椎骨のうち、上の一番、基部の七番、中央の四番は特に副脱臼を起こしやすいのです。

頚椎に故障があると、耳鼻咽喉や歯の病気、気管支の炎症などを招くことになります。硬枕に休むことによってこの部分に張力をかけ、骨のズレを矯正し、これを予防、改善します。肩の凝りの解消にもおすすめです。

● 実行方法

半円形の木枕を首に当てて寝ます。使用する人の薬指の       長さを半径とするサイズのものを求めて、首の真ん中あたりを中心に丸みのほうをあてて就寝時に常用します。初心者は枕にタオルをのせたり、10分20分使用することから始めて、次第に就寝中使えるようになりましょう。

● 注意事項

枕の選び方はあくまで標準的なものです。個人差がありますから、実際に実物を頚部に当てて選ぶようお勧めします。

③金魚運動

四足動物はただ歩くだけで、自然に生じる背骨のうねり運動をさせています。この動きは、脊骨の1個1個を正しい配列に矯正する働きがあります。

ほとんど起伏のない平面上だけを歩く現代人は、日常の生活の中でこの運動が行われることはまったくといって良いほどありません。脊椎のゆがみを直し、脊椎神経、特に間隔の狭い胸椎(肋骨とつながった脊椎)への圧迫をのぞき椎骨の位置を整えます。同時に腹部も動きますから、腸の蠕動(ぜんどう)運動を補助することになり、便秘の解消、腹痛にも有効です。

● 実行方法

平らな床面に仰向けに寝て、全身の力を抜きます。次にからだを   一直線に伸ばし、足先がぶらぶらしないよう両足を揃え、つま先を膝のほうへ力を入れて反らします。首がぐらつかないように両手を組んで、包みこむように後頭部から首にかけて保持、固定します。

両肘で調子をとって、魚の泳ぐまねをして細かく、すばやく動かします。朝夕1~2分。

● 注意事項

両肘は床に付くくらいに水平に広げた姿勢をとって、その際には頭部を持ち上げ過ぎないように。頭部を支える手の甲は床と擦れない程度です。腰の接地部(腰骨下部、仙骨部)を左右にずらして動かす必要はありません。腹部だけが左右に揺れます。

④ 毛管運動

直立の生活をすることにより、重力の影響で心臓より下に位置する手足などの末梢では、血液やリンパ液の循環が阻害され易くなります。それは軽度のむくみというかたちで現れます。この運動をすることにより、末梢の循環の滞りを解消します。

● 実行方法

木枕の類を頚部に当て、仰向けに横になります。手足をなるべく垂直に上げ、手指は軽く離してのばし、足の裏は床面に対してできるだけ水平にします。この状態で手足全体に1分間程度微振動を与え、朝夕2回行ないます。

● 注意事項

かなりきつい運動ですから、連続で1分間微振動を与えるのが難しい人は、5~10秒微振動をさせたら足を壁にもたれかけさせて休むとか、椅子の座面に載せるとかして、休みながら行う方法を各自工夫してください。その際は、微振動を与えた時間が合計で1分以上となるよう時間を調整してください。なお、この運動は健康器を利用すると便利です。

⑤ 合掌合蹠法(がっしょうがっせき)

合蹠は、正しい姿勢の基本である骨盤の歪みを矯正します。更にふくらはぎの筋肉を最大限双方向に収縮、拡大させることにより、下半身の血流を非常に旺盛にし、各種婦人病を予防、改善します。

● 実行方法

平床などの上に仰向けに寝て、両手を胸の上で合掌させます。蹠とは足の裏のことですから足裏も同様にぴったりと合わせます。

膝を曲げて開き、足の裏を合わせたまま足を前後に縮めたり伸ばす往復運動を十数回行います。終わったらそのまま手足を合わせた姿勢で2~3分間安静にします。朝夕1回ずつ行ないます。

● 注意事項

足の裏全面が常にぴったりとくっついている状態を維持してください。脚を縮めるとき(引き付けるとき)は、お尻にかかとをぶつける気持ちで思いっきり。伸ばすときは縮めるときほどを入れる必要はありませんが、絶対に足先が離れることのないようにしてください。

⑥ 背腹運動(はいふくうんどう)

この運動は、現代人特有の固定的な姿勢での長時間の仕事や勉強などによって起こる、悪い姿勢が固定化することによって生じる諸問題を防止、改善します。この運動は西式健康法の基本とも言えるものです。

背の運動(左右揺振)は、す早く体を左右に振るきつい筋肉運動ですから、心拍数を上昇させ血圧を上げるなどの交感神経(自律神経)緊張状態をつくります。そのため、この状態を補正するために腹部の出し入れを同時に行なって、副交感神経も同時に緊張させて自律神経バランスが崩れないようにする必要があります。しかし、運動を続けることによって自律神経バランスも自然と整ってきますから、現代人に多い自律神経失調による諸症状には大変有効な運動です。

● 実行方法

揺振運動1往復を1回とし、1分間に50~55回のペースで

1回に500往復行ないます。脊柱を一本の棒のようにして左右に振ります。一本の棒のようにという意味は、腰椎、胸椎、頚椎のいずれの部分でも意図的に曲げてはいけないという意味です。

腹部の出し入れは、体が中央部にきたとき(体が垂直の状態)にお腹をぐっと引っ込めるというのが一般的ですが、とにかく腹部を出し入れして、その動きによって内部の腸が動かされれば同じ効果がありますから、適宜やりやすいように工夫してもかまいません。

● 注意事項

この運動には頚椎の運動としての準備運動があります。月刊誌上に掲載の説明等を参照してください。

難しい運動ですので、最初から無理に規定速度で行おうとせず、徐々に運動の速度を上げていくようにしましょう。また、正しいペースをつかむ指標としてはメトロノームを使うと便利です。