栄養について②

普通食について

 

以上は、生食について述べたのであるが、普通食についても若干の注意事項を述べる。米は玄米が理想であるが、炊くのが面倒だから、七分づきか半づき米がよく、白米のときは一日につき無砂の米ぬかを茶さじ一杯くらいとる必要がある。ぬかはふるいを通して、もみやごみを除かなければならない。小麦粉は精製したものよりは、フスマのはいったものがよろしい。粉食は便秘しやすいから、生野菜を同時にとる必要がある。ことわざにある「そば屋の亭主もの言はず」というのは、そば屋の亭主は平常そばを食べているので、宿便をため言語障害を起こし、口が重くなったことをいうのである。日本人は粉食というと、ウドンやパンを腹一杯食べるから、ふん詰まりとなり宿便停滞となるのである。これを防ぐには、常に生野菜をともに食べる必要がある。

麦飯や粟飯は、種々のミネラルを含むから、ときどき食べるのがよろしい。その他の雑穀も、それぞれ特殊の成分があるから、食べたほうがよろしい。オートミールなども、ビタミンEやマンガンを含んでいるから、食べなければならない。オートミールは、ハム・エッグとともに食べるものであるが、これはビタミンDをともにとることであるから、無理にハムでなくても、干物や煮干でよい。これは、麦角症を防ぐためである。

 

 

カルシウム、リン、およびマンガン

 

老衰を防ぐには、カルシウムを含む食品が必要であり、リンは頭脳を明晰にし思考力を養成し、マンガンは情愛の元素である。これらを豊富に含んでいる食品を表にして示す。

 

 

 

 

食物の種々の効用

 

頭脳をよくするには、ゴマメの頭を一日五匹分を粉末とし、ごま塩に混ぜて一日おきにとるとよろしい。一、ニカ月すると、数学的能力が著しく増す。老人はカルシウムがないと老衰する。魚粉の中にあるから、魚粉からとるのもよい。カルシウムがないと寒くなる。寒さしのぎには浅草のりがよい。一日半枚くらいでよい。バターは一日二匁(7.5グラム)くらいずつとると、二十一歳までは背丈がドンドン伸びる。人間が敏しょうになるには、グルタミン酸がよい。これは肉エキスの中に豊富に含まれている。

 

 

ビタミンの関係

 

ビタミンCが不足すると、皮下出血を起こし、壊血病となり、歯槽膿漏を起こし、これが万病に発展する。伝染病にかかるのも、ビタミンCの不足からである。風邪引きも、肺炎も、肺結核もこのためといえる。そこで、ビタミンCを’欠乏させない工夫が大切である。これには、足を痛めないこと。徴熱や発熱をしないこと、発汗しないこと、したがって薄着がよいということになる。それでも、人間生活はなにかにつけて、ビタミンCが不足がちとなるから、常にビタミンCを補給しなければならない。

ビタミンCが不足しているかどうかは、歯がグラグラしているかどうかで見分ける。グラついていなければビタミンCは不足していないのである。また歯ぐきから出血するのもビタミンCの不足である。

そこでつぎのような注意が必要となる。

 

(イ)柿の棄の煮汁からビタミンCをとること、煮汁は一日につき大人30グラム、小人20グラムでよろしい。

(ロ)米ぬかを-日大人6グラム、小人3グラムをとる。これはビタミンAおよびBの補給になる。

(ハ)ごま塩一日大人6グラム、小人3グラムをとり、食塩を補うと同時に、気質の明朗を計る。ただし二、三週間に一日塩ぬきを行なう。

(二)駆虫剤としてかぼちゃの葉の粉末大人6グラム、小人3グラムを月初五~十日連用、月の中頃に五~十日連用、これを三カ月続けて、三カ月休み、また三カ月続ける。

〈ホ)卵のからは、洗って粉末として、一個分を三、四日にときどきとると、カルシウムの補給になる。牡蛎がらを軽く焼いて粉砕したものでもよい。

 

落花生の渋皮にはビタミンPがあり、また駆虫剤となるから、ときどき粉砕してとるとよろしい。じゃがいもは、縦に割るとビタミンが逃げない。皮のほうを鍋につけて、蒸焼きにするとよい。目が飛び出して熱っぽいときはわかめや昆布を煮て飯に炊き込むとよい。これを一週間に一日くらい食べるとのどがよくなり、声のかれることがない。朝食をとる人は、色がドス黒く、シワガレ声となる。朝食廃止の二食主義は、胃腸を丈夫にし、神経痛ロイマチスにかからない。朝食は有害だから、やめなければならない。

 

 

その他調理上の注意

 

その他、食品の調理上注意することは、野菜は皮をむかず、ひげ根などは普通捨てるのであるが、これはミネラルを豊富に含んでいるから、すりつぶすか、細かく刻んで食するがよろしい。果物もなるべく皮のまま食べること、とくにみかんの皮にはビタミンCの他にPが豊富に含まれている。ビタミンPは、毛細血管に作用してその機能を活発にするから、色を白くし、皮ふ病などにかからなくなる。根菜類の皮も、その部分にビタミンやミネラルが含まれているから、皮のまま食べるとよい。サツマイモの皮もいっしょに食べると、胸やけを防ぎ皮ふ病を予防する。果物やおさつ、ジャガイモなどはカリウムを豊富に含んでいるから、ナトリウムとのバランスから食塩をつけて食べるのがよろしい。

魚なども、なるべく小魚で頭から尾まで食べられるものがよろしい。大きい魚は、肉ばかり食べるから、どうしてもミネラルが不足する。野菜にしても魚類にしても、また肉類でも、必要以上に高温調理をしないこと、煮すぎないことが必要である。とくに葉菜類は、サッと火が通った程度が、ビタミンも破壊されず、栄養価も損失しない。根菜類も、柔らかくなった程度にして、必要以上に長く煮ないのがよろしい。

肉類は自分で殺せる程度のものがよい。あまり大きな動物の肉を食べると、神経質になり、かつ皮ふの肌目が荒くなる。牛、馬、鯨などは、続けて食べると皮ふが荒れる。また、白魚のようなあまりに小さいものは、皮ふが柔らかに肌目が細くなりすぎる。魚は大体自分の親指と人差指とを伸ぼしたくらいの長さ、つまり十四、五センチのものが、頭から尾まで食べられるからよろしい。豚のようなものは大きすぎるが、ふとりたい人にはよろしく、鳥類はふとりたい人には不向きである。背丈を伸ばしたい人は、極力長いもの、野菜では長い大根、人参、ごぼう、ウド、ズイキなどがよく、カブとかカボチャなどを食ベていたのでは、背丈は伸びない。ヒョロ長い人は、カブやカボチャがよろしい。

子供は常に運動が激しいから、鶏肉とか魚肉などが多いと、酸過剰になり中耳炎や腺病質になりやすい。また白砂糖は極力与えないほうがよい。母乳がアルカリであるのは、赤ん坊が活動的であるためである。中耳炎や皮ふ病のできる子供は、動物たんぱく過剰のためであるから、そんな子供にはこれらを減らさなくてはならない。また腺病質でヒョロ長い体の持主は、白砂糖の過剰が多い。また、子供のときによく寝かせておくと背丈が伸びる。そこで、背が低い両親に子供が生まれたら、なるべく寝かせておくようにすると、背の高い子供ができる。あまり可愛がって、抱き歩くと背は伸びない。近眼や鼻の低いのは、歩かせない子供に多いことは、注意すべきである。

 

 

理想的な食事の摂取法

 

理想的なメニューは、主食は玄米飯か七分づき米飯とし、副食物と同量となるくらいがよい。おかずは野菜30%、肉類30%、海藻類30%、果物10%の配分とする。ただし住居や勤務先の地域、または建物の高さに応じて、高いところでは肉類を多く、低いところでは野菜類を多くとる方針にするとよろしい。なおできれば一品だけ三種類くらいの生野菜をすりつぶしたものをつけるとよい。

これらの食事法を理想的に行なうことは、なかなか困難であるから、三週間に一日くらいの程度で、総決算を行なう必要がある。その目的のためにつぎの方法がある。

 

(イ)断食日 この代用として寒天食でもよろしい。

(ロ)粥食日 三種類以上の野菜を米と等量に入れて食塩なしの粥食日。

(ハ)生食日 煮たり焼いたりしたものを食べない日である。

(ニ)無塩日 一日中塩をとらぬ日であって、これは生食目、粥食日と兼ねてよい。

(ホ)無糖日 一日中砂糖を食ベぬ日であって、これも粥食日や生食日と兼ねてやればよい。

(へ) ライスカレー日 十日に一度くらい、あまり辛くないライスカレーを昼食にとること。これはのど、食道などに対するからし療法であって、のどおよび食道を健全にする。

(ト)五日飯日 月に一回くらい、種々の色合の食品を入れた五目飯を食べる。

(チ)小豆飯日 月に二回、一日と十五日ころに小豆飯を食べ、ビタミンBの補給をすること。

 

白米を食べるときは、無砂の米ぬかを一日につき茶さじ一杯ずつをとってビタミンAおよびBの不足を補うとよい。

食料が、充分であるか、不足であるか、あるいは過剰であるかは、朝起きたときに、手を握ってみるとわかる。はれぼったければ、過食である。握力を調べてみて朝の握力が、昨晩寝たときの80%くらいならばよろしい。不足の場合は、だんだんやせていくからわかる。

 

 

感謝の食事

 

最後に、食事はどんなものでも、感謝の気持ちでいただく必要がある。滋養がどうのとか、栄養がどうのとかは全く考えず、空の心境で食べるのがよい。また古来いい伝えられている「腹八分目に医者入らず」という真理は、今でも間違いはなく、腹いっぱい食べることはよろしくない。

栄養は誠に人間の健康建設の要素であるが、どうしても過食に陥りやすい。極力少なく食べることに努力することが必要である。食わない楽しみを楽しめというが、真の健康を築き上げるには、この精進が大切である。これにはとりあえず朝食を廃止して、今まで朝100、昼100、タ100、一日計3OO食べておったものが、朝食を廃止してOとするから、一日2OOですむようにすることが手っ取り早い方法である。朝食廃止については、別に章を設けて述べることにしよう。