代表ブログ034 – 新型コロナウィルス流行予防に インフルエンザワクチン?

新型コロナウィルス流行予防に インフルエンザワクチン?

これは、テレビ朝日の朝のニュースワイドショー(という分類でしょうか?)『羽鳥慎一のモーニングショー』で展開されていた主張です。

番組を視ていなかった方には、何のことかお解りにならないでしょうから、番組の内容をかいつまんでご紹介します。

コロナウィルスの感染拡大は、一応抑え込めているようだが、気温が低下し、湿度も下がってくる、今年の秋から冬に掛けて第2波の流行が起こるであろう。
そのためには、インフルエンザワクチンの摂取が非常に重要であり、鍵を握っている、という主張でした。

この主張を展開していたのは、3月以降すっかり有名人となった、白鴎大学岡田晴恵教授とテレビ朝日報道局所属の社員コメンテーター玉川徹氏です。

私も、当初は意味が解りませんでした。インフルエンザワクチンも新型コロナウィルス感染症に有効だ、といったような報告でもあったのかな?と思いましたが、事実は違いました。
その目的は次のようなことです。

なぜ、COVID-19対策にインフルエンザワクチン?

秋にまた新型コロナウィルス感染症の感染拡大が始まった時に、例年の「インフルエンザ流行期」と重なることが避けられないであろう。

両感染症の患者数(とくに重症者)が一定数を超えると、確実に医療崩壊を生じることになるから、インフルエンザの発症数を減らさなければならない。

とくに両症とも、初期症状は類似しているので、ワクチン接種済みのヒトであれば、インフルエンザの可能性は低く、COVID-19感染症であるという疑いを持って治療に当たることができる。

ワクチン未接種者であれば、区別は困難なのでPCR検査(ポリメラーゼ・チェーン・リアクション検査)を優先的に実施して、現場の混乱、未検査のまま放置して悪化、といったような事態は減らせるであろう、という内容です。

トリアージを効率よく行うことによって、医療崩壊を回避できる可能性が高まる、というのです。
なお、トリアージ(トリアージュ)とは、最近よく使われる横文字ですが、語源はフランス語で『選別』という意味だそうです。

本来の医療用語としては、大規模災害救急事故現場等において、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定などの選別のことですが、今回の感染症では、検査の優先順位、人工呼吸器の優先順位等の選択を適切に行う、という意味になります。

その手法が有効であるための条件
なるほど、医療崩壊が生じて、本来なら助かる命をむざむざ失ってしまうという事態を避けるためには、有効な一手と考えられそうですが、その前に確認しておかなければならないことがあります。

多くの医療関係者以外の、世間一般でよく耳にすることですが、「本当にインフルエンザワクチンって効くの?」という疑問についてです。

インフルエンザワクチンの有効性に疑いがあるとするなら、この前提は簡単に崩れてしまいます。
有効率が80~90%以上であるといったような、確実な事実でもあるなら、確かにそういうことも言えるかもしれません。

しかし、実際はインフルエンザワクチンを接種してもそれなりの率でインフルエンザに感染する、ということであれば、結局COVID-19の心配はないと断言して検査を後回しにする、といったことは現実問題としては医療現場でもできないことになります。

この手法を実際に運用し、有効に機能させるためには、インフルエンザワクチン接種者の98%以上は、確実に発症を防げる(ウィルスの体内侵入は、基本的には防ぎようがありません)、といったレベルである場合だけです。

学術データ等から判る インフルエンザワクチンの有効率

まず、この問題を理解するためには、疫学統計上の用語を正確に理解する必要があります。

『有効率』という言葉に関する解説は、ある程度専門的な文書には必ずと言ってよいほど出てくるのですが、その正確な意味については、「医療関係者でも誤解している人が多い」と述べている専門家もいます。

ここで言う、『医療関係者』というのは、公衆衛生学や感染症が専門でない、一般的な臨床医や看護師等を指しているものと思われます。

そこにどういうことが書かれているかと言いますと、次の通りです。
『多くの方は100人接種して、そのうちの70人に有効であった、つまり30人しか感染しなかったから、有効率70%といったように漠然と考えているようだが、これはまったく違います。』と説明されています。

それはそうです。もともと日本国民全員が感染するわけではありませんから、この条件では統計の取りようもありません。

では実際にはどういう数字なのかと言いますと、ワクチンの『有効率』とは、接種したグループと非接種者グループにおける、発症率の差をパーセンテージで表現した数値です。

たぶん、まだピンとはこないでしょうから(私も理解するのにちょっと時間がかかりましたので)もう少し具体的に説明します。

ある程度の期間、特定の方々の協力を求めて追跡調査を行って、発症の有無を記録していく、というのが基本的な手法です。

もちろん分母(被験者、協力者)は多ければ多いほど、正確度は増すことになりますが、膨大な数の被験者の正確なデータを収集するためには、そのために要する費用も比例して増えます。

といって、コストを掛けずに回答率を向上させようと、個人でも医療機関対象でも、簡便な回答内容に設定した場合には、集計自体は楽になるものの、どうしても精度が低下するという問題が起こります。

話を戻しますと、どうやってワクチンの有効率を算出しているかという説明をします。

各々100人を対象に調査したとすると、調査対象期間中に、接種グループ(A)からは15人の発症者が出て、非接種グループ(B)からは20人の発症者が出たとします。

計算式は、B-A/B=有効率(20-15/20=有効率)となりますから、この場合の『有効率』は25%となります。

分子をかえてみると、Aが100人中45人、Bが同じく100人中60人であったとすると、60-45/60となりますから、有効率は同じく25%となります。

問題は各々の実発症者数

私の提示した架空の数値から算出した結果(有効率)は、判りやすいように同じパーセンテージになるように数値を調整したのですが、実はこの数値には皆さんが知りたい内容は含まれていません。

同じ有効率25%であったとしても、接種すれば100人中15人しか発症しなくて済むという結果と、接種しても100人中45人は発症してしまう、というのでは印象がまったく異なってきます。
それでも、有効率で表現すると、どちらも25%という数値になるということです。

そうなりますと、一番問題にすべきは、有効率という統計学上の数値ではなくて、実際に調査対象接種者の何人中、何人が発症し、同じ条件で比べた非接種者は何人中何人発症したのか?ということが最大の関心事であるはずです。

自費で接種するのが原則の『インフルエンザワクチン』ですから、たぶんこのあたりの数値を明確にすれば、「やっぱり打っとこ」とか、「それじゃ、打ってもほとんど意味ないじゃないの!」という分かれ道の選択が容易になるかと思われます。

多くの方が、それならやっぱり打っておこうと思うであろう分岐点は、私の感触では70%くらいではないかなと思うのですが、これを仮の発症者数を当てはめてみますと、次のような数値になります。

A(接種者)が100人中3人罹患して、B(非接種者)が100人中10人罹患した場合も有効率は70%になりますが、仮に異なる数値を当てはめても、有効率70%という数値にすることができます。

Aが30人に対して、Bつまり非接種者は全員発症した場合も、有効率は70%となります。

いくら何でも、ワクチンを打ってないと100%感染発症してしまうというデータがあるなら、「そりゃ、ワクチン接種してもらうよ」というのが大方のお考えでしょう。

具体的な数値をお知らせする前に 知っておいて欲しい情報

これからご紹介するのは、客観的な意見を述べられる環境にあると思われ、しかも、それなりに信頼度が高いと思われる情報発信者の記述です。
信頼度に『?』が付くものは出典を明示しました。

◎6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告されています。

◎厚生労働省の研究班の報告では、1歳から6歳のワクチン有効率は20~30%だということです。

◎(インフルエンザワクチンは)インフルエンザの発病を予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があるとされています。

◎確かに、ワクチンを接種したのにかかってしまったという話は良く聞きます。ワクチンを接種していれば、かかっても軽症で済むと考えられていますが、きちんとした証拠はありません。

◎65歳未満の、とくに既往疾患のない者に対する有効率70~90%(米国CDC、2004年公表)

◎高齢者はワクチン接種により、発病リスクを34~55%減ずる。死亡リスクを82%減ずる(国立療養所三重病院1999年の報告)

極端に良いデータは だれも追認していないという事実

もし本当に、『高齢者の死亡リスクを82%減ずる』(これは有効率ではなく、単純な死亡率であると思われます)という内容が事実であるなら、学者も厚労省もこの数値を積極的に広報すれば良いと思います。

なんといっても、インフルエンザワクチンを接種していれば、仮に高齢者がインフルエンザに感染、発症しても、本来なら死亡するはずの100人が18人で済む、という報告なのですから。

CDCデータも、本当に有効率が70~90%になるというなら、この数値をもっと広報に利用して接種率を上げれば良いのではないかと思うのですが、そうはしません。

疑う余地もないほどのデータであり、事実であるなら、私ごときが反論できないように、この数値を前面に立てて押し通せばよいのですが、そうはしません。

『確実な証拠は無い』とか、『一定の効果があるとされる』という意見が多数公開されているのです。

なぜなら、本当にこのようなデータが出るとは、専門学者はだれも思ってないし、だいたい有効率の正確な意味を理解している医療関係者の方が少ないくらい、といった現状は先ほどご紹介したとおりです。

また、同じ乳幼児に対する有効率の大きな差にも注目する必要があります。見解はほとんど統一されていない、定説として固まるといった状況ではまったくなく、学会では見解が分かれているということでもあります。

軽症化を主張し始めて十数年?

インフルエンザワクチンの接種目的は、感染発症予防というより軽症化にある、という主張が言われ始めて、十数年は経つのではないかと思われますが、言いだしっぺは感染症研究所出身で、WHOに長期出向していたO医師であると思われます。

『何の根拠もなく』とまでは言えませんが、前述の三重病院の報告以外には、まともな調査報告など、まったくない時代から、『軽症化が目的』と主張していました。

また、インフルエンザワクチンがあまり効かないと多くの人が感じる理由は、「インフルエンザウィルス」は、既存ワクチンが無効な新型に、ほぼ毎流行期ごとに変異してしまうから、なかなか十分な効果を発揮できない、というのが当初の説明でした。

次に、『インフルエンザウィルスに対する免疫は数ヶ月か数年しか持たないから、毎年接種しなければあまり効果はない。それでも感染してしまうことがあるが、接種していれば重症化しなくて済む』と、変異ならぬ、その説明も変化してきたのが実情です。

そして、究極が前出のO医師の「インフルエンザワクチンは、感染発症予防ではなく、重症化防止が目的である。インフルエンザで死にたくなければ、老いも若きもワクチンを毎年打ち続けろ」という主張になってきた、というのが私の印象です。

『印象です』というのは、私がいい加減な解釈をしている、という意味ではなくて、一人の学者がそのように変遷してきたものであるのか、何かの都合で、その時その時で各々の主張がスポットライトを浴びているからなのかの区別が付かない、という意味です。

実際に公表されている 有効率と具体的数値は?

それでは、お待ちかねの成人における有効率をご紹介しようと思います。
実は、これに関してまったくデータが見つからないのです。

それほど難しい疫学調査とも思えないのですが、実際にこういった条件の何千人を対象に、こういった判定基準で「発症」と認定した、等々の細かい規定も決められているデータが見つからないのです。

どこからも突っ込まれないようなデータを既に誰かが持っていれば、専門論文だけでなく、一般のワクチン製造製薬メーカだって宣伝に利用するでしょうし、それこそ電通に依頼すれば、いくらでも報道番組として取り上げてもらえます。

にもかかわらず、『とされています』であるとか『確実な証拠はありません』と多くの学者、研究者に公言されてしまうということは、多くの方たちはそれら研究報告を支持していないということです。

また、これはデータ収集の技術的問題ということになりますが、対象者が多い研究ですと、定期的に呼び出して、例えばPCR検査を実施して感染を確認するとなると、膨大な経費がかかります。
もし、そこまでの精度で実施しようと思った対象者は、数十人といった規模でないと困難でしょう。

一般的には、やはり数千人は対象とした調査には、定期的に報告書を提出してもらう、といった形態になるかと思うのですが、初期症状に関しては感じ方にかなりの個人差があるものと思われます。

軽い鼻づまりや、ちょっと喉がいがらっぽいというのか、痰が絡んだような状態になっても、『風邪引いたかな』と思う人もいるでしょうし、毎日毎日、体温測定をしているわけでもないでしょうから、実際はわずかに発熱があったとしても、それを異状として報告しない人もいるでしょう。

また、ある程度の期間を対象とすると(ワクチンの有効性に関するデータを集めるとなれば、最低3ヵ月間は必要でしょう)、夏休みの学習帳のお天気欄と同じで、あとから適当に記入する人もそれなりに出てしまうと思われます。

つまり、信頼性の高いデータを集めるのは、ものすごく大変なことであるということです。

防衛医科大学校等が中心となって、国立感染症研究所などと協力して、どこかの駐屯地の隊員をその間は転属等をすべて停止して、検温から何から徹底的にそれなりの強制力を行使して実施しない限り無理です。

本当にワクチンが有効であると信じ、私のような疑い深い人間にもワクチン接種を受けさせたい、本当に日本国民の健康福祉を向上させための最重要課題、くらいに思うのであれば、そのようなことを企画実施すれば良いと思うですが、やりませんね。

実施した結果、決定的に否定的な結果が出てしまったら一番困る、ということなのではないでしょうか。

現在のように、適当にマスコミを利用して、勝手に国民に思い込ませておくのが一番都合が良い、ということなのでしょう。

誰にとっての都合か?
こんなことを書いてしまうと『陰謀論者』というレッテルを貼られてしまいそうですが、私は『ワクチン・マフィア』と呼んでも良いような利益集団が存在すると思っています。

ワクチン業界の売り上げが伸びるように、伸びるように、否定的な見解が出始めて、販売量が落ち始めると、今までまったく忘れていたような感染症が、たいした感染者数でなくてもマスコミで取り上げられるようになります。

もちろん、最初の情報発信元は『国立感染症研究所』のようですが。

感染発症率を明確に下げるという結果を導き出すためには、よっぽど数字を操作しないと明確な差なんかはで得ないけれども、『軽症化』を主目的ということにすれば、統計的な決着は付きにくいですから、うまい落としどころを考えたものだと思います。

軽症化効果を主張するには、タイムマシンを発明して同一人物で比較検討するか、そうでなければ、少なくとも数万人単位の正確なデータ収集が必要となります。

しかし、それでも集計の仕方によっては、どうにでも結論が操作可能であるとも言えるのです。

インフルエンザそのものが、直接の死因になることはありません。俗にいう風邪をこじらせて肺炎で死亡とか、肺炎も起していたけど、直接的に肺炎で死亡したというよりは、肺炎が元となって低酸素状態が長引いて多臓器不全で死亡したとか、死亡診断書に記入する医師によって死因も異なってきます。

主治医が、自分の受け持ち患者だけの死亡診断書記入であれば、ほぼ基準統一ができますが、数千、数万人単位の死亡者の死因を完全に基準化して、正確な統計データを作成するというのは極めて困難なことです。

追加の情報

きちんとデータが公表されているインフルエンザワクチンの有効性に関する研究報告もありましたが、それは1998年に報告された、ワクチンの1回接種と2回接種の有効性の差異に関する研究報告でした。

きちんとデータが公表されている研究報告は、前述の通り6歳未満の乳幼児に対するワクチン有効性の研究報告だけで、成人に対する信頼に足る研究報告は見つかりません。
どなたかご存知でしたらご教示ください。

たぶん、乳幼児に対して一定の有効性があることは間違いないのでしょう。ご紹介した二つの研究報告の有効率には大きな差がありますが、それでも確実に効果が認められるということなのでしょう。

しかし、それは当然といえば当然で、もともと生育年数が少なければ、記憶している(増産可能な)抗体の種類が少ないことは言うまでもありません。
有効率が大人に比べて高いのは当然でしょう。

大人の場合には、有意差が出ない研究結果ばかりであったから、誰も発表しないと考えるのが妥当です。

最後に、最初にご紹介したテレビ朝日の玉川徹氏について、述べさせてもらいますと、政治問題などでは極めて客観的に物事を批評、評価していると思っているのですが、ことワクチンのことになると、ワクチンメーカーの営業マンかと思わされてしまうほど、まったくの別人になってしまいます。

そういったことがあるから、つい「ワクチン・マフィア」などと言ってしまうのですが。

今回の無茶振りの結論以外にも、昨年、インフルエンザ・ワクチンを奨励する企画が同じ番組であったときにも、まったく玉川氏らしくない言葉を最終結論として述べていましたので、その言葉を紹介して終わりにします。(この時は録画していました。2019年1月24日放送分です)

なお、その主張を裏付けるために出演していた専門学者は、ワクチンメーカーと強いつながりのある学者だけで、否定的な見解を持つ学者の見解が紹介されることはまったくありませんでした。

その主張は、『病気の時に現代医療に頼る人ならば、現代療法のワクチンも同じではないか』(フリップ)というもので、セリフは「現代医学のコンセンサスはワクチンを接種すべきとしているのだから、病気になったときに現代医学に頼るのであれば、現代医療のコンセンサスになっているワクチン接種も受けるべき」という無茶苦茶な結論でした。

こういう論法が許されるなら、『国民のコンセンサスで選ばれた、過半数どころかほぼ2/3近い議席を有する、現在の連立与党政権の方針に反対するのはいかがなものか?支持すべきでしょう』と言ってるのと同じです。まさに朝日らしくありません。変です。

玉川氏個人の見解なのか、テレビ朝日、いや朝日新聞社の主張なのかは判りませんが、客観的に評価する姿勢を失った時に、マス・コミニケーションは衰退を始めます。