代表ブログ 022 – 血圧とは②

前回の続きを述べる前に、血圧の発生メカニズムと言いますか、各部位毎の血圧値とか血管の構造について説明します。

西式健康法創始者である西勝造先生(学祖)は『血液循環の毛細血管原動力説』を提唱しました。ただし、この仮説は、血液循環に関して工学的、力学的(とくに流体力学)にきちんと筋の通った説明ができない、当時の医学者(とくに生理学者)に血液循環、心臓機能について関心を持ってもらうために提唱した仮説、と考えられます。

学祖はポンプの専門家

学祖は、もともと優秀な炭鉱技師でした。その力量を見込まれて、日本初の地下鉄建設計画が持ちあがった際には、当初からその設計責任者に就任するようにお膳立てがなされました。
そのおかげで、当時としては極めてまれな1年間強のアメリカ留学をさせてもらうことになったわけです。

なぜ、炭鉱、地下鉄技師がこういった血液循環といった分野に明るいのかと言うと、ポンプの専門家でもあるからです。

当時の炭鉱、現在では長崎県の軍艦島が有名ですが、日本では海底炭鉱も数多くありましたから、砂礫を多量に含んだ海水混じりの湧水が避けられませんし、それゆえの排水ポンプの劣化、損傷が進みます。

排水ポンプについても専門家としての十分な知識がなければ、炭鉱技師としては使い物にならないし、大勢の坑夫を死なせかねない、ということです。

当時の炭坑夫の中には、全身に刺青を入れたような荒くれ者も数多く在籍し、しかも当時の賃金は完全歩合制です。
危険だからこれ以上堀進めさせたくない技師、会社側(さすがに落盤生き埋め事故が起きてしまえば、採炭を休止して救出活動を最優先にせざるを得ない)と、完全歩合制の坑夫では利害が相反しますから、技師(坑道の監督者でもある)は常にその板ばさみとなっていたようです。

十分な知識もなく、適当に掘らせ続けた結果、落盤事故でも起きればすべての責任は担当技師(坑長)ということになり、状況によっては坑夫仲間に殺されかねません。

ですから、毎日毎日状況の変化に応じ、例えば、坑道の随所に補強剤としての生コンクリートをパイプで圧送することの難しさ、圧力、管径、管を曲げる場合の曲げ方(曲率)、生コンクリートの流動性、砂利の混入比率、ポンプ形式によっては途中で圧力変動を抑え、できるだけ均一化するためのバッファ装置等々についても熟知し、熟慮しなければなりません

心臓の働き

最も基本的なお話として、なぜ最大、最小血圧があるのか?抹消に行くと血圧はどのように変化していくのかということについて、説明します。

心臓の左心室は明らかにポンプ作用を有しています。構造的には注射器のような構造であると考えてください。

注射器の中に水などを入れてプランジャ(ピストン;親指を当てて押す棒の方)を押し込んでいくと、先端から水が出ます、強く(早い速度で)押し込めば水は勢い良く出てきますし、ゆっくりと押し込めば、先端から垂れるように水は出てきます。

プランジャを目いっぱい押し込んで底付きしてしまえば、もう水は出ませんし、筒(シリンジ)の中の水は出きってしまいます。

心臓の場合、使い捨て注射器とは違って、一度液体を押し出したらそれでおしまい、では話になりませんから、今度はプランジャを引っ張って(心室を膨らませて)、液体を吸引する必要があります。
プランジャを押す(心室を収縮させる)と、左心室出口弁(大動脈弁)は閉じて、左心房と左心室の間をつなぐ弁(僧帽弁)が開きますから、左心房の血液が左心室に移動します。

このように、心臓は血液を連続的に押し出す構造ではないということを、まずしっかりと頭に入れてください。

主要動脈の役割

心臓は基本的構造としてはプランジャポンプですから、プランジャを押している間は血液は動脈に流れ出し続けます。
プランジャを引っ張る吸引行程になると、シリンジ(左心室)内は左心房から吸引した血液で満たされていきますが、出口の弁である大動脈弁は閉鎖した状態ですから、吸引行程中の血液は大動脈には流れ出ません。

一方、抹消では安定的、連続的に血液を要求していますから、主要動脈血管のなかの血液は抹消に向かって、連続的に流れ続けます。

主要動脈血管内の血液が多ければ、動脈血管壁を押す力(圧力)は大きくなりますし、血液の量が少なければ壁を押す力は小さくなります。
大出血を起しても、痩せること(血液量も減少するが、主要動脈内容積はほとんど変化しないので)によっても、血圧は下がるということです。

ピストンを押しているときには圧力が大きくなり、ピストンを引いて吸引行程に移ったとたんに、血圧が0もしくはマイナスになるといったように極端に低下するということでは、抹消に安定した血液供給が行えません。

そこで、動脈血管の筋肉による弾力(単なる弾力というより、常に縮ませようとする力が働き続けていると考えるべき)を利用して、できるだけ均一な圧力、流量で抹消に流れていくように設計されていますし、調整されています。

心臓の拡張期(ピストンを引いていく状態)では、血液は抹消に流れていくばかりですから、動脈血管内の血液はどんどん減っていきますし、次の収縮期(ピストンを押していく状態)になると、今度は抹消に流れていく以上の血液が、一気に大動脈の中に供給されますから、主要動脈血管は一気に膨らみます。

そういった仕組みですから、仮に主要動脈を金属やガラスパイプに交換したとしたら、収縮期血圧は異常に高くなってしまうと同時に、拡張期血圧は著しく低くなってしまうことになります。

抹消への安定した血液供給、流量の確保が極めて重要ですから、常に一定範囲内の圧力が生じるようにするための動脈血管の柔軟性というものが非常に重要になってくるわけです。

本当に動脈血管の弾力性が著しく損なわれてしまったとすると、基本的には収縮期血圧と拡張期血圧の差(脈圧と言います)が著しく大きくなってしまうことになります。
抹消に血液を順調に供給するための下限血圧は、およそ60mmHg程度と考えられますので、弾性の低下した管路内でそれ圧力を維持するためには、自然と収縮期血圧を上げてやるしかなくなってきます。

だから、動脈硬化は大問題?

そうなると、「動脈硬化」を起さないということが非常に重要だ、とだれでもがお思いになることでしょう。

収縮期血圧を上げる方法は、血液量を増やすか心拍数を増やすか、心室を拡張(肥大)させて1回当たりの吐出量を増やすか、動脈血管を過度に収縮させるという方法しかありませんから、動脈血管が本当に硬化し、弾力性が失われるということは大問題なのです。

しかし、ほとんどの内科医師が日常的に言うところの「動脈硬化」は、単純に動脈の弾力、弾性が失われる現象などではなく、「アテローム性動脈硬化症」と呼ぶ、動脈血管内皮細胞の内側にコレステロールを主材としたアテロームという物質が蓄積して、動脈血管が狭窄した状態のことを言ってます。(ブログ018「脳卒中」もご参照ください)

ほとんどの場合、実際に動脈血管が硬化している訳でもないのに、俗称として「動脈硬化」と呼称すること自体、誤解を生む原因となります。
この件に関しては別な機会に詳述しますし、より抹消の血管等に関しても後日解説させていただくつもりですが、の頃のページを使って、高血圧の原因について列記します。

高血圧の要因

1、血液量の増大=肥満
(腎機能、心機能低下による過大な浮腫も原因となります)

2、動脈血管の過剰収縮、心拍数の過剰増大=交感神経の過剰興奮

「1.血液量の増大」については、一般的に塩分の過剰摂取を原因のひとつとしていますが、それは完全な誤りです。腎機能低下等によるナトリウム排泄能力の低下が生じていない限り、まったく高血圧の原因にはなりません。(ブログ04『食塩について』をご参照ください)
また、「動脈血管の過剰収縮、心拍数の過剰増大」については、よく「ストレス」という言葉で表現されます。

また、一般論として「喫煙」も高血圧の原因とされていることがほとんどですが、これも正確ではありません。
生まれて初めて、あるいはしばらく禁煙したあとの最初の喫煙では、明確な動脈血管収縮が生じますが、すぐに生体は適応してしまいますから、継続的な血圧上昇要因にはなりません。

仮に、ニコチンの作用で継続的に動脈血管収縮が生じているとするなら、病院で検査待ち中などには血中ニコチン濃度が低下して、血圧も平常の血圧値よりも低下すると思われますが、そういった反応が起こるというようなことは聞いたことがありません。

また、薬理作用としては異なりますが、タバコを吸う度にそのつど頭がくらくらする、一種アヘン的な快美感を得られるなら、ほとんどのヒトは覚せい剤にも大麻にも手は出さないでしょう。

念のために申し上げておきますが、喫煙を奨励しているわけではまったくありませんので、その点は誤解しないでいただきたいと思います。

これらは、降圧薬の薬理作用を調べればすぐ分ることです。基本的には、血液量を減らす「利尿剤」系と、動脈血管の収縮程度を抑える薬剤に大別されます。

動脈血管の収縮を抑える作用の薬剤にも、動脈血管を取り巻く筋肉の収縮力を化学作用によって力が入りにくくする作用の薬剤と、動脈を締める作用を促す命令物質の合成を各種合成段階で阻害する作用の薬剤があります。

利尿剤の多くは同時にナトリウム排泄を促進する作用もありますが、だからといって、血圧低丘はナトリウムの過剰排泄による作用という見解は存在しないようで、あくまで体の水分を強制的に排泄したことによる作用と考えられています。

ちょっとまとまりに欠けた内容になってしまいましたが、本日のところはこの辺にしておきます。